【小説】年上彼女の嘘-お付き合い-
第二章 お付き合い
「ところでお名前は?」
僕はこの人と話したいとゆう思いだけで自分のことを必要以上に話していた。
ずっと聞いていてくれた彼女が初めて自分から話をしてくれた。
「すいません。話すのに夢中になって自己紹介もまだでした。半田修哉(はんだしゅうや)って言います。」
「修哉くんかー!私は一ツ木愛菜(ひとつきまな)です。よろしくね!」
(愛菜さんかぁなんて可愛い名前なんだ)僕はすでに虜になっていた。
それからは愛菜さんの話をいっぱい聞いた。
歳は僕より5歳上の32歳。とても32歳には見えない。一人っ子で近くにアパートを借りていて愛犬のコーちゃんと2人で住んでいる。
料理が上手なこと。カラオケが好きなこと。仕事は近くのビルの受付嬢をしていること。彼氏はいないこと。
僕は愛菜さんを笑わすために必死でたくさん喋った。愛菜さんはずっと笑ってくれた。涙が出るほど2人で笑った。僕は完全に愛菜さんに恋をしていた。
すると愛菜さんは途中でポケットからスマートフォンを取り出し時間を確認した。
「ごめんね、もう帰らなきゃ。良かったらLINE教えてもらって良い?今度ご飯食べようよ」
思ってもいない提案だった。
「もちろん!僕でよければ!」
そう答えた僕にニコッと微笑みながら携帯を取り出す。
「また連絡するね」
そう言い残し彼女は帰って行った。
❇︎
連絡先を交換した日から1週間が経とうとしている。
あれから毎日愛菜さんと連絡をとっている。
愛菜さんは仕事が忙しいので基本夜にしか連絡は来ない。
その夜を楽しみに僕も仕事を終え、晩酌をしながらLINEを打つ。
そして今僕は、愛菜さん宅に居る。
愛菜さんが料理を振る舞ってくれるので招待されたのだった。
部屋は小さなワンルーム。部屋に入って驚いたのは中はすごくシンプルだった事だ。
シングルベッドがあり小さいテーブルが1つ。
そのテーブルの横に2人掛けソファー。それだけしかない。
最低限、生活をするための物しか揃えてないと言った感じだ。
(何か寂しい部屋だなぁ)そんな事を思っていると愛菜さんが料理を運んできてくれた。
愛菜さんの料理はすごく美味しく、お酒もすすむ。
食べ終わりちょっと経つとお風呂を勧められた。
「今日は遅いから泊まって行きなよ」
そう言う彼女の言葉を聞き僕は甘えることにした。お風呂に浸かりながら鼓動が早くなるのを感じる。
(もしかしてやっちゃうのかな)
そんな事を思いながら赤くなる顔を湯船のお湯でかき消した。
風呂から出ると部屋は真っ暗になっていた。
「愛菜さん・・・?」
僕は慣れていない部屋を手探りで歩く。
「こっちきて」
声のする方に行くとそこはベットだった。暗闇の中、愛菜さんが布団を上げ招き入れてくれているのが分かる。僕は招かれるままに愛菜さんと肌を重ねた。
2人は優しくキスをした。
裸になっていた愛菜さんの体は暗闇でも分かるくらい綺麗だった。愛菜さんの体中に優しくキスをした。愛菜さんもそれに応じてくれる。2人の吐息だけが部屋中に響き渡り僕たちは初夜を迎えた。
寄り添ってくれる愛菜さんに僕から切り出した。
「僕と付き合ってください」
一瞬びっくりしたような顔をした気がしたが小さく頷きながら抱きついてくれる愛菜さん。
その時涙くらいの水が僕の胸のあたりを流れていた・・・。
第3章に続く
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