ひらかたハートの宝探し:動物たちが教えてくれる大切なもの④『江素男と忘れられない恩師の物語』
大阪府枚方市。にぎやかな商店街を歩けば、聞こえてくるのは元気な声や笑い声。その中に、個性豊かな動物たちが住む小さな町があった。彼らは人間が忘れた大切なものを教えてくれる、不思議な存在だ。
登場人物紹介
①らうちゃん: パンダの女の子。自分がアイドルだと思い込んでおり、いつも自己中心的な行動で周囲を巻き込む。
②江素男: フクロウの男性。松潤のようなカリスマを自認し、周囲の動物たちを「自分のファン」と思っている。
③パオ: ダンボのような泣き虫で、やくざ映画が大好き。落ち込んでいる時に、映画のセリフで励まされることが多い。
④アウル: 江素男の息子で、父親を尊敬し、パオと仲良し。
⑤キー太: 阪神タイガースのキャラクターのようなトラ。自信家で、何事も「勝つ」ことを信じている。
⑥シンバ: ライオン。百獣の王だと思っており、常に威厳を持って行動する。
⑦もんちゃん: サル。捨てられていたが、江素男に拾われ、家族として迎え入れられる。
⑧永明: らうちゃんの夫で、もう一匹のパンダ。冷静で優しい性格。
⑨江寿子: みんなのおかあさん。温かい心でみんなを見守っている。
⑩梨男: みんなのお父さん。物静かで、家族を支える頼りがいのある存在。
⑪いちご: 梨男家に飼われているうさぎの女の子。肉食系で、少しツンデレ。
⑫檸檬: 梨男家に飼われているうさぎの男の子。草食系で、おっとりとした性格。
物語:フクロウの江素男は、商店街の路地裏で「ファン」たちに囲まれていた。彼は自称カリスマで、どんな時も堂々としている。しかしその日は、どこか元気がなかった。
「江素男さん、どうしたの?最近元気ないやん。」
アイドル気取りのパンダ、らうちゃんが首をかしげる。
「恩師がな……亡くなったんや。」
江素男の言葉に、その場の空気が一瞬にして静まり返った。
彼の恩師は、江素男が若い頃、大きな困難にぶつかった時に手を差し伸べてくれた存在だった。小さな枯れ木の巣に住んでいた江素男に、いつも励ましの言葉をかけてくれた。「人生は風に乗る旅や。どんな嵐もいつか過ぎる。大事なのは自分の羽を信じることやで。」
恩師の訃報を聞いた江素男は、町のみんなに提案した。「恩師を偲んで、みんなで思い出の場所を巡らへんか?」
こうして、江素男、アウル、らうちゃん、パオ、シンバ、キー太たちは町を巡る冒険に出発することにした。梨男家の檸檬とうさぎのいちごも「しょうがないわね」とついてくることに。
最初に向かったのは恩師がよく訪れていた川辺の公園だった。そこで、もんちゃんが何かを見つけた。古びた木の葉に書かれたメッセージだ。
「自分を見失うな、どんな時も。」
らうちゃんがそのメッセージを声に出して読むと、みんなの胸に静かな感動が広がった。「恩師はここで自分の言葉を残してたんやな」と江素男は静かに呟いた。
最後にみんなが訪れたのは恩師の家だった。そこには昔のノートや道具がそのまま残されていた。江素男は、その中にひとつの封筒を見つけた。封筒には彼の名前が書かれていた。
手紙の中にはこう書かれていた。
「江素男よ。お前は苦労を乗り越え、今やたくさんの仲間に囲まれているな。人は一人では生きられへん。みんなの力を借りて、新しい風を見つけなさい。」
その言葉を読んだ江素男の目には涙が浮かんだ。「ありがとう、先生。俺、もっと頑張るわ。」
第4章:忘れられない教え
町に戻った江素男たちは、恩師の教えをみんなで分かち合った。「困難にぶつかった時は、仲間と一緒に乗り越えればええんや。」
らうちゃんも、パオも、キー太もそれぞれの方法でその言葉を胸に刻んだ。町の動物たちは、それぞれが何かを学び、また新しい一歩を踏み出す勇気を得たのだった。
枚方市の商店街の片隅では、今日も動物たちが集まっている。彼らが教えてくれるのは、人間が忘れてしまった大切なもの――支え合い、励まし合う心だ。
江素男は、夜の空を見上げながら静かに呟いた。「先生、俺のファンが増えたで。これからも見守っててな。」
そして、彼はいつものように仲間たちの輪の中に戻っていった。町は今日も活気に満ちていた。