あの頃の未来
声優であり、女優でもある坂本真綾さんのエッセイ集「満腹論」を図書館で借りて読んでいました。
先に断っておきますが、このブログでは坂本真綾さんの話題も「満腹論」についての感想もほとんど出てきません。
「なんだよ、つまんね〜な」と思われた方はここで読むのをやめておいた方がいいと思います。
ここで書きたいのは別のことです。
「満腹論」の中に真綾さんが高校時代、文化祭で出した模擬店が「インド風ホットケーキ・にしきの」と言う名前だったそうです。
「にしきの」と言うのは、芸能人であられる錦野旦さんのことで、別にクラスに「にしきの」君や、「にしきの」さんがいたわけではないそうです。
多分、その頃「錦野旦さん」と言えば「(裏)スター・にしきの」としてとんねるずの番組で大人気だった頃なのでしょう。
勢いで名付けてしまったんですね。気持ちは(なんとなく)わかります。その頃は私も毎日テレビを見ていた頃なので、懐かしく思いました。
今はテレビなんてサッパリ見ない生活を送っているので錦野旦さんや、とんねるずのお二方がどうされているのか、全然知りません。
申し訳ない。今でもご活躍されていることをお祈りします。
私が若かりし頃(今でもでしょうが)、とんねるずと言えば「飛ぶ鳥を落とす」と言う表現がピッタリな程、すごい人気でした。
「みなさんのおかげです」「生でダラダラ行かせて」など、毎週テレビ放送が楽しみでした。翌朝は学校でクラスメイトと昨日の話題で盛り上がったものです。
しかし、関西出身である私にとってお笑いの「スター」と言えばやはり「ダウンタウン」でした。
夕方4時から大阪毎日放送で生中継していた「4時ですよ〜だ」を見るために家に飛び帰り突然現れた(田舎の子供にとっては、本当に突然でした)松本さん、浜田さんと言う2人の若きスター(お笑い芸人という感じではなかったです)に笑い転げていました。本当に面白かった。
実際は大変だったそうですが、人気絶頂の頃「笑っていいとも!」を皮切りに東京進出し、あっという間にお笑い界の「天下」を取ってしまいました。
ただ面白いだけではない、全国区の芸能界の大物や人気者などモノともせず、突っ込み、切り込んで行く2人の姿に(当時は気付きませんでしたが)ただの関西の「無力な少年」だった私は勇気づけられていたのかもしれません。
しかしビートルズが当人たちも想像しなかった成功を手にして、やがて変わっていってしまったように、ダウンタウンの2人も(仕方ないとは思いますが)変わっていきました。変わらざるを得なかったというべきですか?
かつて彼らは上を向いて進んでいけばよかった。いくらでも先人たちがいた。でも気づけば自分たちが一番上に立ってしまっていた。
著書がベストセラーになったり、CDが200万枚を越えるヒットになったり、どんどん本人たちも周囲も変わっていきました。
単なる(と言っていいのか、わかりませんが)お笑いスターだった「ダウンタウン」はまるで時代を表す「アイコン」の様になってしまっていました(とんねるずもそうですが…)。
それから、幾年かが経ち私は(かなり色々あって)テレビなんて見向きもしなくなり、芸能界とも疎遠になりました。まったく情報をシャットアウトしていたわけではなかったので、それとなくダウンタウンの2人の動向の様なモノは聞いていましたが、以前ほど興味は惹かれませんでした。
随分「前置き」が長くなりました。このブログで書きたかったのは、松本人志さんの(詳細は知りませんが)裁判による「芸能活動停止」のニュースを聞いた事からのなんとも言えない「寂しさ」を感じたことです。
先に述べた通り詳細はまったく知りません。知りたいとも思いません。松本さんが悪いのか、週刊誌(?)が悪いのか、いやいや、そんなレベルの話ではないのか?そんなこと(失礼)はどうでもいいのです。
私はただただニュースを聞いた時、寂しかった、哀しかったのです。かつての「ヒーロー」が本当に遠くへ行ってしまった事に。
誰だって生き続ける以上、変わらずにはいられません。歳も取ります。大金を手にする人、大損に嘆く人、出会いと別れを繰り返す人、驕る人、謙虚な人、様々です。
勝手に「ヒーロー」に祭り上げて、勝手に失望するのは間違いかもしれません。でも、こんな事にはなって欲しくなかった。
「漫才で一番面白いヤツ」を決める筈だった「Mー1グランプリ」が(これにも松本さん、絡んでいますね)いつの間にか「俺たちはどれくらいお笑いに対して真剣なんだ」と言った裏側ばかり見せるようになってしまったように。
人々の営み、大袈裟に言うならば「歴史の流れ」は誰にも止められません。それが「良い」か「悪い」かも誰にも決められません。10年くらいしたら、誰かが判断すればいいことです。
なんだか何を書いているのか、わからなくなってきました。随分長くなってしまったので、この辺でやめておきます。
ただ…なんだろう?「夜空ノムコウ」の歌詞のように「すべてが思うように上手くは行かない」、それが哀しいです。
「あの頃の未来」我々は過去に見ていた未来とどう向き合えば良いのでしょうか?
松本人志さん、教えてください。
答えてくれますか?