第7回 「看護覚え書」のおぼえがき
私は障害のある方が利用するグループホーム(以下GH)に勤務しています。そこで行ったGH内研修での記録です。今回は5章の変化を読んだ感想をメインに書きます。
5.変化(Variety)
GH内研修の後私は、ナイチンゲール研究家の金井一薫先生が看護覚え書について解説している動画を見ました。金井先生によると、看護覚え書は1冊ではないそうです。第1版から第3版まであります。
第1版は1860年1月に出版。全14章79ページ。家庭の健康を守る女性向けに書かれました。看護が世に出た瞬間でしたと金井先生は言います。
第2版(改訂版)1860年7月に出版。全15章 補章が追加され222ページです。文字が大きくなり装丁も美しい本です。看護師及び看護学生向けに書かれています。ナイチンゲール看護学校の教科書としていました。
第3版(廉価版)1861年4月に出版。全16章 114ページ。労働者階級版ともいえます。文字が読めるすべての人に読んで欲しいと願い作られたものでした。
現在では第1版しかリプリントされておらず、第2版・第3版は幻の本と言われているそうです。ところが、日本では、現代社が幻の第2版を入手し1968年に出版し現在まで読み継がれています。入手が難しいということからも、看護師の多数が「看護覚え書第2版」を読んでいるのは世界でも日本だけとのことです。そういう意味で日本は誇りを持っていいと思うと金井先生はおっしゃっています。
看護覚え書の出版にはこのような背景があるのですね。この様なことを知るとより貴重な学びを得ている感じがします。
では、以下本文です。
GHでも花を飾ってくれる職員さんがいます。義務感などではなく自分で好きだからと楽しんでやってくださっていることは大変ありがたいです。入居者だけでなく私も癒されています。
また、花だけでなく季節感のある置物などを置いてくれることもありました。それによって忘れかけていた季節を感じることができました。
GHでは施設長もたびたび食において季節を意識させてくれます。自然の多い環境で生活をしていても生活に余裕がなければ季節の移ろいにも気づけなくなります。しかし、傍でほらもうこんな季節だよとおいしいお食事をだしてもらうと季節感を感じて日々の生活に潤いを与える一つになります。
このように、色々な方が何気なくやってくださっていること、変化を楽しむ心を支援者側が持つことも病と共にある方にはとても重要なことだと改めてナイチンゲールに教えてもらった部分でした。
実際の看護覚え書には病人の思いに変化を持たせるよう支援することが大切であるということが丁寧に書かれています。
この5章を読む前にタイトルだけをみて私が持った印象は「変化」ってなかな受け入れがたいものではないのかなあというものです。それが、なぜ看護であることに含まれるのかなと、むしろ患者の生命力の消耗につながるのではないかと思ったのです。
が、そこではたと気づいたのです。タイトルの横の英字に。「Variety」と書いてあるじゃないですか!私はすっかり日本語のタイトルだけを見て変化の意味を「Change」と捉えていたのです。これはまた私にとってはかなりの気づきでした。
すぐさまvarietyの意味を調べました。するとそこに出ていたのは、「変化に富むこと、多様性」とありました。そうですこの意味であれば、生命力の回復という感じがします。生活が変化に富むことや選択肢の多様性は病人でこそ必要であることがこの5章を読むとわかります。
施設長が言っていましたが、日ごろ何気なくやっていたことがとても意味のあることということです。私が印象的だったのは、「病人というのは外から変化が与えられない限り、自分で自分の気持ちを変えることができない」という部分でした。
ですから、支援者である我々が日々の季節の移り変わりや花を飾る心の余裕を持って利用者さんと関わることの大切さを感じました。やはり、自分に余裕がなければ人に分け与えることはできないのです。支援者の心が満ち足りていることも大切だと感じます。ちなみにchangeの方の意味は「変化、変更、取り換え」といったことです。
看護覚え書はとても難解であるため、私はいつも複数回読むことで毎回気づきを得ています。
皆さんはどのような感想を持ちましたか?ぜひ教えていただけると嬉しいです。
ここまで読んでくださりありがとうございます。次回は6章 食事について書いていきます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?