50代、いつまでやれるのか。
職場の同僚が、来年3月に65歳で定年退職するという。
入ったばかりの頃、分からない事を聞くといつも快く教えてくれた、穏やかで優しい先輩。特別親しいというわけではなかったけれど、同じチームで仕事をする時はなんとなくホッとした。
「この会社は希望すれば、70歳まで働けるそうですよ〜」
と冗談ぽく私が言うと、顔の前でヒラヒラと手を振りながら、
「無理無理!今だって、やっとなのに!」
そう言って笑った。
そっかぁ〜辞めちゃうのかぁ。仕方のない事だけど、やはり少し寂しい。そう言えば私の唯一の飲み友達Aさんも、来年定年だって言ってたな。
身近な方の人生のステージが大きく変わる。その事実は私の中にじわりと染みた。自分はいつまでやれるかなぁ、薄っすらそんな事を考えた。
現在55歳。高校を卒業してから今まで、転職を繰り返しながらも、ほぼフルタイムで働いてきた(専門学校に通った3年間だけは、夫の扶養に入ったけれど)。もちろん、まだまだ働かなきゃならないのが現状だし、体力が続く限り仕事はしていこうと思っている。けど、それってあとどれくらい頑張らなきゃならないのか、なにより自分がどこまで頑張れるのか。
来年80歳になる私の母は、75歳まで学童保育の支援員として現役でバリバリ働いていた。元保育士の母は、子供に関われる仕事にとてもやり甲斐を感じていた。子供達の宿題をみている様子だとか、一緒に外を走り回っている様子だとかを私は母からしょっちゅう聞いていた。
ただし今どきの子の凝った名前には、ちょっぴり苦労していたみたいで「フリガナがないと、ほんと読めないのよ〜」なんて言っていた。それを聞いて「へー、時代だなぁ」と、かつては無かったであろう大変さに(昔は読めない子がいても少数だったと思う)少々驚いた。でもまあ、それも含めて母は楽しそうだったけど。
母のように資格を持ち、自分の好きな仕事を長く続けられるのは幸せな事だと思う。私もとりあえず資格は持っているけれど、今の年齢で雇ってもらえる所はまず無いと思うので、仮に自分の持つ資格で母の歳まで働こうと思ったら、自ら開業するしかない。だがそんな事は無謀過ぎて、現実的にあり得ない。いや「絶対やりたい!」という確固たる意志があれば不可能ではないと思うが、私はその仕事に対してそこまでの強い気持ちは無い。
以前、同僚と前職の話になった時「なんで、ここ(工場)で働いてるの?」と、ちょっと驚かれた事があるが、私としては色々回り道はしたけれど、今の仕事は嫌いじゃないし自分の性に合っていると思うのだ。
結局「いつまでやれるのか」の答えは考えても出てこない(そりゃそうだ)。今はただ自分が出来る事、自分に必要だと思う事を黙々とやっていくしかないんだろうな。
そんな日々の先に、答えはたぶん、見えて来るのだろう。