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鴨川食堂しあわせ/柏井壽

鴨川食堂シリーズ9巻目「しあわせ」です。
これまでのシリーズ以上に「職探しの依頼人」が複雑な事情を抱えていてストーリーがボリュームアップしています。人生の岐路を迎えた人が探しに来る「食」は、その人が見たことも食べたことのない物だったり難解を極めす。食には力があり人の心を動かし、始めてたべるけれども懐かしい味がする。不思議な食の力を感じて目頭が熱くなり心温まる短編6話、失踪した父に伝えたい「焼き鳥」亡き妻に秘めた思いの「駅弁」夫の浮気が頭から離れない「イタリアン」情よりお金をえらんだ「巻きずし」恋人の目指した「フィッシュアンドチップス」仲の良かった弟の最後の食事「すき焼き」の6話が温かく心のこもったおもてなしで依頼人の悩みに寄り添い涙を誘います。「食にドラマが人生があります」シリーズも後一冊で終わりかと思うと楽しみがわずかしかなく少し悲しくなります。