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入学する‥ちっぽけなわたしが見つけられる「生きる」理由なんてちっぽけでいい。

選ぶ

『いじめ』から逃げたくて受験をした、こんな理由でもいいと思う。
『生きたい』と思った時の理由なんて‥ほんの些細なことでもいいと思う。

『あの人の顔を見たい』『もう一度あの場所へ』『お腹すいたなぁ』でも
何でもいい。

わたしなんて本当笑っちゃうくらい単純な理由だった。

ある夜にポツンと大通りの街路樹の植木にうずくまり
「もう学校に行きたくないなぁ」と考えながら‥通り過ぎる車を何台も眺め‥「このままわたしがいなくなったらみんな心配してくれるかな」‥
「淋しくなるな‥」と思いながら‥ふと
「大切にとっておいたシールの束、弟に使われたらイヤだな‥やっぱり家に帰ろ‥」と思い‥家に帰るわたし。

えっそんなんでいいの?
生きづらくて悩んでたんじゃないの?
自分が消えてしまいたいくらい悩んでたんじゃないの?

はい、悩んでます。
自分が消えてしまいたいくらい悩んでます。
こんなちっぽけな自分になんて価値はなくて‥
もう自分が嫌になって‥独りうずくまって‥情けなくなって‥
頭を打ち付けて涙を流して‥ひとり空を見上げるわたし‥

だからいいんです。
ちっぽけなわたしが見つけられる「生きる」理由なんて、ちっぽけで
「生きたい」理由が見つかった、ただそれでいいの何でもいいの。
だって本当は「生きたい」んだもの。

これまでに何回も自分を傷つけてきたけれど

ただ単純に『もったいなかったな‥』とか
『あっ、あれやり忘れてた』とか『寒い温まりたいな‥』と思った時が
『まだ生きていよう』と一番救われている‥

河川敷にひとり立たずんでぼーと風に揺れる芦を眺めたり
自分を責めたままぐちゃぐちゃの頭であてもなく道を歩き続け
最後は「お腹すいたな‥」「まだお腹すくんだ‥」と
生きていることに気づいたり‥

自分を守るために自分を消さなくていい
私を傷ける友達は友達ではないし
現実から逃げてもいい。

路瑠は『いじめ』から逃げるために中学受験を決めて
『いじめ』る友達から離れることを選びました。

そのために頑張ったことは、頑固でいつも路瑠に厳しい父親に
怖かったけれど頭を下げて「中学受験をさせてください」と
何度もお願いをしたこと
今でも受験をさせてくれた父には心から感謝しています。


そして、
路瑠も家族もまさか受かると思ってなかった中学受験。
これで『いじめ』から解放され晴れて入学へ。

入学式の朝

母と路瑠は制服を着て喜ぶ姿と
ちゃぶ台で朝ごはんを黙々とうつむき加減に食べる父の姿。

路瑠は「お父さん、制服着たよ、見て」と次の瞬間
父からまさかの朝ごはんのお味噌汁をぶっかけられることに!!

私立の中学はお金もかかるし『路瑠にはもったいない』と
考えていたのだと思う。
路瑠の家は裕福ではなかったし
父は肉体労働者で家族を支えるために
油まみれになりながら働いてお金のやり繰りには苦労してるから
「浮かれてるんじゃないぞ」と言いたい気持ちが
こんな形で出たのだと思う‥でもね‥

これであっけなく浮かれ気分も吹っ飛んだけど、
もう後には戻らないことを選んだの‥。

お味噌汁の花向けを受け「行ってきます」と出かける
路瑠入学式の朝でした。


中高一貫校の女子校
入学式はカラス色のセーラー服学校指定の黒ストッキング
学校は可愛いカラス達でいっぱい。
中学生は胸のリボンに赤い線が入っている。
高校生はリボンも真っ黒でまさにカラスで貫禄がある。

中学1年2組30名
先生から見て左寄りの廊下側。
席に座り周りを見渡すと女の子ばかり
「試験の時に隣だったね」と声をかけてくれた友達や
「初めまして、よろしくね」「こちらこそよろしく。」
「どこから来たの?」と声をかけるのもドキドキしてる
今いるみんなが初対面、みんな初々しくはにかんでいる。

