美少女文庫の休刊について言い残したいこと。 約5000字
亜ソートと申します。よろしくお願いします。
この記事にたどり着いた人は美少女文庫について知っている人だと思うので前文は省きます。
9月、10月の美少女文庫の出版数はゼロです。おそらく休刊でしょう。
過去にそれを予言した人も居ました。
私が思うことは「まあ当然だな」と思いました。
自分が買って読んだ美少女文庫は面白くなかった。
そもそも買おうと思う気になる作品自体がなかった。
必要とされなかった商品は市場から消えます。それだけです。
美少女文庫への手向けとして、もう少し掘り下げます。
1.なぜつまらないか
まずハード面。美少女文庫はカラーイラストと挿絵の枚数、クオリティ、全体のページ数が減少しています。
価格上昇については書籍全体の話ですので今回は触れません。
ハード面がショボくなっている以上、文章には一層のクオリティアップを期待していますが残念ながら文章もつまらないです。
ここ1~2年の作品のダメな点を挙げると、
1.空白と改行が多く、地の分少な目で台詞主体、没入感や質感がないテンポ重視の文体
2.無駄な展開で尺を使う、サブヒロインの濡れ場が中途半端に多いせいでメインの濡れ場が物足りない。構成のバランスが悪い
3.Hシーンに一貫性や流れがない、おねショタなのに逆転シチュ、真面目な性格のハズなのに突然の露出プレイなどとってつけた感がある
主に新規デビュー作家の作品に共通します。ここ1~2年の作品はほぼすべて上記のような同じようなパターンでダメなんです。アニメ邦画が青空と海と女子高生を描いたポスターにしているかのようなワンパターンぶり。それで面白い、つまらないの差があるのならともかく、美少女文庫は同じパターンですべてダメなんです。
ダメ、と言っても自分には合わないという話で合う人も居るのかもしれません。しかし合う人が少ないから衰退していったというのが自然な現象でしょう。
せめて特色というか、バリエーション豊富であれば刺さる人も居たのでは、まだ可能性があったのではと思わずにはいられません。
もう一つの要因として宣伝詐欺が挙げられます。期待させといて、蓋を開けたら期待していたものが入っていない、という作品が多いです。
特に多いのがハーレムとタイトルに入っているのにハーレム展開が皆無に近く、ただ順番にヒロインが登場しているだけというパターンです。
その他にも妹だと思ったら義妹、母親がメインっぽいと思ったら娘もかなりの枠を使っている、など表紙やタイトル、宣伝文の信憑性がゼロなのです。
妹が義妹、については作者が「妹と義妹では全然違うから中身が義妹ならタイトルも義妹にした方がいい、と進言したものの、編集部が突っぱねてタイトルを妹にした」と語っていますので作者に非があるわけではなく、編集部の無理解が原因です。
いずれにせよ大きな減点要素です。
2.なぜ買わないか
元々、私はデビュー作家の作品は買う主義でした。試し読みの時点で期待できなさそうでも。
しかし、上述した通り、買って読んでつまらないと思う作品に当たるケースが多くなりました。
1作目がつまらなかったら2作目も買いません。「前回がダメだったから今回も買わない」となります。
そんなパターンだらけです。自分が合わないと思った作家が続投している状況です。
こうしたループが続けば「新規作家の作品もどうせ合わないから買わない」となります。前述したように同じパターンばかりですし。
新規作家もダメ、続投作家もダメ、ベテラン勢は書かない、となるともう買うものがありません。
合うか合わないか、レビューを参考に購入を検討しても、後述しますが美少女文庫ではしっかりしたレビューがほとんどありません。
それゆえ買わない作品だらけになってしまいました。
どうすればよかったか
今、自分にある後悔として、もっと美少女文庫に対して意見を言うべきだったと思います。
つまらなくなっていく美少女文庫に文句を言わなかったから、美少女文庫が更につまらなくなっていったんだと思います。
「この作家は次の作品も読みたい」「この作家はつまらないからもうオファー出さないで欲しい」とはっきり言うべきでした。
ここが良かった、ここがダメだった、ともっと忌憚なく言えばよかったと思います。
