魔法は使わない 【散文詩】
椎の木が燻って
彼女のピアノに傾聴すれば
いつでも呪いに変る"モノ"を
鍵付きの宝箱にゲーセンの輝羅々々石と一緒に
大切に仕舞っている
営業戦略に託けて余命を忘れて
放課後
いつもの教室で。
可笑しな斜塔を造る
硬い皮の指
4割にも満たない拳
覆い打ちされた眼鏡
それすら受け止めるのに精一杯な脆弱な私を
その手でぐちゃぐちゃにし壊して
"其の"ために死ぬことは出来ないけれど
たち続けることなら出来る
『最後の魔法さえ使わなければ
ユートピアはあと3ヶ月は死なないだろう』
そんな虚偽の黙示を信じて酩酊したように
戯言を詠じては悔悟の情に沈んでいる