![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/167400980/rectangle_large_type_2_00e101bd187080c3af222663178c09ab.jpeg?width=1200)
第74詩 3つの優しさ
天気予報を見ないで
家を出てきたから
仕事上がりで
路面に白い雪が積もっているのに
少し戸惑った
ブーツで来ればよかったと
思った時には もう遅い
つるつるのパンプスで 滑ってしまって
気がつけば 尻もちをついていた
あたまもお尻も
こころまで 一気に冷たくなる
情けなくて
何とか起き上がろうとしたら
大丈夫ですか と
通行人が声をかけてきた
長い白髪のおじいさん
大学生くらいの男の子
私と同じ スーツ姿のお姉さん
3つの優しさを同時に与えられた
ありがとうございます と
私はそう答えて
精一杯の笑みを見せたら
3人ともホッとしたように
散り散りの方向へ行ってしまった
思いがけない雪に
この世もなかなか 捨てたもんじゃないんだと
教えられた気がした
明日も天気予報
気にしないで出かけてみようかな
晴れでも雨でも雪でも
きっといい日になる
そう信じてやっていこう
(挿絵はフリー素材です)
雪の日でも、寒い日でも、皆黒づくめのコートを着ていても、温かい心に触れることが多いと感じる昨今です。