もっと読者がレビューを忌憚なくできる空気を作っていくべきだったと思います。
実際に官能系の作品レビューは少ないです。とあるラノベ作家が「美少女文庫みたいな作品で抜けない、抜けたみたいにレビューするのはこっぱずかしくて出来ない。やってる人はようやるわ」とコメントしていましたし。
発言の是非はともかく、確かにレビューしづらいジャンルだとは思います。
それ故に自分がレビューをすることで他の人がレビューしやすい空気を作るべきでした。
Twitterやアマゾンレビュー、読書メーターといったサイトで美少女文庫のレビューをしている人はいます。
失礼を承知で名指ししますが、常連のレビュアーとして nishiyan氏、痴炉莉庵やもり氏、青橋由高信者氏、神島竜氏、にゃら氏などです。
正直言ってこの人たちのレビューが美少女文庫をダメにした遠因だと私は思っています。
まず、レビュー自体があらすじをちょっと掘り下げた程度で踏み込んだ部分のレビューは行っていません。
そして明らかに目につく欠点を指摘せず、「面白かった」という大雑把な感想となっています。
上記で挙げた宣伝詐欺についてもほぼ指摘していません。本当に読んでいるのかすら疑いたくなるレビューもあります。
参考にならないどころか、この人たちのレビューを参考にして買った人が「ダマされた!」と思ってしまう危険さえあるレビューとなっています。
アマゾンレビューで高評価がたくさんついている商品を買ったら、その商品には明らかに気が付く問題点があった。しかしレビューでは誰もその点を指摘していない。
こうなると「これは工作…やらせレビュー…ダマされた」と思いますよね?それと同じ現象の誘発要因となっています。
上記の人たちも愉快犯として嘘のレビューをしているわけではないと思います。本人自身は面白いと思って、良かれと思って、その思いを述べているのでしょう。
ただし、好きな俳優が出ているという理由で映画に100点をつけるような人と同じ評価の仕方です。脚本や演出がおかしくても、その辺はどうでもいいのです。
それと同じで、ただ美少女文庫という理由だけで100点をつけているのです。本当の意味で作品を読んでいないのでしょう。悪い点は目に入っていないか、目に入っても言わないようにしているのでしょう。
ラーメン漫画の有名な台詞「ラーメンではなく、情報を食っている」状態になっていると思います。
結果的には、そんなレビュアーの影響で批判的なレビューがしづらい空気になっています。
実際に批判的なレビューをすると、「他のレビュアーの方が●●だと言っていましたが、それはこういう意味ですから実際にはそんなことにはなってないと思います」と打ち消しするかのようなレビューが入っていることもあります。常連レビュアーによって。
上述した通り、レビューが参考にならない、それ故に購入できないという事態につながっています。
そして、編集部や作者にもダメな点が伝わらなくなります。それ故に改善や進歩がありません。ダメな作品の連続になります。
上記のレビュアーの中で青橋由高信者氏とお話しする機会がありました。
貴方のレビューは不正確な点が多い、明らかな欠点を指摘していない、本当に作品を読んでいるのか?と私の疑問をお伝えしました。
返答を受けて、質問の意図を理解してもらえなかったなと私は思いました。「目を覚ませ」と言ったら「起きてるよ」と返されたような、そんな気持ちでした。
良かれと思ってやっているが故に、自覚しづらいのでしょう。
(そもそも青橋由高信者というペンネームでレビューを公開しているのが非常識だということも自覚していないのでしょうか…)
直接的にレビューをしているわけではないですが、秋野ソラ氏のトゥギャッターのまとめ記事もそうです。
「美少女文庫感想」タグまとめ 2022
このまとめは偏向的な内容となっており、批判的な感想はまとめから除外されます。好意的な感想のみがまとめられます。
実際に私がレビューを書いた際には前半に良い点、後半に悪い点という書き方をしたのですが、前半の良い点だけが切り抜かれてまとめられました。それに抗議したところ後半を追加するのではく、前半を削除するという措置が取られました。
