独男の哲学
がたんごとん
ゆ 「ゆれてりゅね~」
そ びくびくがたがた
ゆ 「あ?そうだおにーちゃん!?
おにーちゃんもどこかいくの?」
そ 「おにーちゃんは家へ帰るだけだ、
我が流山へ。流山へ……」
ゆ 「ふーん」
がたんごとん
ゆ 「……」
そ 「……」
そ 「電車乗ってると俺を虐めてきた奴ら
が周りにいてお?そうだじゃん!元気に
してたww?まぁ元気な訳ないかw学生
時代すっげーやられてたもんなWとか
言って来そうで怖いんだよな……」
ゆ 「おにーちゃん?」
そ 「おにーちゃんは本当はな?
東京都民だったんだ、東長崎ってとこ。
だけど親の都合でこうなっちゃって、
来る前に冗談ながら親に言われたんだよ、
ここ(東長崎)に残るか?それとも
今の家(流山)に来るかって。」
ゆ「……」
そ 「前に占い師に言われたんだよ、
君は30歳から運が良くなってくる。
大器晩成型なんだって、でも26歳の
今一瞬でも死にそうな場面が
何度も何度もあるんだよ。
流山に来て15年以上受けたこの
屈辱と苦しみを全て晴らせるのかって?
やっぱり占いは当たらないな。ははっ」
ゆ 「おにーちゃん!!」
そ 心臓が冷える
そ 「な……なんらい?」
むぎゅうううううううううううううううう
そ 「ゆーくん?」
ぎゅううううううううううううううう
そ 「……やっぱりいつもあたたかいな」
ゆ 「おにーちゃん」
…………
…………
アナウンス 「次は江戸川台~江戸川台」
そ 「おにーちゃんはもう降りないと」
ゆ 「そっか……じゃあね」
てくてくてくてく
そ 「…………」
てくてくてくてく
そ (少しベンチに座るか)
てくてくてくスタン
そ 「……」
そ (家に帰ってもやることはない。
スマホゲームはやらないし友人も
居ないし無駄に買うものなんてない。
タバコとコーヒーくらいだな、
何か食べちゃうと眠くなるから
今寝るとまた昼夜逆転になる。)
そ「…………」
そ(俺は何のために生きてるんだろう?)
そ てくてくてく
ファァァァァァァァァァァァン!
そ !?
ゴォォォォォォォガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン
そ (…………)
そ(これまで生きてきて得た苦しみの
数々は大統領にも総理大臣にも
大金持ちにもなれる苦しみではなかった。
意味はなかったんだ。)
そ(ここまで生きてきて幼い頃より
元気もなくなった。ろくに楽しい経験も
なかった。今に活きていない。
「八つ当たりしたい」なぁ……)
そ(誰か犠牲になってくれないかな、
誰かが犠牲になってそのお金を
俺にくれないかな……)
そ 「……」ウルウル
てくてくてくてく
みんなが居なくなれば幸せになれるのに