改・「60おっさんのタイからラオス・初めてのバックパッカー1人旅」 note版
〜そして、片田舎のウボンラチャターニーへ
No.6
6月18日(月)、4日目
列車から降りると、そこは辺鄙なホーム。
小さな駅、ウボンラチャターニーである。
早速、帰りの列車の時刻を知りたくて、
喋れない英語(もちろんタイ語はNG)で案内係らしき女性に質問。
「ツゥモロー、トレイン、タイムスケジュール?」
「!!??チョッ、ト、マッ、テ・・!ツーリス、ト、ガイド??・・・」
と、女性は言っているらしい。
「!・・?・(ウダウダ)・・」の僕。
すると、
とっても感じのいい若い女性、ツーリストガイドがやって来て、
英語が出来ない僕を相手に、
テキパキと軽やかに、実に気持ち良く助けてくれた。
・バンコク行きの列車のこと
・ここから街への行き方
・荷物の預かり場所
・宿の場所とそこへの行き方のこと
さらに、
街までは、荷台に乗るダットサンみたいなロコバス(ソンテウ)、
走行する区間ならどこでも10THB、
人力車の電動版トゥクトゥク、行き先言って、基本60THBなどなど、
親切にアドバイスしてもらう。
僕は、街と反対側にある宿へは、
駅から歩いて行けそうなので、
先ずは、20THBで荷物を駅に預け、
ロコバスに乗って街で散策したいことを
ツーリストガイドのお姉さんに告げる。
ニッコリ笑みを浮かべ、段取り良く全ての手配をしてくれて、
なんと、街へ向かうロコバスにも丁寧に案内してくれたのだ。
このように、なんとか、どうにか、こうにか、事が進んでいく。
意志も通じるじゃないか!
気分がいい!
彼女の対応に心が励まされる。
『ここへ来て良かったなぁ、ほんと!』
生まれて初めて、ロコバスに乗り、街を目指す。
早速、イキのいいオッちゃんが、珍しいのか、降りるまで私に世話を焼き、
四六時中、喋り捲り、ワイワイはしゃいで楽しんでいる。
面倒だなと思ったが、
『ええーイ、もうイイや、ノっちゃえ!ここまで来たんだから、それをしないでどうする?オイ、聞いてるのか、あんた!』
潜在している引っ込み思案の勇気のないネガティブ思考を蹴散らし、
開き直る。
言葉は通じないが、地図を手に、身振り手振りで対応。
ふー、心配することはなんもなかった。
『今、ここで、お前は、どこ行きたいの?どうの、こうの・・・そこなら、ここで、降りたらどうだ。そこじゃない、いまここだから、まだだ。どうの、こうの・・・判らない?・・・』
イキのいいオッちゃんが巻くしたてているようだが、定かではない。
そこへ、女学生が乗って来て、
そのイキのいいオッちゃんが、その子に、
「お前は英語が判るだろ、だから・・・」
話せ話せとそそのかす。
が、突然のことで、女学生はびっくりするやら、何のことやら判らず、
当然、恥じらいもあり、一言も発することなく上品に座っていた。
廻りのおばちゃんたちは、ただ、ニコニコ笑っているだけ。
そのうち、判ったのか、判らなかったのか、
イキのいいオッちゃんがオーバージェスチャーで、
『アンタ、ここだよ!』
と、言われるまま降ろされ、
運転手に10THB渡すと、
賑やかなロコバスは去って行った。
『???』
街のどこかに降ろされた僕は、
通りの向こうにOPENしている、
ちょっといい感じの料理屋を目にする。
バンコクのあの雑多な感じはしない。
周辺をぐるりと見廻してから、その店に入る。
よし、作戦会議だ!
『おーぉ、気楽に入れるやないか。いいぞ!
あのバンコクの圧迫感がない、そう、圧迫感が・・・ない!』
おばちゃんの店員が2人、フワーと佇んでいる。
私はテーブルに着き、1人のおばちゃんにメニューをもらい、
食べれそうな軽いモノを探す。
『麺、飯、違う。スープ、雑炊・・・あぁ、これだ!オムレツ、旨そう』
少な過ぎるかもしれないが注文。
僕以外の客は、朝食を摂っている中年男性が1人だけ。
サラリとトイレの場所を聞き、用を足す。
『出来るやん!』
元気パワーが戻ってくる。
そう言えば、タイ(海外)で、1人で店に入るのは初めてだ!
30THBのオムレツがくる。
シンプルだ。
タマゴのみのオムレツと生野菜のキュウリとトマト。
丸テーブルには多くの調味料が並んでいる。
が、私はナシでオムレツを頬張る。
『ウン!・・・卵の味だ!』
頷き、これからの動きをボヤーッと浮かべる。
『昨日、歩き過ぎ。今日は控えないと。
で、昼頃、宿、行って、のんびり』
漠然と決めると、店のおばちゃんに、
ここの場所を地図で示してもらい、
支払いを済ませ、当て所なく歩き始める。
(大衆的な店にはチップは不要)
大きな河のほとりに出た。
土色に濁ったムーンリバー、
ロコバスで渡った河だ。
河沿いの少し先から賑やかな雰囲気が漂ってくる建物の一角が見える。
行く。
市場だ!公共市場・・・かな?
