水たまり
どす黒く濁った僕はもう素直になれず人生に嫌気を差していた。匙を投げていた。ある日、水たまりの中のもう一人の僕に腕を引っ張っられてザブンと水たまりの中の世界に入った。水たまりの中はどこもかしこもクリアで綺麗だった。どす黒く濁っていたのは僕だけだった。もう一人の僕は瞳まで澄んでおり輝いていた。純粋だった。僕みたいに疲労が諦めが悪意が一滴も映らなかった。
水たまりの世界は大人色に染まっておらず、子ども色に輝いていた。水たまりの世界はどす黒く濁った僕にとって眩し過ぎた。綺麗過ぎた。純粋過ぎた。と同時にあまりに僕とこの世界が不釣り合い過ぎて妬んだ。クリアに素直に子ども色に輝く世界、もう一人の僕。黒く濁り偽り大人色に染まった本来の僕。また戻れるなら子ども色に染まりたい。純粋に輝きたい。そう願ったら、元の世界に戻った。水たまりはただの鏡面になった。今度こそは素直に生きるから。純粋に生きるから。
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