路瑠は部活は演劇部に入部

部活動に打ち込むことは父との関係から距離をおくことが
出来てよかった。中学での居場所も出来ました。

2つも3つも上の先輩達から中学1年新入部員は
「ちゃんと挨拶しなさい」
「挨拶する時は立ち止まってする」「声が小さい」
「スカートの丈がちょっと長くない?」と礼儀を厳しくご指導を受ける。
厳しいけれど、それでも花形部活はみんなの憧れの的。
「学生でもこんなことが出来るの〜」と新入生歓迎会の感動は
忘れられない。

新入生オリエンテーションの部活紹介に演劇部が劇を上演
題目は忘れたけれど中学1年の路瑠からみて
遠い存在の高校生の先輩が演じる男役が格好良すぎて
少しても近づきたくて演劇に部入。

路瑠は裏方、大道具・小道具・照明専門部員
ほとんど舞台にたったことはないけれど
憧れの先輩のお役に立てることが嬉しかった。

学校行事のメインイベントの一つ文化祭公演も演劇部は盛り上がり
講演が終わると舞台裏に花束を渡すために先輩のファンが
アイドル待ちさながらに列をなして並んでる。

更に文化祭最終日、最後を飾る後夜祭の舞台でも
当時流行っていた『聖子ちゃんカット』のヘアースタイルで
『赤いスイートピー』を『ぶりっ子』で歌う先輩に
みんなで「聖子ちゃ〜ん」と声援を送るのが楽しくて
路瑠も友達と一生懸命に「聖子ちゃ〜ん」と声援を送っては
仲間と顔を見合わせ「フフッ」と小さく笑いあいました。

男子生徒がいないから学生は伸び伸びと恋愛をして
宝塚歌劇団顔負けの男性役の女子生徒に「キャーキャー」言って
バレンタインには縫いぐるみとチョコレートを渡しに行く。

女子校あるあるは楽しく
路瑠は今、青春しています。

これから先もわしたちは
選びながら生きていく

右に行くか左に進むか迷うくともある
今来た道を引き返すことだってあるし
ゆっくり歩く時も、大急ぎで駆け抜ける時や
どうしたらいいか悩んでしまって
『立ち止まったり』『うずくまってしまう』ことだってあるだろう。
頑張っているのに「もう頑張ってって言わないで」とうつ伏してもいいよ‥。
トンネルの中にいるのは周りの誰でもない、わたしだから。
目を閉じてまぶたから薄らと光を感じたらいい。
出来そうだったら
その扉を開ければいい。
無理しなくていい。
焦らなくてもいい。
あなたを大きく包み込むその優しい時間は
あなたを捨てたりしないから‥。


第9話 ↓   参考 語集  ↓


『聖子ちゃんカット』

聖子ちゃんカットは日本の女性歌手・松田聖子がデビュー当時の髪型
1980年から1981年末までの約2年間にしていた髪型の通称。

髪の長さは肩にかかる程度。
前髪は下ろしサイドの髪は外巻きのレイヤード、
バックの髪は内巻きにする

日本の若い女性の間でこれを模倣し大流行となった。

『赤いスイートピー』

赤いスイートピー」は、1982年1月21日にSony Recordsからリリース。
松田聖子の8枚目シングル。
松田の楽曲の中で特に人気の高い曲の一つであり松田自身も好きな曲として挙げる事が多い。
また、本曲を境に同性(女性)のファンの比率が上がったと語っている。

『ぶりっ子』

良い子ぶる・可愛い子ぶる・上品ぶる等からなる
主に若い女性が意図的に振る舞う素振り。

『宝塚歌劇団』

舞台に出演するのは宝塚音楽学校の卒業生であり、全員が未婚女性である。
団員たちは『タカラジェンヌ』の愛称で親しまれている。
退団後の再入団は認められておらず外部の俳優が本公演に出演することも
ない。

宝塚歌劇団は、兵庫県宝塚市に本拠地を置く歌劇団。
阪急電鉄の一部門であり、阪急阪神東宝グループの
エンターテイメント・コミュニケーション事業として
阪急電鉄創遊事業本部歌劇事業部が運営している。

設立: 1913年 兵庫県宝塚市
設立者: 小林一三

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