ぽかぽか劇場「えほんにちょうせん」

あるばしょでさんにんのきょうだいが
ひとつやねのしたでくらしていました

おとうさんとおかあさんもいましたが
どちらもしごとがいそがしくて
なかなかいえにいるじかんがありません

なのでむかいのいえにすむおばあちゃんが
いつもゆうはんをつくっては
もってきてたべさせていました

とはいえおとうさんとおかあさんが
かえってくるときょうだいたちが
すきそうなたべものやおもちゃ
そしておようふくなんかを
かってきてくれました

ところがじなんのぐっちゃんは
いつもおかあさんのしごとのいやなことを
きいてあげてるのにぐっちゃんのすきそうな
ものをなかなかかってきてはくれません

いちばんうえのおにいちゃんが
かってきたたべものをほとんど
たべちゃうからです

そしておせんたくものも
ぐっちゃんのふくがほとんどいちばんうえの
おにいちゃんのへやにいってしまうので
きるものもふじゆうでした

そしておともだちとあそぶすがたも
あまりみかけません

そんなようすをみていもうとのまみちゃんは
かわいそうだとおもいはじめました

おかあさんにたずねました
「なんでぐっちゃんには
やさしくしてあげないの?」
おかあさんはいいました

いつのまにかめをはなしてしまうんだと
でもぐっちゃんはいつもにこにこしていて
かなしむところをみたことがないから
たぶんだいじょうぶだといいます

「そんなの……あんまりだよ」

まみちゃんはほんとうはおにいちゃんが
さみしがりやさんだときづきました

どうしたらおにいちゃんのさみしさや
かなしさがなくなるのか?
かんがえたけっかこんなことをしました

「さぶろー……ぽっけかいかいしちゃ
だめだぞ」

がらがら

「ぐっちゃん!」

「なんだよ?まみか……、
そのえぷろんどうしたの?」

「えっへん!まみままだよ!」

「まみ……まま?」

「ぐっちゃんをいっぱいいっぱい
いいこいいこしてあげるよ!」

「…………」

「ぐっちゃん!」

「ふざけるなぁ!!」

「ひぃっ!?」

「はずかしいじゃないか!」

「ぐっちゃん……」

「あっちいけぇ!」

「……うぅ」

それからすうじつたちました

まみちゃんがいえにかえると
ぐっちゃんがかおをあかくして
めがまっかです

「ぐっちゃん!?」

「あっちいってよ」

「……いかない」

「…………」

「……いちばんうえのおにいちゃんは
ともだちのいえにいくっていってた」

「……」

「おばあちゃんもからおけにいってて
こんやのゆうはんはわたしがつくる
ことになってる」

「……」

「……もうぐっちゃんをなかせるひとは
いないよ」

「…………」

「うわぁあああああああああああん」

ぐっちゃんはまみちゃんのひざもとで
またなきはじめました

こうていのすなばにせっかくできた
すくないおともだちとおおきなおやまを
つくっていたのにたんにんのせんせいに
しかられたうえにそのさいちゅうに
かきゅうせいのこたちにおやまを
こわされてしまったのです

「いいこいいこ」

「ううう……すん、ぐすん」

「いいこいいこ」

「えぐっ、うぅ……」

そのままいちじかんほど
まみちゃんがぐっちゃんを
なきやましていました

そのままぐっちゃんはねむくなったので
おふとんにねかしつけました

つぎのひ

そこにはこうていののぼりぼうを
しょうぼうしさんのように
するするとげんきよくのぼる
ぐっちゃんがいたのでした

みんなおどろいています
「うっちゃんすげぇ!」

「へへー!さるだぞー!」

ころん

ついちょうしにのってしまいおちました

けがはないけれどふくにすなが
かかっています

「だいじょうぶだ!ぼくはすーぱーまん!
かいおうけんひゃくまんばいだー!」

「うっちゃんすげぇよ!」

だれともくらべたりせず
じぶんのぱわーをのばしたまま
いつまでもすごせたらいいなと
ぐっちゃんはおもいながら
きもちよくなっていました

めでたしめでたし



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「しそ」の人生後記。
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