ハブられ社長
当時、私は20年経営してきた会社社長と
業界団体の委員と忙しい日々を送っていた。
50歳を過ぎたクリスマスイブ脳内出血で
1か月入院した。
仕事や生活をするには支障がないほどには
回復したが歩行での躓きと
ろれつが回りづらい時があり
1年ほどリハビリをして
本格的に仕事に復帰するぞと
勇み次の世代の経営者を育てようと
社員教育に励んで仕事をこなしていた
退院後2年過ぎた新年明に
社員全員全員から辞表が提出された。
その時は、どういうことなのか全く分らず。
社員達に辞めないように説得に努めた。
しかし説得の効果は全くなかった。
これは、今から10年前の出来事である。
今考えれば、私と言う人間が居て
営業をして仕事をとってくる。
その仕事の量は年間数億に達していた。
私の会社にいれば、それなりの
給与が保証されている。
だから辞めようと思う社員がいるはずがない
という私の傲慢が招いた事だったの
だろうかと今は思う。
その結果、仕事は有るのだが社員が居ないので
仕事をこなすことが出来なくなり
受けた仕事を知り合いの会社に
受けて貰うように頼んで回りその場を
しのいだ。
結果として私の会社の収入はゼロになった。
私の会社は、借り入れもそこそこあった為
当然のことながら会社は倒産、
私個人も自己破産の申し立てを
裁判所にすることになった。
裁判は1年以上に及び罷免の結審となった。
当然私の自宅などの財産は
管財人の管理のもと処分された。
妻とはこれを機に離婚した。
と言うより離婚された。
私には、介護が必要な母が居たのだが、
家が無くなったので
公営の住宅を借り母の介護を続けながら
フリーター生活が始まった。
ともかく出来る仕事は何でもした。
同業者の手伝い営業に実務に始まり
皿洗いイベントの設営等々。
仕事は何とか見つかったので
苦しいながらも生活はできた。
2020年を過ぎたころに
社員が全員辞表を出してきたのは、
私が「ハブられたのだ」と気づいた。
それまでは「ハブ」などと言う
言葉すら知らなかった。
「ハブられる」と言うことは学生さんの
学校でのいじめだと考えていた私には、
大人社会に同じことが有有るのだと言う
事を少しも考えなかった。
しかしながら私の会社を辞めて行った社員が
別な会社を立ち上げたといううわさも
聞くことがなく辞めた社員は一様に
「もう嫌なんです」と言うばかりで、
私の方が心配して辞めて行った社員を
出来るだけ拾い上げて欲しいと
関連する同業の会社に
頭を下げて回ったほどであった。
今は「ハブられる」と言うことが、
子供社会にも大人社会にも
共通に存在する社会現象なのだろうと思う
論理的思考の私には理解不能であるが、
それだけに社会と言うものは
形の無いもの理屈だけでは通らない物だと
考えるようになった。
これは、とても恐ろしい事だと思う。
こうしてている今も学校で会社で生活の場で
「ハブ」されている人が居るののだろう。
だけれども未だにどうして
私が「ハブられた」のか分からない。