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|短篇の小説|もしも、猫や小動物たちの言葉が分かったのなら、それは、どんなに素晴らしい事だろうか………それはカノープスという海中都市の名……。



僕は今、失職している………………………。

正しく言えば、失職中のなかを、たたずんでいる、

もしくは失職中の期間を、なんとなくもがいている、………………………………



今、こうして、よるの真っ暗な、誰もいない公園のブランコに乗っかり、キィー………、キィー………、キィー………、いいながら前後に揺れている、もしくは揺られている。

暗い闇の中の公園で、ぼく事、小山田 羊。

26歳、今年の誕生日を迎えたばかりの僕は
、冬の夜の公園の空間を、じっと、観察していたのだった………………………。


キンと、冷えた夜の暗い空気は、さわやかだ

夜の公園を、こう、見回してみると、けっこう色んな小動物達が、たむろしているのが見えてくる。

地域ねこが、多かった。去勢・避妊手術済みの、耳先カットのオス、メスネコ達が。ウロウロしていたのだった。

キジトラ、ミルクティー色、チャトラン、サバトラ、ハチワレ、等などの色のネコ達が、公園内で、毛づくろい、あるいはじゃれ合いながら、夜の公園でヒマ潰しをしているようだった。

白黒ハチワレ猫が、こっちをじーっと見つめて、ニャー……………… と鳴いた。

気のせいか………ほほえみながら、何してるの?と言われている気がした………………。

少し目を凝らして見るに、ネコでない者たちもいるようだった。

それは、カワイイ、イタチのようだった。細長くクネクネして、2、3匹、ジャングルジムなんかに纏わりついて遊んでいた。

それよりも、少数、違う生き物たちも居るようだった。

まあ、アライグマ、一匹。ハクビシンみたいなものが一匹、それらが、滑り台で、滑って遊んでいる様は、見てて愉しく、面白かった

それは、まさしく、就活やってて、面接後に落とされて落ち込んでいる自分が、バカバカしく思えてくるくらい、夜の公園の、動物達の天衣無縫に遊んでいる様が愉快に見えて来たからだった。

猫たちが、集まり丸まって、猫だんごをやっていて遊んでいる様を見て、僕は思った………


  何やってんだろ。俺って…………………?


小さな自分に比べて、何も考えずに、のんびり愉快に人生ならぬ、動物生を生きてる動物達の自由さに、ある種のセラピーを受けたと言おうか。

面接先の面接担当社員に、言われたこと……


「正直、人生設計……って必要なんだと思いますよ。とにかく!何とかなる!なんて人よく見かけますけどねぇ〜〜〜〜〜」

「まあ、世の中、先、見えちやってますからねぇ〜〜〜!まっ!、今回の面接、無理っぽいかもねぇ………」

小山田羊の脳裏に、色々な場面がクルクルと回り始めていた、が、

夜の公園と、そこにたむろしているアニマル達の自由気ままな、人生を眺めていると、ブランコを思い切り振り、ぐおん、ぐおんと前後に大きく振り回り、している内に、どうでも良くなってきた。面接ごときに、チマチマ
、コマゴマしてる自分、小山田 が………………


古代に地中海に繁栄した、宗教都市。売春、賭け事、酒、宴、何でも許され、様々な宗教が容認され、きらびやかな黄金の秘宝が溢れかえり、様々な神々が信仰されていた、各国の王族達もこぞって立ち寄ったと伝わるいつか図鑑で読み、見た覚えがある……

紀元前の地中海の海中の下に沈んだ、古代海中都市、「カノープス」を思い出した。

この少し広い夜の冷えた公園と、そこに、たむろする動物たち。それらが海中都市カノープスに夢と希望と、金の全てをかけて船に乗ってやって来て、快楽と悦楽と、神に対する強い信仰心をもって船に乗ってやって来る、古代地中海人と、公園の動物達が、2重に重なって見えてきたのだった。また、夜の公園の猫、その他の小動物達が、面白おかしく人間の言葉で、喋り、騒いでいるように思えてきた……………………………………………

・まるで海底都市カノープスのようだ……・


それは、まるで海の底から蘇ってきた、「海底都市カノープス」を見ているようだった。


何かの愉快な、エナジーをカノープスから、もらった気持ちがして………………………

小山田 羊は、おもった。

また、就活、頑張ろう!!

そして、夜の公園を、後にしたのであった。


夜空は少し、今以上に冷え込んできていて、雪になる前の、みぞれが、降ってきていたのであった。

雪やみぞれ、夜空は、どことなくFantasyにも見えてきた………………………………

・さらば!カノープスよ!・



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