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〈物語〉シリーズと青春を歩んだオタクが〈物語〉シリーズの曲を聴いていく 其ノ参

前回までのあらすじ。〈物語〉シリーズ セカンドシーズンまでのOP曲をひたすら聴いた。

個人的にセカンドシーズンあたりが、友達と語ったりした思い出が多くて、センチメンタルになるなぁと思った。最早センチメンタル過剰。それならファイナルシーズンの曲を聴いた時、どんな感情になるのか、何を思い出すのか、そんな楽しみも感じつつ聴いていきます。


憑物語

よつぎドール/オレンジミント

ボーカルは斧乃木余接(cv.早見沙織)。遂に斧乃木ちゃんも歌うのかぁ、なんて思った記憶があります。死体人形である斧乃木ちゃんの声には、抑揚などなく感情も乗らず、常に淡々と平坦なんですよね。所謂死んだ声、みたいな感じ。個人的にPerfumePassCodeってボーカルをバキバキ加工してるけど、生きてる声として聴こえるのが、凄い思ったりするのですよ。その逆で加工などもあまりせずに、死んだ声で歌ってる所に、声優さんって凄い!と思いました。曲自体も一見、淡々と進行するエレクトロみたいに聴こえる。だけどBメロ〜サビにかけて、曲のリズムとズレた軽めのノイズが鳴っていて、それに気づくと急に狂った曲に思えてきちゃうのが面白い。あとAメロの「パァン」や「ドッドッド」に遊び心を感じる。歌詞は今までのOP曲より摑み所がない印象です。これまでのOPは、所謂ヒロイン達のキャラソンで(一部例外あり)、キャラそれぞれの私小説的な部分があったように思います。斧乃木ちゃんには他のヒロインが抱える、悩みや問題が等が無いので、私小説にはならず、具体性もない歌詞になっていると思いました。

アニプレックス公式YouTubeより

終物語

おうぎフォーミュラ/decent black

物語の終わり始めを告げる曲。ボーカルは忍野扇(cv.水橋かおり)。おそらく皆思っただろう、扇ちゃんも歌うんだぁと。いや嬉しいんだけどね、歌うタイプには見えないなぁと思ってました。曲はバチバチにEDMで、どことなく漂う浮遊感と、ミステリアスな雰囲気が良きですね。Cメロでリズムが無くなって、ボーカルも囁くようになる所、ゾクゾクしちゃう。この曲も扇ちゃんのキャラクター性故か、私小説っぽくはなかったように思います。でも「オレンジミント」の摑み所のなさとは違い、担っている役割が明確にあるように感じました。あと曲名がまさにミスリード。

アニプレックス公式YouTubeより

そだちリドル/mathemagics

ここに来て3連続新規ボーカルなの熱い。老倉育(cv.井上麻里奈)が歌ってます。そして、僕は老倉さんが好きです。歌ってくれてありがとう。緊張感を帯びたイントロから始まり、終始掘り詰めた空気を纏っている。ボーカルも心做しかトゲトゲしていて、攻撃的とも取れるし、自己防衛のようにも思えるいい塩梅です。その張り詰めた空気が唯一緩むのが落ちサビ。その歌詞が"魔法が解ける前に もう一度だけ笑って"なのが切ないです。あとサビ毎にくる"太陽も消えた夏"というフレーズが印象的。このフレーズに老倉さんが抱える、切実さや悲痛さが乗っかっているように思います。1サビ、2サビでは正しい筈の答えを見つけているのに、ラスサビでは"見つけたと思ったの"になっているのが、悲痛さを加速させてる。

アニプレックス公式YouTubeより

そだちリスト/夕立方程式

もう曲名からして好みです、好き。アニメ放送時には放映されなかった老倉さんの2曲目。個人的に夕立と聞くと、哀愁や郷愁といった切なさ、すっきりしない蒸し暑さ、雨が嘘みたいに感じる夕立晴、などを思い起こします。この曲はそんな夕立に漂う切なさを、その情景ごと内包していて、とても扇情的な楽曲だなと思いました。「mathemagics」と比べると繊細できれいな歌声。それが曲に見事にマッチしていて、2曲で老倉さんの持つ2面性も見事に表現しているなと。ベースがバキバキでかっこいい。どこか遠くで鳴ってるようなギターは、切なさが漂っていてグッとくる。"急な土砂降り ただの雨宿りで 滲む世界は 今 私と君だけのもの"のフレーズ最高過ぎる。なんて美しい情景描写なんだ…

