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干し柿は楽し。
今年、初めて干し柿を作った。
私がたまに見るYouTubeチャンネルで、一人暮らしの女性が自宅マンションのベランダで干し柿を作っていて、いつか私もやってみたいと思っていたのだ。
でも、いざチャレンジしてみようと改めてネットで『干し柿 作り方』で検索すると、だいたいどのサイトにもカビるのを防止するため、干す前に熱湯にくぐらせたり、霧吹きなどでアルコールを吹きかけたりしなきゃいけない、とある。
えー、意外と面倒だな。霧吹きとかも無いから買わなくちゃだし……やめよっかな。
早速いつもの面倒くさがりが発動されたが、とりあえず検索を続けていると、あるブログに「天気予報をチェックし、晴天が続くと思われるタイミングで干し始め、一気に乾燥させれば消毒しなくてもカビない干し柿ができる」と書かれているのを発見した。
なるほど一気に乾燥させる、か。うん、それならいけそうだ。
私の住んでいる所は気温が下がってくるとかなり乾燥するし、風も強い。我が家などはよくある卓上型ではなく、容量の大きいタワー型の加湿器を使っているほどだ。50代の女の肌には極めて厳しい環境だが、干し柿作りには最適なんじゃないか?
そうと決まれば、早速柿の調達だ。いつも利用している地元野菜や果物を販売している店へ行き、乾いて小さくなってしまうのだから大きめがいいだろうと(食い意地)、『蜂屋柿』という大玉の渋柿を買って来た。(5個630円)
皮を剥いて、ヘタの部分にT字型に残してある枝にビニール紐を結ぶ。それを小さめの物干しに吊るす。おっ、なんだかモビールみたいで可愛いぞ。それをベランダに出して、あとは出来るのを待つだけである。
自分でやってみて気付いたのだが、今の時期はご近所にも柿を干している家が割と多い。干し方も様々で、オーソドックスな数珠つなぎタイプもあれば、紐の両端に一つずつ結んで二個セットにして、それを幾つも物干し竿に引っ掛けてあったり(洗濯物はどこに干すのだろう)、潔く(?)紐一本につき柿一個という家があったり、それぞれのご家庭で独自のやり方があるようだ。
あ、あと柿が乾燥してきたら、固くなり過ぎないように軽く揉むという作業(というほどの労力ではないが)があるのだが、私はそれだけはマメにやった。
最初のうちは外側がフニャっとなっていても、中の方に、まだ固い果肉を感じたのだが、徐々に指先に触れる感触が柔らかくなってくる。それが渋柿から甘い干し柿への変化だと思うと楽しくて、「へっへっへ。美味しくなれよ〜」と言いながら(もちろん心の中で)、せっせと揉んでいた。
柿を干し始めて3週間。だいぶしっかり乾燥した気がする。この辺りで食べてみる事にした。
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物干しから取り外し、ビニール紐をカットする。
いざ実食。
…………
………う、美味い!
美味い、美味い。すっかり水分の抜けた外側の果肉は弾力があり、でもしっかり甘い。そして内側の柿の風味がグッと凝縮された香りと甘み。ねっとりとした歯応えは、まるで餡のようだ。ただ干しただけなのに柿のヤツめ、どんだけ力秘めてんだよ。
寒風にさらされ、乾いてシワが出来て茶色く変色するほどに、深い甘みを増す干し柿。うーむ、我が人生もかくありたいものである。
3週間かけた干し柿は、夫とふたりで3日で食べ切ってしまった。
美味しかったー、また食べたい。もっと食べたい。
というわけで、現在我が家のベランダには、第二弾の柿が干されいるところである。