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ひらかたハートの宝探し:動物たちが教えてくれる大切なもの⑧「青空の下で気づいたこと:シンシンの心の変化」


舞台は大阪府枚方市。にぎやかな街の中に、個性豊かな動物たちが住んでいる。彼らの冒険は、いつも予測できない展開を迎え、町中を駆け巡る。登場

人物紹介
①らうちゃん: パンダの女の子。自分がアイドルだと思い込んでおり、いつも自己中心的な行動で周囲を巻き込む。
②江素男: フクロウの男性。松潤のようなカリスマを自認し、周囲の動物たちを「自分のファン」と思っている。
③パオ: ダンボのような泣き虫で、やくざ映画が大好き。落ち込んでいる時に、映画のセリフで励まされることが多い。
④アウル: 江素男の息子で、父親を尊敬し、パオと仲良し。
⑤キー太: 阪神タイガースのキャラクターのようなトラ。自信家で、何事も「勝つ」ことを信じている。
⑥シンバ: ライオン。百獣の王だと思っており、常に威厳を持って行動する。
⑦もんちゃん: サル。捨てられていたが、江素男に拾われ、家族として迎え入れられる。
⑧永明: らうちゃんの夫で、もう一匹のパンダ。冷静で優しい性格。
⑨江寿子: みんなのおかあさん。温かい心でみんなを見守っている。
⑩梨男: みんなのお父さん。物静かで、家族を支える頼りがいのある存在。
⑪いちご: 梨男家に飼われているうさぎの女の子。肉食系で、少しツンデレ。
⑫檸檬: 梨男家に飼われているうさぎの男の子。草食系で、おっとりとした性格。

物語:
ある日、大阪府枚方市のにぎやかな街中を、疲れきった顔をしたシンシン(パンダの女の子)が歩いていました。長い一日が終わり、仕事のストレスが全身に重くのしかかっていました。仕事がうまくいかず、人間関係でも悩んでいたシンシンは、足早に帰路に向かっていました。道行く人々はみんな忙しそうに歩き、無表情な顔をしているように感じられました。心が沈んでいるせいか、周りの景色も、灰色のビルと無機質な道路ばかりに見えて、どこか寂しく感じていました。

その時、偶然立ち寄った小さな公園。普段は通り過ぎることが多い場所ですが、今日はふと立ち止まり、ベンチに座りました。周りにはいくつかの木々があり、鳥たちがさえずり、青空が広がっていました。しかし、その景色を見ても、シンシンの心には響きませんでした。なぜなら、彼女の心の中は、焦りと不安、疲れでいっぱいだったからです。

そのまま数分間、ただ静かに座っていると、ひとりの年配のフクロウの男性・江素男が公園にやってきました。彼は少し歩くのも遅く、ゆっくりと公園のベンチに座ると、空を見上げて穏やかな笑顔を浮かべました。江素男は目を細めながら、そっとつぶやきました。

「今日は本当にいい天気だな。空がこんなに青いと、心も晴れやかになる。」

その言葉にシンシンは少し驚きました。彼女自身は、青空があることに気づかなかったのです。それどころか、疲れた心で目の前に広がる景色さえも、魅力的に感じられませんでした。しかし、その江素男の言葉が、ふと彼女の心に響いたのです。

「今日は本当にいい天気だな。」

シンシンは静かに空を見上げました。その瞬間、目の前の青空が少しだけ鮮やかに見えました。空の青さ、風の優しさ、そして周りの木々が揺れる音。何も特別なことはないのに、なぜか心が少し軽くなった気がしました。江素男の言葉と、自分が見逃していたものを再発見したことで、景色が変わったように感じたのです。

その時、シンシンの隣で、パオが何やらぶつぶつとつぶやいていました。

「うーん、映画のセリフみたいな感じだよね。『この青空を見ろ!』って。おれも何か、そういうセリフ思いつきたいなあ。」

パオは泣き虫で、やくざ映画が大好きな動物で、よく映画のセリフで自分を励ますことがありました。シンシンは少し笑顔になり、軽く頷きました。

「確かに、そうだね。気分が変わるって、そういうことかも。」

すると、キー太も大きな声で言いました。

「ねえねえ!この青い空、勝ちに行くみたいな気分だね!きっと今日は最高にいい日だよ!」

キー太は自信家で、何事も「勝つ」ことを信じているトラで、元気いっぱいでした。シンシンはそんなキー太を見て、少し元気をもらった気がしました。

アウルも静かに言いました。

「今日は、何か特別な感じがするよ。空がこんなにきれいだから、何か良いことがあるんじゃないかな。」

アウルは江素男の息子で、父親を尊敬している賢いフクロウの子です。静かな優しさがシンシンの心に伝わりました。

それから少しの間、シンシンは深呼吸をしました。気持ちを落ち着け、再び周りを見回してみました。すると、目の前の景色が少しずつ変わり始めたのです。歩道に咲いている花が明るく、風に揺れる木の葉の音が心地よく響いていました。歩いている人々の表情も、どこか温かく感じられ、忙しさの中にある何気ない幸せを感じることができました。

その後、シンシンは心にゆとりを持ちながら家に帰りました。あの小さな公園でのひとときが、彼女に「気持ち次第で景色が違って見える」ことを教えてくれたのです。疲れているときや落ち込んでいるときには、周りの世界が灰色に見えることもありますが、気持ちを少し変えるだけで、世界は突然輝きを取り戻すことがあるのだと。

その日以来、シンシンは毎日少しだけ意識的に空を見上げることにしました。青空がどんなに広がっていても、たとえ曇り空でも、それが自分の気持ちにどんな影響を与えるのか、少しずつ感じることができるようになったのです。景色が違って見えるのは、何も目の前のものが変わったからではなく、自分の気持ちが変わったからだと実感するようになりました。

シンシンは心の中で、いつも周りの動物たちと過ごす日々がどれほど大切で素晴らしいものかを再認識しました。そして、これからも彼らと一緒に、気持ちが変わることで、もっと素敵な景色を見つけていくことができるだろうと感じました。



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