ヒートテックの功罪
革命が起きたのは、わたしが高校生の頃だった。
周りの人たちがこぞってヒートテックを着始めたのだ。
最近急激な勢いで普及した(とわたしは思っていた)ヒートテックだが、調べると初登場は2003年。意外と歴史がある。
自分が幼い頃、冬場に着ていた長袖の下着は「ババシャツ」と呼ばれていた。ババアが着なくてもババシャツ。だからなんとなく着るのが嫌だった。
それが、1枚でとってもあったかい下着、ヒートテックの登場で時代がパッと変わった。まずヒートテックという名前がかっこいいし、今までの常識を覆すあったかさ。
今では全世代に受け入れられ、知らない人はいないというポジションに。母が「今の若い人は冬も薄着ねえ」とよく言うが、それはヒートテックのおかげかもしれない。
そんな冬のヒーロー、ヒートテックだが、実は功罪を残している。それは、ババシャツが絶滅危惧種になってしまったことだ。
ここまで読んだ人は、あったかいんだから(こんなギャグあったね)ヒートテックを着ればいいじゃない、と思うことだろう。
あったかければいいというわけではないと気づいたのは最近のことだ。
暖房でオフィスが暑すぎるのだ。
その上、暑がり。ヒートテックではたちまち常夏になってしまう。
そこで探したのが、かのババシャツだ。
しかし、ここで衝撃を受ける。
ほとんどのババシャツに「蓄熱」「発熱」効果が謳ってあるではないか!
わたしが欲しいのはヒートテックではない。
あたたかくない、ただの長袖下着だ。
いろんなお店を探し回ってやっと見つけることができたのは、近所のスーパーの2階にある廃れたファッションフロア。
300円セール!と書かれたポップが目立つラックに、そいつはいた。謳い文句は「体にぴったりフィット」。それ以外書かれていない。
やっと再会できたね…!と感動したものだ。
わたしと同じような人はいないのだろうか、とふと思う。ババシャツを救う会を作ったら賛同してくれる人がきっといるはずだ。
そういえばこのババシャツに出会う前、ZOZOTOWNで発熱効果の低いド派手なインナーを買った。着るたびになんとなくスリルを味わっている話はまたの機会に。