あのパンパンビニール袋詰めのご飯類、
山盛りの野菜、果物、生魚、揚げ物、
衣服、雑貨類が所狭しと並び、
独特の有機的な匂いが立ち込めている。
煮たり、炒めたり、揚げたりの食材の匂いが
暑い気温と交じって鼻に衝く。
好奇心がウンザリ感に変わり、
その場から逃げていく。
フーッと一呼吸、
『昼メシか・・・どないしよ?』
プラプラと行くと小さな屋台が目に付く。
中年のオッちゃんが小さな肉まんみたいな、
パオズみたいな白いモノを蒸している。
日本→タイ語訳テキストを取り出し、
「これなに?」
「いくら?」の所を指し示す。
これなに?の答えは返ってこなかったが、
見たままの食べ物だ。
10THB(38円)を払い、一つだけ買って食べることにする。
たくさん買って口に合わなかったら大変だ、ここは日本じゃない。
パオズ、肉まん。
ウヒヒヒッ、パクッ!?
『酸っぱ・・・!思てた味とやっぱり違うわ』
と、無理矢理、一気に喉に落とし込み、
街の中心らしき方へ、向かって歩く。
メインストリートらしき道を探し宛て、そこから、北へ歩いて行くと、
立派なだだっ広い公園に出て、中をテクテクと・・・。
緑の芝生に囲まれ、巨大な黄金色の彫像がキラキラ輝いている。
しばし、ボーッと佇む。
広い公園の一つの入場口へ向かい、
次の行き先を思案していたら、
中年の快活な男性が声を掛けてきた。
「どこから?」
「日本」
「タイ語は?」
「だめ!」
「エングリッシュ、少し」
「うん・・・見たい所、行きたい所ない?」
「特には・・・」
「うーーん・・・?!」
どこか、いい所に案内したがっているようだ。
「ヘイ、どこかないのか?」
「えーと、ここは、ここかな・・・」
地図を広げ、教えてもらおうとするが、
聞いているのか、話が通じたのか、
知りようもないが、
「よし、ここだ!」
と、バイクを取りに行く。
「はっ?」
男性は戻って来て、
「乗って!」
「いいの?」
「OK!」
「メットは?」
「要らん!」
私は言われるまま後ろに跨り、
街中を右に左にブロロロロローォと突っ走る。
道筋を記憶に留めようとしながら、
流れるウボンラチャターニーの風景を眺めていると、
ある神殿に到着。
「ここですよ!(ニッコリ)」と自慢げ。
「はぁ!?(ポカン)・・・」
僕はお礼にとチップ、20THB札を手に渡そうとするが、
「そういうつもりではない」と断る。
そんな気はしていたが、やはり・・・。
「本当に要らん」と受け取らない。
「判りました、ありがとう」
「バーイ!」
と、颯爽とバイクで去って行った。
このような感情は互いに人種が違っても判るんだなぁと。
宮殿には寄らず、
チラッと一見しただけで、
記憶を頼りに地図を見ながら、そこを去り、
ぶらぶらと歩き始める。
『ゴメンね、オッちゃん!』
プラプラ、ぶらぶら・・・、
静かでのどか、そして、寂しくもある。
やっぱり、田舎やなぁ、
それなりの賑わいしかなく、それがいい。
『ああっ!喉、渇いた。ビールだ、ビール!』
とウロウロ。
『あれ、ここ、朝の食堂やん!』
と逆方向へ向かいヨロヨロ。
『あらー、足がグロッキー気味や』
こういう時に、見つからないセブンイレブン。
探すがない。
残念ながらWi-Fiは繋がっていない。
ビール、ビールと余計に欲しくなる。
売っているらしき小さな酒屋みたいな、お店、見つけ!
だが、
「ノー、11時〜17時、売れない!」
断られる。
「あーー、そうか!でも・・・・・・」
完全に忘れていた。
しかし、ここはタイの田舎。
もしかしたらとプラプラ行く。
2件目、発見。
オリジナルなコンビニにみたい(雑貨屋かな?)な店。
ここにはあるぞ!と覗く、
「おおー、ビール、あるある」
しかも、安い。
こういう店を求めていたんだ。
内心、ワクワク。
大型冷蔵庫を覗いていると、
タバーンを巻いた髭面のオッちゃんがやって来た。
「ビールOK?」
「OK!」
とニッコリするではないか。
『いいんや!』
嬉しい。
『規制、お構いなしの店もちゃんとあるやん』
Cheersっていうビール、500mlを買う。
「Thank you!」
と勢い良く出たが、
「!!」
店に引き返し、
写メの許可を得て、
パチリ!
