・総裁選に見る「何も学ばない、すぐ忘れる国民の作り方」
ダメな指導者がいなくなり新たな指導者が現れる。立派なことを言う。まだ起きてもいないそれらの大言壮語があたかも確実に起こると思い込む。
アベノミクスでGDP算出方法の改変が行われていたことも忘れる。加計森友の不正な手続のことも忘れる。桜を見る会の不透明な資金の流れも忘れる。河合議員への不正な選挙資金拠出も忘れる。オリンピックや一連のコロナ対策でペーパー会社を作ってまで巨額の中抜きをしていたことも忘れる。
今までやってきたことに対する、現実として達成された「結果」を鑑みて「評価」するべきが「選挙」なのに、日本国民は前途不明でまだ始まってすらいない未知の政治家の「空言」で判断する。
自分たちが選んだ人間の作った料理が「どれだけ美味だったか」を吟味して評価することが有権者の使命である。テーブルどころか調理台にすら何も乗っていない状態をどうして評価できようか。
つい今しがた食べた料理のことすら忘れる。それでもって全く何の根拠もなく「次の料理は美味しそうだ」とただ椅子に座って口を開けて待っている。こんなものは選挙ではない。
残念ながら黙っていても至高の料理を口に運んでくれるほど政治家は優秀ではない。彼らの作った料理がどうだったのか、どう不味くてどう修正すべきなのかをはっきりと示さなければ、我々のもとに運ばれてくる料理は永遠に不味い。
本来であれば「どうでしたか」と聞くべきだろうが、残念ながら日本の政治家は矢継ぎ早に不味い料理を繰り出し我々に注文をつける隙を与えない。非常に悪質であり極めて残念な性質であるが、以下のスケジュールを見てもらいたい。
9月5日(日)東京パラリンピック閉会
総裁選
9月17日(金)告示、9月29日(水)投開票
10月頭〜10月中 新首相指名に係る国会進行
10月中〜11月末 衆院選
12月 新政権発足に伴う調整等
おそらく年内に国会がまともにコロナ対策や国政についての議論を始めることはない。つまり6月16日に国会が閉会してから実に半年以上まともな国会が開かれないということだ。その間やっているコロナ対策といったら適当な感染源のバッシングと無責任な緊急事態宣言の垂れ流しだけである。もはやこの国の議会制度は機能していない。
半年以上にわたって緊急事態宣言を乱発している割にはずいぶんと悠長なことだ。重ね重ねだが国は「国民はすぐ忘れる人種」だと考えている。オリンピック、総裁選、衆院選。こうして「お祭り騒ぎ」で騒ぎ立てれば国民は今までにあったことを全て忘れてくれるだろうというのが彼らの思うところであり、このような愚行の起点である。
国民は、これだけの危機的状況にありながら徹底して党利党略私利私欲に全力で傾倒する政権がまともではないことをよくよくよく認識する必要があるし、少なくとも上の方に書いたような数々の不正や問題行動があったことを、しっかりと忘れないことが求められる。でなければこの先我々は不味い飯を食べ続けるだけでは済まない。
食は人間を作ると言うが全くその通りで、このような徹底した愚民政策を食して育った日本人は「何も学ばない、すぐ忘れる国民」に成ってしまった。身に染み付いた習慣を変えることは容易ではないが、やがて身を滅ぼす習慣は何としても正していきたい。
選挙と異なり国民不在の完全なる内輪の権力争いである総裁選を「実質的な政権交代」と言っている人間がいたが冗談か、と思った。結局のところ彼らは同じ穴の狢であり、同じ利権内のうちわ談義のどこにそのような変化が期待されるのか全く理解できない。
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