展開する能力
本日は国際的に活躍する弁護士「矢部正秋」さんの言葉を紹介させていただきます。
私が本を年間200冊くらい読んでいた20年前の文章になります。
「弁護士をしていると、いろいろな事業のアイデイアが持ち込まれることが多い。
小さいものは、「指飾り」のアイデイアを買ってもらいたいというものから、大きいものではヨーロッパの某国で日本の貿易センターを建設する計画までもちこまれる。
だが、こういった話の99%はアイディア倒れである。自分のアイディアを一方的に過大評価している。市場調査も資金もない。
要するに他人の知恵と金をあてにして勝負をしようというのだが、ではどのようにプロジェクトを遂行するかというと具体案がまったくない。
資金も人材もないのに、アイディアだけで世間の荒波をわたっていけると思っている。
たまに金を出しそうな人が現れると、今度は自分のアイデイアが盗まれるのではないかと疑い始める。
世間を渡るのに重要なのはアイディアよりも、アイディアを展開する能力、実地に移す遂行力である。プロジェクトをころがす能力といっていい。
どんな素晴らしいアイディアも、ころがし無能力者にかかると必ず失敗する。
反対に貧しいアイディアも、ころがしかたがうまければアイデイアが膨らんで立派に花が咲く。
だから、あるプロジェクトを実現するには少なくとも資金、投入する人材、遂行期間、期待利益などについて綿密な計画を立てて、細部まで具体的に検討することが必要だ。
このようなしっかりとした計画がないと人は動かない。
交渉の端緒さえつかめない。
しっかりとした遂行計画があって始めて、金を貸す人も現れ、人材も集まる。」
矢部正秋さんの言葉から学べることは、アイデアだけではプロジェクトを成功に導くことはできないという現実です。
アイデアを現実化するためには、まずそのアイデアをどのように実行に移すか、具体的な戦略や計画を立てる能力を磨くことが重要であり、実行力がないとどれほど素晴らしいアイデアでも空回りしてしまいます。
そして、プロジェクトを成功させるためには、資金、必要な人材、遂行期間、期待される利益といった詳細をしっかり計画する必要があり、不十分な計画では誰もついてきてくれないばかりか実現自体が難しくなります。
その上で、アイデアに基づくプロジェクトを進めるには実行方法を具体的に示し、単なる発想にとどまらず、実行可能な手順を明確にして関係者に示すことが求められると思います。
さらに、プロジェクトを実現するには他人の信頼が不可欠であり、資金調達や人材確保を成功させるにはしっかりした計画を示して信頼を築くことが必要です。
最後に、自分のアイデアを素晴らしいと信じることは大切ですが、過大評価しすぎると計画が甘くなり成功の可能性が低くなるため、冷静に現実を見据え、実現可能な範囲で計画を立てることが重要だと思います。