野蛮な日記 24/11/12
今日は予定していた出勤時刻よりも遅くなりそうだったので、会社の最寄り駅から急ぎ足で歩いていたところ、よくランチを食べに行くダイニングバーの本日のランチが看板に書かれていた。そこに書かれていた「サンマ」という言葉が、黄金に輝いていた。その看板に立ち止まり、黄金の3文字を3秒ほど凝視した後、ふと見上げた空が青く透き通った空だった。その時に、久能整のように「今日はサンマ日和だ。」と心でつぶやきながら、会社に向かった。
昼休みが始まった後、すぐにそのダイニングバーに向かった。店に向かって歩いている途中、外から店の中を見ると、川が見える窓辺の席が1席しか空いていなかったので、急ぎ足で店に向かった。扉を開けると、いつもの雰囲気とは違い、「いらっしゃいませ!!」という掛け声が聞こえた。一瞬、来るところを間違えたのかもと店を出かけたが、空いている窓辺の席が見えたので、間違っていないことを確信する。今日はいつもより人が多くいたので、サンマというパワーフレーズのインパクトを感じながら、気長に待つことにした。
10分ほど待っていると、一匹のサンマと味噌汁、白ご飯が自分の体の前に置かれた。じっくりと見渡すと、塩やきされたサンマが青い皮から光り輝いていた。届いてすぐに、割り箸を勢い良く割り、手を合わせる。
まずは、身のほうから食べようと思い、箸で身をほぐしていたのだが、久しぶりに一匹のサンマを食べるので、はらわたをほぐしてしまった。これも運命だと思い、はらわたから味わい始めた。はらわたに関しては、苦みもあるのだが、これがおつまみかというほどサンマの脂と合い、今すぐビールがほしくなってしまったが、すぐにポン酢のかかった大根おろしで口の中を整える。次は、身をほぐしていき、それと白いご飯を交互に口へと運んでいった。やはり、秋のサンマは脂がのっているだけではなく、噛めば噛むほどに出てくるサンマの旨味が口の中であふれ、白いご飯と合う。この作業だけで、午前の仕事の疲れをいやしてくれる。
身もすべて食べ終えてしまい、残るは骨と頭だけであった。しかし、これでは終われない。頭を箸で割き、脳みそとえらを食べる。はらわたとは違い、苦みが少なく、サンマの旨味が身よりも感じ、舌が喜んでいることを再確認させてくれる。
すべてを食べ終えた後、手を合わせて、セルフサービスで提供しているコーヒーを堪能して店を出た。僕は、幸福感に満ち溢れ、橋を渡るときに見える緑の川が青くみえた。僕は、今日のサンマを一生忘れないだろう。