この恨み、晴らさでおくべきか―アニメ『小市民シリーズ』3話雑感―
思わずタイトルのようなフレーズを想起してしまった、3話の前半のクライマックスともいうべき小佐内ゆきの孤狼の心が垣間見える〝覚醒〟シーン。
覚醒といっても、あくまで日常の謎作品。
文字だけが連ねられていく原作では、あくまで淡々と小佐内さんは口にする。
このシーンね、このシーン。
ここがアニメとして、映像的にどう表現してくるのかが楽しみだった。
で、その結果――
地獄少女かな?
おかっぱにした閻魔あいのごとき不穏さである。
羊宮妃那さんの声色で「いっぺん、死んでみる?」って聴いてみたくなってしまった。割と合いそう。
2話での水流の表現。
今回の、血の色のような赤い夕陽に赤い空、茜に染まる大きな橋の両側に立つふたり。
そして、どろんどろんと不穏なサウンドに、生ぬるく吹く風と、小佐内さんの可愛らしくもおどろおどろしさを孕んだ紅色の瞳――。
映像化の醍醐味をたっぷり味わわせてもらってます。ありがたい。
後半のクライマックスといえる、小鳩くんが今回の小佐内さん絡みの問題に関して、小市民になるという目標を一旦置いて昔のような「探偵」になる決心につながった健吾の言葉。
なんて言えば良いのだろう……。
映像と合わせてこのフレーズを聴いたとき、二人の「いい感じ」な表情も相まって、ほんのりBL的な空気を感じ取ってしまった……。
まあ、全然そういう作品ではないんだけどね。
主人公のふたりの関係がなかなか判りやすく動かないだけに、ほとんど唯一のサブキャラクターといえる健吾との関係性は、健吾が「正直で売ってる」だけに、明快な会話のやり取りで丁々発止と交わされて、絵面的に見やすくすんなり理解しやすい感じ。
小鳩くんが「小市民を目指してなにが悪い!」と本音を吐露するシーンも良かった。
小市民を目指す青春でなにが悪い!
だいたい全肯定しまくってる感想文でした。
まあ、細かい改変とかにいちいち目くじら立てるより、「今回の話も面白かったな」「次回もこうだといいね」などと仲間内で水に流して楽しむのが、ひとつの理想的な在宅アニメ評論家(自称)の在り方なのかもしれない。
(了)
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