「カップ焼きそば」は努力している。
この前、ものすごく久しぶりにカップ焼きそばを食べた。
カップ焼きそばって昔はよく食べていたけど、ここ数年?いや、ひょっとすると10年くらい食べていなかったかも知れない。
いつも行くドラッグストアで、たまたま安売りになっていた『日清焼きそばU.F.O』。昼近くでお腹が空いていたというのもあり、なんとなくあのソースが絡んだ麺をガッと食べたいと思い「よし、今日のお昼はコレにしよう」と決めて、カゴに入れた。
家に帰って、早速お湯を沸かす。表面のフィルムを剥がし、フタを途中まで開け、中の小袋を取り出し……久し振り過ぎるからだろうか、ただカップ焼きそばを作っているだけなのに、何故かドキドキというか、ワクワクというか、ちょっと分からないテンションになっていた。
熱湯を注いで、待つ事3分。この後、いよいよ湯切りだ。うっかり手が滑ってシンクに麺がバシャッなんて事のないように慎重にやらねば。そう言えば昔、(U.F.Oじゃなかったかも知れないけど)粉末のスープが別に付いていて、それをマグカップとかに入れて、このお湯を注げばスープも飲めるというのがあったな。本来なら捨ててしまうお湯を無駄なく使うという、すごいアイデアだと思ったが、あれはもうなくなったのかな。
案じていた麺バシャもなく(まあ普通そうだ)、香ばしいソースの匂いと、ほんのり温かな麺(後からソースを入れるから、アツアツじゃないんだよね)の焼きそばが出来上がった。
そうコレコレ!いただきまーす!
アグアグ……
ん?なんか、前より美味しくなって……る?
『U.F.O』の味を正確に覚えているわけじゃないが、私の中で「カップ焼きそばってこんなもの」と記憶している味よりも格段に美味しく感じた。
まず、麺の食感が違う。カップ焼きそばの麺と言えば、細く縮れていて尚且つ上手く噛みきれないって感じが当たり前だったのに、若干太くなり、なめらかで、もちっとした食感になっている。
さらに以前は食べ終わる頃、お湯に溶けたソースがカップの底に結構な量溜まっていたのだが、それがほとんどない。という事は、麺にソースがしっかり絡んでいるのだろう。
私が10年も距離を置いている間に、どうやらカップ焼きそばは密かに進化を遂げていたようである。
カップラーメンと違い、カップ焼きそばは味のバリエーションも少なく(ソース以外は塩くらいか?)、有名店とコラボ!みたいな高級志向へも向かわず(向かえず?)、ずっとスナック感覚というか「ちょっと小腹が満たせればOK」みたいな位置にいる。はっきり言って地味な存在だ。
まあ、それはそれで安心というか、いつまでも変わらずそこにいて欲しいという気持ちはある。
けれども、ラーメンの華々しい活躍を横目で見ながら、やはり焼きそばは悔しい思いをしていたのではないか。だから、もっと美味しくなろうとコツコツ努力を続けていたのだ。
果たしてこれは『U.F.O』だけの努力か?いや違う。何故ってカップ焼きそばは商品の種類こそ少ないが、それぞれみなロングセラーじゃないか。『ペヤング』も『一平ちゃん』も、長く愛される為にきっと地道に努力しているはず。
というわけで、昨日は『明星 一平ちゃん夜店の焼そば』を食べてみた。そして、こちらも非常に美味しかった。
『一平ちゃん』といえばマヨネーズだが(正確にはからしマヨネーズ)、コクがアップして、さらにソースの旨さを引き立てているそうだ。
やはりカップ焼きそばは、努力しているのである。