【イベントレポート】サイバーフェリックス×WizWe合同ウェビナー、教育現場における2つのICT活用事例紹介
7月6日(火)、サイバーフェリックスは、株式会社WizWe(ウィズウィー)と共同で、ウェビナー【ICT教育の実践活用事例ーDQ(デジタルインテリジェンス)と英語教育についてー】を開催した。
本ウェビナーの前半では、サイバーフェリックス代表取締役 石山氏から、デジタルリテラシー・スキル・レディネスの国際規格となりつつある DQ(デジタルインテリジェンス)が今注目されている理由と日本の小中学校における導入事例について紹介した。
後半では、株式会社WizWe 代表取締役社長 森谷氏から、英語4技能の習得におけるICT活用とその利点および、学習の習慣化サポートの重要性について豊富なデータを用いた事例紹介があり、このウェビナーの趣旨である教育現場におけるICT活用の2つの事例紹介がされた。
登壇者について
株式会社WizWe 代表取締役社長 森谷 幸平氏
早稲田大学卒業後、オハイオ大学大学院で修士号取得(社会学)。在学中にNHKワシントン支局長手嶋龍一氏の直下でリサーチに従事。大手小売を経て語学eラーニングベンチャーにてフィリピン及び中国にて海外法人立ち上げ及び経営に従事。その後(株)WEIC取締役CMOとしてEdTech事業とSales Tech事業の責任者を務めた後バイアウトを実行。(株)WizWeを設立し、人とデジタルのサポートで語学学習を習慣化し、90%以上の学習者を完走に導く「Smart Habit」を開発。2020年より同事業をデジタルプラットフォーム化し事業グロースに従事。
株式会社サイバーフェリックス 代表取締役 石山 将氏
2017年4月よりDQアンバサダーとして#DQEveryChildを日本に持ち込み、2年間で3000人以上にリーチ実績。同時にDQ学習ツール「DQ World」の日本語版を2年間かけて作成。2019年3月、日本での#DQEveryChildムーブメント拡大を目的に、DQ Instituteを戦略的パートナーとする株式会社CyberFelixを創設。
イベントのハイライト
GIGAスクール構想が始まって以来、2021年4月時点で、96.7%の学校・自治体に端末の納品が完了しているという。一方、実際にどの程度まで端末が活用されているかについては疑問が残る。
端末使用における禁止や制限といった一時対処法が散見される中、石山氏は「既存の枠組みの中で、教職員に負担をかけず、小学生がデジタル社会で生きるための判断力を身につけるための仕組み」を作るのがDQ(図1を参照)であるとしている。
DQ(デジタルインテリジェンス)は、それまで定義や基準が曖昧だったデジタルリテラシー・スキル・レディネスの新たなグローバルスタンダードとして、2020年9月からOECD、世界経済会議、Google、Twitterなどの国際機関、そして各国の政府・非営利機関により、普及が進んでいる。
プログラミングなどのクリエイティブツールを使い、新しい技術やコンテンツを作りだす段階のデジタルクリエイティビティ、それらを用い、社会課題を解決していく段階のデジタルコンペティティブネスがあるが、サイバーフェリックスは、その第一段階に位置するデジタルシティズンシップを育成する教育の普及に取り組んでいる。
DQ(デジタルインテリジェンス)とデジタルシティズンシップについて
図1 DQの3つのステージ
DQの世界における広がりやサイバーフェリックスが日本で目指す教育の仕組みづくりについての話があった後、「他の情報モラル・リテラシー関連の教材と比較し、私たちが提供するツールには大きく2点特長がある」という石山氏。
1点目は、学習内容が包括的にカバーされている点。デジタルシティズンシップ8つのスキル(図2を参照)を網羅的に学習するためのカリキュラムに基づいた教材が揃っているため、教職員自身がこの分野について専門的な知識を持っていなくても、すぐに学習と指導を始めることができる。
図2 デジタルシティズンシップの8つのスキル
2点目は、学習成果が可視化される点。これまで情報モラル講演や道徳の授業で年に1~2回触れる程度だったこの分野であるが、実際どのくらいデジタルリテラシー・スキルが身についていたか知るすべはなかった。DQは、デジタルリテラシー・スキルを教材内でスコア化してくれるため、IQと同じ考え方で、100を基準に学習者の能力の高低を知ることができる。
実際に、三者面談でDQスコア(図3を参照)を学習者の保護者に見せたところ「Youtubeばかり見ていたけれど、デジタル世界のことをこれほど知っていたんだ」と初めて認識したということもあったそうだ。
