独男の心配～憂鬱の紅葉～

ムニムーニを倒して半月経った。

そ｢……そろそろ、遂にか……｣。

零次は杞憂だった。
ムニムーニと脳を共有していて
ある程度の情報は知っていた。

この世界はムニムーニに博士が託した
機械の想像から展開された"世界"だと、
春夏秋冬の移りは変わらずとも
その展開された世界の住人の脳は
1年経過した時点で"一新"され、
その度に世界そのものは変わらずとも
世界内の住人の｢記憶｣だけが
また一から"出直し"になると…………。

そ｢ゆーくんと……ゆーくんとまた｣ｽﾝｸﾞｽﾝ

そして遂に零次の住む世界が
始まった季節、シルバーウィークの
時期に差し掛かってしまったのだ。

そ｢ゆーくんと世界が"更新"される前に、
もう1度……前からぎゅっと……したい。
嫌だ……ゆーくんとずっと記憶を残したまま
ずっと春の時期の布団の中のように
温かい空間の中で共に寝ていたかったよ｣。

めそめそ……しくしく

シルバーウィーク初日  9月16日

零次は家の押し入れの中

そ｢むにゃむにゃ……ゆーくんと……
むにむに……して……ぽかぽかに……な……り｣

シルバーウィーク2日目  9月17日

そ スニッカスを弱い歯茎で
苦戦しつつなんとか食いちぎる

そ(……左下の歯茎黒ずんでいるんだよな？
 最近はちゃんと歯を磨いている方なのに、
虫歯かそれとも……考えたくねぇな。)

むにぃ～っ、ぱきっ。もしゃもしゃ

そ (さっき吸ってから今2時間経つ前か、
流石にちょっとは慣れてはきたけど
やっぱり微糖コーヒーと嗅ぎたばこが
ないときっちぃわな…………。)

となりのいえ ｶﾞｺｫｰﾝ。

そ ｢チッ｣

そ 部屋の引き出しボックス上の
イヤーマフに手を掛けて奮闘しつつ被る

そ(あっ！また副交感神経が高昇って
ぽかぽかになり始めたろっ！)

零次は現在の所家の中で唯一落ち着く
｢押し入れベース｣のなかに潜った。

そ(ﾝﾌ----、なんか前はこうやって
押し入れなり布団なりに潜ってると
頭ン中ぽかぽかにすぐなれたのに……。
このニトリの羽毛布団も何年目だ？
……多分最低でも6年くらいは使ってるぞ？)

そ もふもふ

そ スマホをいじる

ﾌﾞｯ、ﾌﾞｯ、ｽｸﾛｰﾙー。

そ(……てかホントにこの時期のはずだよな？
…………)ﾌﾞｯ、ﾌﾞｯ。

そ(……………………)

そ｢もしや時期が違うんじゃないか？！｣ｼｭｯ！

が～ん そ｢いだだだ、チッ｣。

そ｢本来のムニムーニが機械を
始動させた時期も関係するかもしれん？
そこは俺の記憶に有る限り分からんが｣。

さてさて果たして？