一時保護所という場所
中学校卒業直前くらいに、一時保護所に入所していた
私物を全て預けて、全身施設の服になってやっと保護所に立ち入れるらしかった。
外観は灰色で重く黒い玄関扉があって、インターホンを押してちょっとして返事、扉が開く。
中は古い校舎みたいな木造の狭い廊下が続いていて、想像以上に古くて閉鎖的だと思った
玄関左手の部屋で待っていたら、壊れた電子オルゴールみたいな音が流れていて、何度も何度も流れるから不安になる。
後で分かったこと
唯一外に繋がる玄関が空いた時になる音で子供が外に出たらわかるのだ。子供たちを閉じ込めるための門番
暫く手を動かしたり膝を撫でたりして時間を潰してたら、職員が来てルールを説明した
・ほかの子供と私語禁止
・お風呂の制限時間があること(たしか15分か20分?)
・一日の活動が細かく決められてること
他にもあったけど、忘れた。凡そ調べたのと変わらないなと思った。
壁際に立たされて カメラで写真を撮られて 囚人みたいだな と思ったけど職員は
うん、いいんじゃないですか。と言った
2階のベッドと机がある居室に通されて
まずお風呂に入りましょう
と言われたので言う通りにする。
脚にあった肌荒れを写真に撮られた。
決まりだからとからだを洗っている間暫く監視された。
あがって部屋で髪を乾かした。早く乾かさないと、と思って 半乾きで終わりました と言うともうちょっと乾かしてと言われて、なんだか自分が恥ずかしくなった。
古い木の甘い匂いと知らないシャンプーの匂いで自分の物も、もうひとつもない、と感じて涙がつぎつぎに溢れた。
沢山泣いたら、布団にくるまって寝たいのにその自由も奪われて完全に無力、孤独
何人も職員が挨拶に来て、椅子に座ったまま返事をしたら 立ちましょう。と言われて、大人たちが決めて、こんな刑務所みたいな所に連れてこられた15歳にそんなこと指摘するこの職員はきっと冷たいんだ、と思った。
面接(カウンセラーの人と話すことを面接という)がその日のうちに入って、一時的に保護所の外に出て面接に向かった。(とは言っても保護所と面接する場所は数メートルしか離れていない)
今思うと、走って逃げ出そうとすれば良かったのに。
面接で入りたくないと泣いて訴えたけど、どうにもならなくて保護所に戻った。
何時間か植物や鉱物の小さな図鑑を渡されて部屋の机で読んでいた。足が冷えて仕方ない
夜ご飯が出てきたけど食べたくなくて(ちょっとした反抗)下げてもらえますか、と言うと お茶だけ飲んでと言われた
寝る時間になったら、ばたばたばたと騒がしくなって小学生1年生〜18までの子供たちが階段を登って部屋に入ってきた。(3人部屋がいくつかある)
日記を書かなければならない決まりで、冬に着るには薄すぎるパジャマに着替えたら、早く保護所を出たいからしっかりと問題を見つめる、というような事を書いて先生に渡して、
布団に入った。ふわふわの毛布もさらさらのガーゼケットももちろんなかった
眠りだけが自分で行ける唯一の保護所ではない場所だった
夜は足が冷たくて冷たくて、起きてしまった。