子どもたちからも、「ゲーム感覚で楽しく学習ができた」という声や、「家族とインターネットについて話す機会ができた」という声が最も多く聞かれた。
図3 学習を終えると発行されるレポートのイメージ
後半では、株式会社WizWe 代表取締役社長 森谷 幸平氏から学習の習慣化と英語の4技能習得における秘訣について豊富なデータを用いた発表があった。学習習慣化ツールSmart Habitで1万人以上もの英語学習者のデータ(図4を参照)を見ると、伴走者がいるかいないかで大きく継続率が変わるという。その他にも以下のような事実をデータは示している。
・3学期制であれば1学期目のオンボード期が学習の継続に最も重要であること
・一度離脱すると受験など明確な目的がない限り学習への復帰が難しいこと
図4 3段階の学習時期における習慣定着度の推移の比較
(左からサポートありのチーム制、サポートあり、サポートなしの場合)
また、森谷氏が現在力を入れているのは行動経済学や行動変容ステージモデルといったアカデミックな知見を基盤とした学習習慣化のモデル化だという。
例えば、プログラム実施前のキックオフセミナーの段階で、危機感とメリットを伝えより具体的な学習の成功イメージを抱かせることなど、こうした知見を取り入れることで学習者が位置するそれぞれの段階でより効果的な手を打つことができる。
こうしたデータの分析から紹介された「学習成果をあげる肝」は、多くの参加者にとって目から鱗だったに違いない。その他にも、特に英語教育で成果を出すための重要なポイントには以下のようなものがある。
図5 英語4技能を教科するためのポイント5つ
これまで、法人向けに100社以上導入され、今回学校向けにアレンジされたパッケージ「Smart Habit for School」では、上記図5の「英語4技能を強化する上での重要ポイント」の中でも特に学校で扱いにくい点を、専門的にサポートしてくれるようだ。
また、レベル別に個別最適な学習を習慣化をすることで、元々英語に苦手意識を持っていた学習者でもTOEICの点数が大幅に伸びているという実績も豊富だ。
図6 学習習慣化サービス Smart Habit for Schoolを使った学習の成功の秘訣
こうしてみていくと、DQ学習とSmart Habit for School(図6を参照)は、森谷氏のいう学習習慣化と成果を出す肝で紹介されたポイントをよく反映している学習ツールであることが分かる。
例えば、学習進捗や成果がデータとしてしっかり可視化されるため、目標まで具体的にどうすればいいのかを示すポジティブシナリオやアドバイスの提供が可能となっている。
その他にも、学習開始段階での「楽しい・できる」といったスモールステップを重ねる成功体験を大切にしている点は、DQ Worldでのストーリー形式でミッションをクリアしていく設計やSmart Habit for Schoolでも今後検証予定である漫画や動画を使った学びの届け方に活かされている。
今回は、GIGAスクール構想の核心の1つである「データを活用した個別最適な学びの実現」に取り組む2つのICT活用事例が紹介された。今後、英語や情報モラル以外の教科でも、こうした知見が幅広く活用されていった先にどのような学びが待っているのか。GIGAを引率するEdtechの革新に期待が高まる。
関連情報
・DQ World実証実験プログラムの案内
2021年6月1日(火)より、GIGAスクール端末持ち帰りを実施、またはキャンペーン期間に実施予定の学校及び教育委員会を対象に、今回の事例紹介でもご活用いただいた「DQ World」を無償貸与する「DQ World実証実験プログラム」を提供しています。
すでに、全国の学校や教育委員会様からキャンペーンのご応募を頂いております。是非、DQ World実証実験プログラムの詳細ページをご覧ください。
キャンペーン開始日:2021年6月1日(火)
キャンペーン終了日:2022年3月31日(木)
対象:以下のいずれかの学校が対象(先着200校)
(1)児童生徒によるGIGAスクール端末の持ち帰りを実施している学校
(2)児童生徒によるGIGAスクール端末の持ち帰りをキャンペーン期間に実施予定の学校応募条件:実証アンケートやレポートの作成への合意
申し込み方法:こちらの申込フォームから
申し込み受付締め切り日:2021年12月31日(金)
・メディアのご案内
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