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息子から届いた15年ぶりのメッセージと新たな命

15年ぶりに届いた息子からのメッセージ。それは突然の知らせでした。「孫が生まれた」という、当たり前のようで、でもどこか特別な内容でした。普通の父親なら、喜びとともに自分の息子に会ったことを振り返り、当然のように祝福の言葉をかけるところだと思います。しかし、私にとってそれはただのメッセージではなく、非常に複雑な思いを抱かせるものでした。

私が息子たちと最後に会ったのは15年前。その時のことは今でも鮮明に覚えています。思えば、私の人生は波乱万丈でした。30歳で3000万円以上の借金を背負いながらも必死で立ち上がり、完済したのは2000年7月でした。それから数年後、離婚が決まり、二人の息子とは生き別れてしまいました。長男とは連絡が取れなくなり、次男とは何とか連絡をとることができましたが、疎遠になっていました。

因果応報という言葉があるように、私自身も3人の父親が変わり、家族という形がわからないまま育ちました。当然、自分が歩んだ轍を踏ませまいとして、家族を大事にしようと思い結婚しました。かつての経験から、家族こそが最も大切だと痛感していたからです。しかし、家族のために頑張ろうとした結果、投資詐欺に巻き込まれ、家族離散の原因を作ってしまいました。

その後、必死に働いて借金を返しましたが、当然仕事が忙しく、息子たちには十分な時間を割けませんでした。そして話し合いの結果、離婚をしました。

紆余曲折を経て再婚し、新たな家族ができ、3人の子供たちを育て、見守りながらも、心のどこかで息子たちとの絆を取り戻したいと思っていました。しかし、日々の忙しさと生活の変化が、それを阻んでいました。

連れ子の3人(息子と娘2人)は、逆に彼らが多感な時期を共にし、何とも複雑な状況にありました。上の娘はアメリカに留学し、一番お金がかかりましたが、毎年父の日には心温まるプレゼントを送ってくれます。そして、血は繋がっていないけれど2人の孫たちに毎年のようにクリスマスや誕生日にプレゼントを送ると、「おじいちゃんありがとう」という動画を送ってくれます。その笑顔が、どれほど私を癒していることか。

下の娘は、少しドライな性格ですが、誕生日のメッセージだけは欠かさず送ってくれます。そして、連れ子の息子は時折元気そうな様子を伝えてくれます。しかし、実の息子たちとは連絡が取れないまま、どこか心に空白を抱えたままで、私は毎日を過ごしていました。

その中で、突然、上の息子からのメッセージが届きました。「孫が生まれた」という知らせ。何もかもが、複雑に絡み合っている私の人生を象徴するかのようでした。過去の過ちや後悔を思い出し、しばらくはその意味を考えました。

でも、私は気づきました。息子が連絡をくれたこと、それが何よりも大切なことだと。しかもこのタイミングで……。一生会えないかもしれないと思っていたのに連絡が取れたことは、素直によかったと思います。退職も決まり、文字通り新たな始まりが訪れるかもしれません。

過去のすべてを受け入れながら、私はこれからの未来に向かって、少しずつ歩んでいこうと思います。どんなに複雑であっても、家族の絆はどこかで繋がっている。息子が、孫が、この世に生まれてきたことで、私の人生は新たに続いていくのだと思いました。

「俺はお父さんに似てるんだけど、そのまんま孫にも遺伝したよ」「子孫は繋がっていきます。産んでくれてありがとう」というメッセージが心に響きました。

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