朝、寄った公園のベンチに腰掛け、
ビールを煽り、マッタリとした時間を過ごす。
『ああ、久し振り、落ち着いた、いい気分。ウボンは正解!いい天気』
見たことのない野鳥がさえずり、リスが樹々で戯れている。
『でも、頭の片隅が質問している。なんで、来たの?・・・』
葉っぱの隙き間からキラキラと陽射しが踊っている。
『さてと・・・』
そろそろ、宿へ行こうと、
駅方面に向かうであろうロコバス(ソンテウ)を捕まえようと、
通りに出て待つが、なかなか通らない。
廻りを見回しても、
別方向に向かうロコバスがチラホラ走っていくだけ。
マズイ!来るかな!
異国の地での、この心境は結構、不安になっていく。
ブボーーーッ、来た来た、
思わず駆けて行く。
「ウボンラチャターニー、行く?」って地図を見せ、ゲット!
後ろの席はイッパイで、運転席の横、助手席に座る。
ロコバスはタクシーみたいに、合図して、止めるのだ。
『おいおい、やれば出来るじゃないか!』
この頃から、少々、自信というか、
不安が減り、勇気が出てきた感じがする。
しかし、降ろされた所が、
確かにウボンラチャターニー駅に違いないが、
その近辺みたいで、
進行方向、右手奥に車輌の引込み線らしい所が見えるんだが、
ここ、結構、駅から離れてるんと違うの?
と、不安が過る。
でも、仕方のない事だ。
引込み線らしい所へ行く。
1本道がその脇に沿って伸びている。
『そうなんや!』
15分ほど歩くとウボンラチャターニー駅に無事到着。
経費は10THB。
『ここまで連れて来てくれよ』
とボヤキ、我慢出来ず、立ち小便。
(多分、次の目的地を考えると駅前まで行くと不合理と考えたんだろう。少しは歩くが駅はある。厳密に決まった経路、目的地などはあってないようなモノだ。そういう交通手段なんで、そういう考え方なんだ。ここはタイなんだ!)
預り所に荷を受け取りに行く。
すると、
待ち受けていたかの様に彼女が、
ツーリストガイドのお姉さんが現れる。
「どうでしたか、街は?」
「OK・・・」と頼りない返答しかできない僕。
「これから、宿に行きます」
「どうします。歩きます、それともトゥクトゥク?」
歩く気力は残っておらず、
「トゥクトゥク!」と。
彼女はベストなタイミングで現れ、この様なおもてなし。
ここで、気を良くした私は何かの時に必要であろうかと買っておいた、
キットカット抹茶味をプレゼントし、
預り所の兄ちゃんに、
彼女との2ショットをiPhoneでパチリ!してもらう。
お姉さんに案内され、上機嫌でトゥクトゥクに乗り込んで、
ウボンラチャターニー駅を後に、宿へ向かう。
「サヨナラ〜、お姉さん!」
「もう、今は、道を探し歩いて行くのも、面倒だし、また、後日、宿に着いたら、ウボンラチャターニー駅まで散歩でもしたらいい時間潰しになる」
と思い、
ガタガタ、激しく揺れる乗り心地の悪いトゥクトゥクに振り回され、
アッという間に宿へ。
「着いたよ!」
「早や!で、60THB。まぁ、個人専用、いいなりだもんね」
「アラ!?何だか・・・普通の家やん、ほんと、ココ?」
「OK、OK、ココ、ココよ」
門のチャイムを鳴らし、人を呼ぶ、トゥクトゥクのオッちゃん。
『結構、サービスしてくれるんだ!』
でも・・・、
『出てこないやないの。大丈夫か?』
トゥクトゥクのオッちゃんは門扉を開け、
家のドア横のチャイムを鳴らし乍ら、叫ぶ。
「ヘーイ、居るの。誰か?(想像のコメントです)」
・・・しばらくして、ヌボーッと、おばちゃんが出てくる。
「何、何なの?(ほんとそんな感じだった)」
「お客さんだよ」
僕は挨拶し、iPhoneでアゴタの予約契約書を見せ、理解させようと必死。
おばちゃんは、も一つピンと来ないみたい。
「・・・!?!!」とおばちゃん。
「・・・」と僕。
すると、奥から気持ち良さそうなお嬢ちゃんが出て来て、
僕のiPhoneを覗き了解する。
「OK」
料金支払い済みの確認も。
「OK」
部屋を案内するってことで落ち着く。
どうやら、娘とお母さんみたいだ。
おーっと、忘れていたトゥクトゥクのオッちゃん!
60THBを支払い、礼を述べる。
「サンキュー!」
今日の宿は、
”Near Train Guesthouse” ニア トレイン ゲストハウス 。
サポートしていただけましたら、より一層、充実した日々が送れると共に、明日へのパワーが漲ります!よろしくお願いします。