⑧/⑧『入門シュンペーター 資本主義の未来を予見した天才』
⑧/⑧中野剛志氏著『入門シュンペーター 資本主義の未来を予見した天才』読了。
著者による解説動画は以下より。
今回は難しい本でしたので、各章ごと(全8章)にまとめていきたいと思います。
各章はこのようになっています。
①どんな人がイノベーションを起こすのか
②資本主義とは何か
③なぜ日本経済は成長しなくなったのか
④創造的破壊とは何か
⑤企業の成長戦略
⑥どんな企業がイノベーションを起こすのか
⑦シュンペーター的国家
⑧資本主義は生き延びることができるのか
今回は⑧を取り上げます。
⑧資本主義は生き延びることができるのか
正直、この章が一番難しかったです。でも、頑張ってまとめてみます。まず、シュンペーターは資本主義が「成功する」が故に、崩壊し社会主義へと変貌を遂げると言いました。資本主義が「失敗して」、社会主義、共産主義になると予想したマルクスとは対照的です。では、シュンペーターのいう社会主義とはどのようなものか。簡単に言うと、民間セクターよりも公的セクターの割合が高くなる社会と言えます。これは、GDPにおける政府支出の割合をみればいいでしょう。
写真にみるように、この200年の間にGDPにおける政府支出の割合は新自由主義的な政策が進められてる時代も含めて、増えています。さらに、シュンペーターは資本主義が進むことにより金やデータや数字でしかものを考えない「反英雄」的な人が増え、孫や子のために長期的視点に立って投資や貯蓄をする人(縦のナショナリズムを大事にする人)がいなくなり、少子化も進むと言います。文学部や歴史学科、哲学科を無駄と切り捨て、少子化が進んでいる日本を見ていると的中していると言わざるを得ません。他にも、今まで政治を担ってきた貴族階級の没落も招き、資本主義経済の土台が崩され、企業の大規模化が進み、中小企業が破壊され、これも資本主義を破壊する一因となるとしています。(貴族階級の没落がなぜ資本主義の基盤の破壊につながるのかが正直わかりませんでした。要は秩序が乱れるからということなのかな?フランス革命を思い出せば確かになんとなくわかるかも。。。)さらには、企業の大規模化が資本主義の条件である私有財産制と契約の自由を形骸化させること、企業が大企業化するとイノベーション自体が自動化され、企業人がこの世からいなくなることも指摘しています。しかも、マリアナ・マッツカートが指摘したように、現代では株主資本主義のせいで企業すらイノベーションを起こせなくなり、政府の産業政策が強く推し進められたことを見るとシュンペーターの定義する社会主義へと社会が変容していることは一目瞭然だと思います。このように、破壊されていった社会に政府が積極的に介入して維持させられる資本主義を、シュンペーターは「酸素吸入器付きの資本主義」と呼びました。もうほぼ社会主義と言っていいでしょう。ロシア・ウクライナ戦争によるコストプッシュインフレを機に各国政府が積極的に経済に介入し、さらに社会主義化が進んだように思えます。ということで、今回は難しかった章をなんとかまとめてみましたが、イマイチな感じです。勉強すればするほど分からないことが増えていく。一生勉強ですね。
ということで今日はここまで。
以上