アニプレックス公式YouTubeより

しのぶメイル/mein schatz

インスト曲です。忍は歌わないからね。開幕からリズミカルにパーカッションが弾けてます。コーラスが入ると一気に仰々しくなって、そのスケールに引き込まれるように感じる。途中切なげで美しい旋律が混ざり、忍の複雑な心境を表している。因みに曲名を直訳すると"愛しいあなた"になります。

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まよいヘル/terminal terminal

この流れで来ると、八九寺のかわいらしさが際立って良き。曲はミドルテンポのポップスだけど、こういう朗らかな曲は久々に来た気がする。言葉選びがユニークで、それを八九寺の健全ロリボイスでまくしたてる。聴いてて楽しくなりますね。日常で見逃しがちな、ありふれた幸せを噛み締めるような、そんな楽曲です。

アニプレックス公式YouTubeより

ひたぎランデブー/dreamy date driv

健気な彼女が板についてきた戦場ヶ原さんの、ヒロイン的魅力が溢れまくる神曲、好きです。開幕の色気のあるギターと、リバーブのかかったドラムが、陶酔感を演出してる。どこか魅惑で夢見心地で、ドリームポップっぽいかもしれない。そもそも戦場ヶ原さんの歌声は、けっこう線が細く儚げなので、ドリームポップと相性良いのかもしれない。1番のかなりビート控えめで、しっとりとした優美な味わいが素敵です。2番はちょっとトランスぽい。サビの"いつでも ねえ 君に片想い"ってフレーズが味わい深い。恋人への想いが大きすぎて、愛されてはいるけれどもっとずっと求めてしまう。そんな感情を"片想い"というワードを使って表現するセンス、脱帽です。そしてOP映像がめちゃくちゃ良い。圧倒的理想の彼女感。いろんな姿、表情のひたぎちゃんが堪能できて、これぞまさに「戦場ヶ原、惚れ」。

アニプレックス公式YouTubeより

おうぎダーク/dark cherry mystery

扇ちゃんの歌声、かわいらしいよね。イントロじゃなく歌始まりだし、明確にサビっぽいパートが無かったりで、癖になる構成してる。今までは王道のポップス的な構成の曲ばかりだったけど、ここに来て変化球でくる感じ、流石扇ちゃんだ。"そう 何かをひとつ"のフレーズから始まる、ちょい早口でまくしたてるパートが聴き心地良いんだけど、そのパート1回しかないのがずるいです。この上手くはぐらかしてる感じ、キャラクターに合ってて良き。ラスト1分くらいコーラスなんだけど、めっちゃ声重ねてあって、まるで吸い込まれていく感覚に陥る。その感覚を残してフェードアウト。どこまでも捉えどころが無いです。あとこのコーラス、どれくらいの数録ったのか、ちょっと気になっちゃった。

アニプレックス公式YouTubeより

続・終物語

こよみリバース/07734

終わりの続きにて、満を持して阿良々木くんの登場、歌ってはいないけどね。一応キャラソン扱いらしいけど、実質ナレーションみたいな感じ。曲としては最高の電子ドラッグです。すべての音が気持ち良くて、地味にめっちゃ踊れる曲だと思う。因みに逆再生すると、何言ってるかちゃんと聞き取れるらしいです。

アニプレックス公式YouTubeより

今回のオチ

これにてファイナルシーズンまで聴き終わりです。ここまでたくさん聴いたなぁ。因みに今回は9曲、全部合わせると24曲になります。フルアルバム2枚分くらいか。そう書くと少なく感じるけども、質的にはアルバム2枚じゃあとても収まらないと思います。

個人的な好みを言うと、基本的にファイナルシーズンの曲が好きだなと思いました。セカンドシーズンまでは、自然と思い出補正がかかるんですけど、それを差し引いてなおファイナルシーズンの曲強いと感じましたね。まあ単純に好きなキャラがたくさん歌ってるだけ説もありますけどね、老倉さんとか。

この文章を書いてる時点で、オフ&モンスターシーズンのアニメ配信が目前に迫っています。個人的に最高傑作だと思っている"撫物語"を観るのが待ち遠しい限りです。あと"そだちフィアスコ"も期待してます。ずっと老倉さんのターンですからね。きっとアニメ化してくれるはず……!!

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