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【映画感想】リメンバー・ミー

ディズニーシーにいってから、相棒が撮影したイルミネーションショーの動画を、ほぼ毎日観ていた。

不動明王のように30分間じっと立ったまま、手持ちでがんばって撮影したのだ。

花火や、湖面を渡るキラキラ星、にぎにぎしく輝くストーリー毎の光の舟も素晴らしかったが、何より素晴らしかったのは音楽だ。

それで、そのショーのテーマになっている音楽をもっと知るべく、連日ディズニー映画の上映会をしていた。

まず、ラテンの音楽に惹かれて観たのは「リメンバー・ミー」。

メキシコの「死者の日」をテーマにした物語だ。

物語の中、死者の日に、人々は故人や先祖の写真を飾り、たくさんのごちそうを並べて花の橋を渡って帰って来る死者を迎える。

写真を飾ってもらえない死者は、花の橋を渡って現世に戻ってこられない。

そして、誰にもほんとうに思い出してもらえなくなったら、その魂は完全に消滅してしまう。

ご先祖さまを自宅に迎えて供養する日本のお盆の考えと似ている。

母は昔、お盆になると地獄の釜が開いて死者がやってくるぞと脅かされたそうだ。

子供の頃はお盆がものすごく怖かった、と言っていた。

ハロウィンも死者の国の扉が開くという伝承に基づいていたものらしい。

地球の反対側に、はるか昔から続く同じような文化があるなんて面白い。

キリスト教や仏教がやってくるはるか古代から、人々は死者が帰ってくる日をお祭りしていたのかもしれない。

実は古代史は、人の移動や文化の交流がもっと盛んだったのかもしれないな、と思う。

さて、「リメンバー・ミー」を観た感想である。

ディズニー映画の中で1番好きかもしれない。

ヒロインは出てこない。

でも、家族がでてくる。

主人公の男の子は、歌手になるという夢を持っているのだが、ある理由で、歌うことを禁じられている。

家族を愛しているが、夢を諦めたくない。

そして、自分を認めてくれるキズナを探しに出る。

物語には、ゾッとするほどの悪人が出てくる。
ディズニーの悪者は、グリム童話的な「世界の残酷さ」の表現を継承していると思う。

そのゾッとするほどの悪意によって世界が真っ暗に染まるその瞬間、変わらない何か温かいものの存在が際立つのだ。
それは愛だったり、真心だったり、本当の絆だったりする。

生者の世界のみだったら、悪意によって壊された絆は二度と取り戻せなかったろう。

でも、物語は死者の日に起こる。

生者も死者もごちゃまぜになって、祭りのようにストーリーが進む。

主人公の少年が、生者と死者を越えたほんとうの絆を繋いでいく様が胸熱だった。

本当の絆を見つけた時、少年は知ることになる。
絆というものは、押し付けるものではなく、夢を諦めて手に入れるものではない。

今、共にいる人との絆も、時と共に変わっていく。
でも愛や思いやりで繋がった絆は、たとえその人がもうこの世界にいなくても、ポカポカと心を温かく灯し続ける道しるべになる。

そして、それを知った少年は、ひとつ大人への階段を登るのだ。

ラテンの明るい音楽も良かった。

相棒も、ほぼ初めて観たディズニー映画が、「リメンバー・ミー」で良かったと言った。

とてもいい映画だった。

もう一度ディズニーシーにいったら、こんどはショーの音楽とストーリーの意味がわかるから、もっと楽しめるだろう。

音楽が良すぎて、思わず踊っちゃうかもね!

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