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お達者クラブからの脱出

お達者クラブ誕生日会を去年から計画していて、いよいよ当日がやってきた。

朝早起きして誕生日ケーキを作った。


今日は2月組3人のお祝いをいっぺんにするのだ。



3人分のお祝い、ということで、数字の入ったロウソクを立ててるうちに、ワケがわからなくなった。まあ、いいか!


お昼くらいに来てね、と言ったのに、10時半にやってきた89才の伯父伯母夫妻。

準備万端にして乾杯のドリンクから順序よくおもてなしする予定が狂った。

わー!大変だ大変だ!
あたまがマッチロケになって、どうしてよいやら。

もういいや、できたものから出しちゃおう。

伯母がお寿司を頼んでくれているので、メインが到着するまで、出来上がった順番に、シーフード炒め、キッシュを出した。

少しずつ取り分けたけど、みんなもうこれでおなかいっぱい、という雰囲気になる。

だから、12時くらいから、って言ったのに〜、、、。

お寿司到着!わーい🙌

顔補正アプリで美人三姉妹になった!

母と伯母も写真に大喜び!
やっぱりいくつになっても写真は綺麗な方がいいよね〜。

お寿司も食べておなかいっぱいだけど、ケーキはやっぱり別腹らしい。

母が、日頃からの練習の成果、電子ピアノでハッピーバースデーの曲を弾き、伯父夫婦と私でハッピーバースデーソングを歌って、蝋燭を吹き消してからケーキカット。

美味しい美味しいと食べてもらって良かった。

さて、食事が済むと、どうやらスマホを買い替えたばかりらしい伯父がラインの使い方について聞いてきた。

が、なんど教えてもわからないみたい。

「うん、うん、そうだよね、そうなんだよね」

とはいうんだけど、「で、これってなに?」となって最初から説明のやり直し。

docomoさん、もっと、初めてさんにもわかる説明書を作ってあげてくださいな。

どうやら京都にいるお兄さん(御歳102歳)とラインでビデオ通話をしたいようだが、まず相手先にラインの登録をしてもらわなくてはならない。

それから、ビデオ通話の仕方、通話終了の仕方を教えて、撮った写真の送り方、送られた写真の見方と、端末への保存方法を教えた。

全部教えて、はー、大変だった、とホッとしたら、
「で、どうやるんだっけ?」となり、最初からやりなおし。

それが、翌日も早々にやってきて、また最初から教え直しになった。

なんと、4時間ぶっとおしで教えることになった。
でもなんど教えても、LINEをメールだと思ってるし、ラインを開くところから教え直しになる。

もしかして、ライン、がわかってない?

そこからか!

伯父はスマホについて終わりなき質問をしてくる。伯母は、幼い頃、疎開時にあった虐待やイジメの記憶を、毒を吐くように呪いをかけるように延々と喋り続ける。トイレに立つ暇もない。

私はだんだん具合が悪くなって、とうとう胃が痛くなってダウンしてしまった。

もうだめだ、お手上げだ。

母はスマホをサクサクと使いこなし、スマホの楽しさを満喫しているが、どうやら新しいことをぜんぜん覚えられない人もいるんだな、となんとなくわかってきた。

伯父はスマホ教室に通っていた、というのに、教室はいったい何を教えていたんだ?

相手が、何がわかってないのかがわからないと、何を教えていいからわからないので、お手上げである。

私は胃痛と下痢で翌日一日寝込んだ。

もともと、ちょっと頑張ると倒れてしまうヘタレ体質を忘れていた。

翌朝そうそうに電話があり、朝早くから伯父夫婦がやってくるらしい。

わたしは少しご飯がたべられる程度に回復したので、コリャータイヘンダ、とおうちへ帰ることにした。

元気な89歳のペースに付き合っていたら、死んでしまう。

無事に家に辿り着き、相棒にその話をすると、

「ガンダム最終話の脱出みたいだね。」

と言った。

つまり、命からがら逃げてきたね、という意味だ。

ファーストガンダムの最終話、炎に包まれるホワイトベースから、乗組員がアムロの声に導かれるように脱出する。

「生気を吸い取られたきがするよ」

私はげっそりした顔で答えた。

奇しくも、テレビ埼玉で、ガンダム最終話が放映されていた。


最後、主人公アムロも脱出を果たして、友人たちのもとへ帰るシーンはいつ見ても胸熱である。

なんとなく、命からがら脱出してきた直後だったので、感慨深いのもひとしおであった。

お達者クラブは脱退させてもらおう。

まだ坊やだからさ。

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