葉が染り 小春日和の お堂さん 前を通りて お礼と願い
紅葉は 忘形見で 美しく 過ぎ去る季節 我も重ねゆく
痩せ秋刀魚 旨み濃いし 我肴 文句は言わずに 有り難き恵
空を突く コンクリートの 弦楽器 風が通れば 音色奏でる
中秋の 風を感じる 汗が引く やっと終わるか 月見て思う
待つ時間 仕事も忘れ 喉が鳴る 沸き立ち煮えて のせれば来るぞ
皿に立ち 酒のさかなか 子のおやつ 楽しい歌し 食っても旨し
湿り風 山を走りて 霧が咲く 麓に降りて 露となり
雨が止み 季節移りて 花焦る ゆるりする人 百合と詠うし
梅雨休み 涼しき空気 大輪が 高貴な香り 空に登るや
遅い梅雨 初めて濡れる 紫陽花や 顔を汚すは 土みず飛沫
夜明け前 伝え鳴いてる 時鳥 たどり着いたは 日の本の国
港町 暖簾誘われて 席につく 街の香りが 染みる器
喫茶店 店に入ると 足震え 彼女座りて メニューを探す
汁すする 竹の香りと 木の香り 豚の誘いと 麺の喉越し
ここの店 味を求めて 足伸びる 鍋の音鳴る 火が着く油