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彼女と見た空だけが私の空だと思う。
私は普段全然空を見ない人間だった、アスファルトを睨みつけて小さい石を足裏で転がす人間だった、下だけを見ていた。

彼女は嫉妬するくらい綺麗な瞳で、月を見ていた。彼女といる時間が増える度、空を見る時間が増えた。日中もたまに月カレンダーを調べたり、夜は月を見るために階段を上ったりしていた。そういう癖はきっと彼女と話さなくなったからって消える癖ではない。私の中に彼女が残していったのは物より怖いものだった。記憶と癖は捨てられない。

出会ったのは6年前、仲良くし始めて4年と半年が経つ。なんとなくお互いに苦手な気持ちを抱いていた時期より、仲良く笑いあっている時期が圧倒的に長くなってしまった。あっという間だった、あっという間にここまできて あっという間に癖づいていた。

今日はスーパームーンだ。1年で1番月が大きい日、そして彼女の誕生日。
LINEを遡らなくてもわかる。9/14、私は彼女にスーパームーンの話をした。満月と新月は調子がいいと言う彼女の誕生日が、スーパームーンと重なる。嬉しかった。

でももうその嬉しさや話題を共有できることはない。私のLINEは彼女の誕生日が表示されないまま。

毎日自殺したい日々だったけど、彼女の誕生月を汚したくないから絶対10月は自殺しないって決めていた。4年間、私はずっと、決めていた。先月自殺企図したし、去年と一昨年は希死念慮が酷い時期だったけど、それでも10月自殺しないってことだけは守った。どうしようもない死にたいって気持ちに勝ったのは どうしようもない愛だった。
私にはそれしかなかったけど、それだけはあって良かったと思う。

今までの人生、沢山の友達と出会ってきたけど彼女以外に私をここまで考えさせてくれた友達はいない。だから今後も出会えないかもしれないって思う。神様、ありがとう、はやくにいい思いをさせてくれて。私に光をくれてありがとう。
私が月で君が太陽だった。私は彼女に照らされて生きて、彼女は私を愛してくれて生きた4年間だった。私は太陽の周りを公転していただけ、そしてそれももう終わり。さようなら、神様、さようなら、太陽。

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