あまりにもやり方が狡すぎます。こっちも次回で改善してほしくてダメだった部分を指摘したレビューを書いています。レビューを見る側の立場としてもダメだった部分を書いていた方が参考になります。上記のまとめをみて何か参考になる人がいるか私には疑問です。
今となっては逆風に負けず、もっと文句を言うべきだった、クレームを言うべきだった、と思います。悪い点をしっかり指摘しないから美少女文庫がつまらなくなっていたんだと思います。
厳しい意見を言う行為は風当りがきついです。マイナスな意見を述べることには勇気が要ります。「そんな悪口誰も求めていない」と言われることもあります。
自分のアカウントをブロックしている作家さんもいますし、今は美少女文庫からもフォローを外されちゃいました。
逆に好意的なレビューをすれば作者や編集部アカウントからリツイートされます。フォローされます。
その結果、作品の問題点を指摘しづらくなる。批判的なレビューが言いづらくなる。忌憚のない意見を言えなくなるという現象も発生します。
邦画がダメな理由、というサイトから引用させていただきます。
これがそのまま当て嵌まってしまったケースかなと思います。
この現象は美少女文庫に限った話ではないです。とあるラノベレビュアーが出版社から「ラノベの帯にコメント書きませんか?」と声をかけられて実際に寄稿ししました。それ以来そのレビュアーはその出版社の作品に関してマイナスな意見、批判的な感想を述べなくなりました。明らかに甘めの採点をするようになりました。
その点を本人に直接指摘しました。「批判的な感想があったほうが参考になるので昔の書き方に戻して欲しい」と伝えたところ、ブロックされてしまいました。
癒着、というものなのでしょう。とある家電量販店がパワハラで訴訟された際に、同じタイミングで新聞記事に広告を掲載してイメージダウンする記事を書かせにくくしたみたいな例もありました。それに近いです。
ゲーマーで知られる作家、宮部みゆき氏がコナミのゲーム「幻想水滸伝4」に対してシステムが不便などの否定的なレビューをした際に、それを受けてコナミが前作「幻想水滸伝3」の公式サイトに掲載されていた宮部みゆき氏のプレイ日記を削除するという対応を取った例もあります。
「悪口は言うな。良い点だけ言えばいい」というコナミの身勝手な都合がこの上なく表れています。
批判するというのは敵を作る可能性もあります。批判的な感想を言うのは結構凄いことだと思っていただければと思います。
その後、宮部みゆき氏はローグギャラクシーというゲームを徹底的に批判しており、本当にこの人は凄いなと思いました。本当にゲームに対して真摯に向き合っていると思いました。
少し脱線しましたが、ダメになった美少女文庫に対してなぜダメになったか自分の中で分析して少し気が楽になりました。
やはり、今となるともっと思ったことを言っておくべきだったと後悔しています。そうすれば美少女文庫も盛り上がったのではと。
勿論、いくら感想を言っても、作家や編集部が聞く耳を持たない可能性もあります。
とあるゲームレビューサイトから引用させていただきます。
今となっては消費者間ですら情報の共有が行われていませんが…。
実際に、刊行中(配信中)のフランス書院eブックスについても私は美少女文庫アカウントに意見を送っているのですが、聞く耳を持っているとは思えません。
「誤字が多すぎる」と指摘しても一向に修正されません。明らかにページ数が少ないのに多めに表記していると指摘しても修正されません。
美少女文庫についても刊行時期を考慮すると「デビュー作の評判が良かったから2作目も刊行」ではなく最初から複数冊刊行する予定だった、という新規作家が居ますし。
最初から読者の意見を聞く気はなかったとも思えます。
今後、修正されるかもしれないので今は様子見ですが。
正直言ってこんな形で美少女文庫で語りたくなかったです。ジャンプで2巻打ち切りになるような、支離滅裂な内容の漫画を突っ込みながら楽しむみたいな楽しみ方ではなく、真っ当に楽しみたかったなと思います。
お読みいただきありがとうございました。
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