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名曲との共通点 夢アド「フォトシンテシス」

以前の記事にも書いた、夢みるアドレセンス(夢アド)がメジャーデビューシングルとしてリリースした「Bye Bye My Days」のカップリング曲がこの「フォトシンテシス」です。

「フォトシンテシス」とは、「Photosynthesis(光合成)」を意味しているのでしょう。

タイトル通り、自分たちを「植物」であるかのように見立て、その成長を見守り、元気づけてくれる歌詞が並びます。

「君の赤いゲージを見過ごすことできずハートあげた」
「君と手を取り合い高い場所へ」
「声掛け合って」
などと、もう一人の誰かと協奏して立っていく、そんな印象も受ける曲です。

伴奏の効果でしょうか。サビでは、一筋の光が差し込んだような、目の前が開けたように明るくなります。
いや、曲全体としては変調もせず終始明るいのですが、サビではとりわけ色が差し込んだような明るさを、曲の中に見るのです。

目の不自由なかたは、目の前にある障害物が見えていないにも関わらず、まるで見えているかのように巧みに避けることがあるそうです。
高周波数の反響音を手掛かりに、障害物の有無を耳から認識するためであると考えられているのですが、不思議なことにかれらは「顔面の皮膚に圧迫感を感じたから避けた。何かが聞こえている訳ではない」というのです。
これは「顔面視覚」といわれ、閾下での知覚と、実際の感覚というのが別次元であることを示唆する話ですが、「フォトシンテス」に覚える「明るさ」もこれに似て、さながら「耳視覚」という感じがするのです。
耳から刺激を受容しているはずなのに、視覚的な明るさを覚えてしまう。

この曲について書くにあたり、二つの名曲にたどり着きました。
作詞作曲が渡辺翔さんなのですが、この方が手がけた代表曲には、以下の二曲があります。

今や「紅蓮華」「炎」で時の人となったLiSAのデビューシングル、「oath sign」。

そして、二人組女性ユニット「ClariS」の「コネクト」。

oath signもコネクト、どちらも2011年リリースともう10年近く前の曲です。
当時高校生だったぼくは、文化放送の音楽番組「Friday Super Countdown 50」という放送を聴いていました。そこでこの2曲が頻繁にかかっていたのをよく覚えています。
あれからもう10年も経つのですね。書いておきながらその時間の移り変わりの速さに驚くばかりです。

どちらの曲もいわゆる「アニソン」なのですが、アニメにそこまで興味がない僕でも純粋に「良い曲だな」と思っていました。

どのアーティストにも、昔のことをあまりに美化して懐古するファンは居るという前置きの上での話ですが、2010年代初頭にリリースされたこの2曲は、「原点にして頂点」と未だにファンによって語られるくらいその輝きを保っています。

サブスクも発達していなく、YouTubeにもさほど動画が上がっていない当時。
良い曲と思ってもいまほど簡単に聴ける時代ではありませんでした。コネクトに関しては、当時よくヲタ芸の対象曲ともなっていたようで、「ヲタ芸動画」が貴重な音源でした。非常に記憶があいまいなのですが、「修学旅行でコネクトを打ってみた」なんて動画をよく観ていました。

作詞作曲者が同じという観点からみると、この「フォトシンテシス」にも、上に挙げた一時代を築いたアニソンの名曲とほのかに通じるところがあるように思えるのです。

ドラムに裏打ちされたABメロ。一瞬の呼吸をおいて解放されるかのようなサビの疾走感あふれるメロディ。そして女性アーティストが歌う、芯の通った力強い歌詞。イントロではキーボードでしょうか?鍵盤の綺麗な旋律も印象的です。

「フォトシンテシス」はカップリング曲ゆえ、どうしても表立っては出てきませんし、この二曲のように語り継がれる程の知名度もないでしょう。

それでも、もっともっと表に出てきても良いのではないかと思うのです。

「フォトシンテシス」に関して、wikipediaでは、「ライブでほとんど披露されることのない幻の曲」と書いてありました。
確かに、僕がかつて夢アドのライブに行っていた2015年夏~2016年春にかけて、ライブでお目にかかる機会は結局ありませんでした。

しかし最近はそうでもないようです。むしろ、ライブでも頻繁に扱われる曲になりつつあるみたいです。
2018年末のワンマンライブ。そしてオリジナルメンバー最後の舞台となった2019年末のライブ。そのどちらにも「フォトシンテシス」はセットリストに組み込まれていました。

夢アドはメジャーデビュー以降、フルアルバムを2枚も出しています。そのぶん、デビュー当時と比べてリリースされる曲も明らかに増えています。ライブのセットリストを考える時、デビュー当時ですら披露される機会が少なかった曲は、数多くリリースされる最近の曲によって淘汰され、より影に隠れてしまうのが普通でしょう。

しかし増えていく曲の中でも「フォトシンテシス」はしっかりと根を張り、むしろ最近のセトリでは存在感を示しています。まるで冬には草を枯らしたりロゼット状態になることでエネルギーを蓄え、そのエネルギーを春や夏に消費し、背を伸ばして綺麗な花をつける植物のようです。

夢アドは昨年末に新体制となりましたが、新体制となってから披露はされたのでしょうか?
検索しましたがヒットしません。

デビュー当初は「幻」だったこの曲も、ここ1,2年のセットリストの傾向を観ると近々披露されるような気がしなくもありません。

いつかこの曲を生で見られる日がくることを待ち望んでいます。

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