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甚大な被害を出した洪水から一年後のパキスタンを訪問して
こんにちは☺️イガラシゴーです🐧
日本も含め世界の各地でさまざまな災害や人道危機が断続的に発生しているため、「もう一年も経ったのか」という気もする一方で、「まだ一年しか経っていないのか」という気もします。
国土の3分の1が影響を受けた水害
2022年6月以降、パキスタンではモンスーンの影響で豪雨が断続的に続き、国土の3分の1が洪水の影響を受けました。それから約一年が経った2023年8月下旬にパキスタンを訪問しました。この間にCWS Japanは、水害被災者に対して食糧や生計回復のための現金給付や農業再開のための農具や肥料、種子の提供などの支援活動を実施してきました。
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CWS Japanが支援を実施したパキスタン・シンド州南東部はインダス川下流の氾濫原にあたり、地理的に洪水が起きやすい地域ですが、イギリスの植民地時代から現在にいたるまで灌漑設備を整備し、上手に利水することで災害に脆弱な土地を、綿花を始めた農業に適した土地に変えてきました。2022年の豪雨は長年かけて整備されていきた灌漑設備の処理能力を上回るものだったのです。
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一年後の現状
綿花や小麦の栽培が再開された畑がある一方で、まだ多くの放置されたままの土地も目にしました。話を聞くと、2022年は水害のために耕作していたほとんどの作物がダメになってしまい経済的損失が甚大であったのにも関わらず収入はほとんどなかったとのこと。今年(2023年)は、こうしたリスクを恐れて以前と比べて作付け面積を減らして再開しているとのこと。耕作地の復旧作業の遅れには、こうした将来のリスクへの不安も要因としてあることがわかりました。
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作付け面積を減らす以外にも、モンスーンの季節を避けるために作付け時期を早めるなどの対策も行なっているそうです。若干収穫量が落ちたとのことですが、モンスーンのリスクに比べるとマシであると考えているようです。
その他、今回の洪水で水が流れてきた方向に堤防を作って水の侵入を防ぐ備えも行なっているそうです。安心した生活を取り戻そうとする人々の努力を見ることができました。しかし一方で、泥を積み上げただけのシンプルな堤防にどれぐらいの強度があるのか未知数だと、少し不安に感じてしまいました。また次の水害が発生した時も、同じ方向から浸水してくるとは限らないのではないかと思ってしまいました。
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復旧・復興に向けてわたしたちにできること
今回の訪問で、水害の影響を受けた人々が食糧をはじめとした喫緊の危機からは脱却し、復旧・復興に向けて色々と策を講じて努力を重ねている姿を見ました。
防災対策の知見が豊富な日本のNGOであるCWS Japanが支援できることが、まだまだあるのではないかと感じました。もちろんスーパー堤防をはじめとした大型の河川改良工事などは一団体のNGOにできるものではありません。
もっと地域レベルでその土地に根付いた防災・減災対策を、地域住民とともに頭を捻って考えていきたいと思います。近年洪水が特に頻発する日本にとっても、過疎化が進む地方農村の防災対策のアイデアなど、さらにそこから学ぶことがあるのではないかと期待します。
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同地域における緊急支援事業は終了しましたが、復旧・復興に向けて新たな支援事業が開始できないか調査・検討を進めています。また進捗がございましたらみなさまにも報告させていただきます。
https://www.kifukara.jp/form/cwsjapan/once/
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(文:プログラム・マネージャー 五十嵐豪)
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