不条理㉞
台風とか、嵐はお好きだろうか?
災害の1つだし、災害大国に生まれて毎年のように被災地の風景をニュースなどで見せられては、好きになる人もいないように思えるが、
私は子供のころ昆虫少年で、かのファーブル先生を敬愛していたが、ファーブルは『科学の本』(題名忘れましたし、検索にかかりません。後に調べます)に「私は嵐が好きだ」と書いている。
理由は、偉大なるエネルギーを感じられる事と、嵐が過ぎ去った後の空気が、新鮮で風景も美しく感じられるからだそうだ。
なるほど、台風の翌日、外に出ると空気自体が輝いて感じる。淀んで、停滞していたものを、破壊して、吹き飛ばして、新しくしてくれる装置だと考えれば、時々来る嵐も、自然には必要不可欠なものだと思えるような気がする。
脳も、平安な日常にばかり浸っていると、ボケてしまう、鈍くなってしまうかも知れない、時々は刺激してやる事も良いのではないだろうか??
デヴィッド・クローネンバーグ監督の「ザ・フライ」が好きで(これは凄く怖い映画だった、観るのに覚悟が必要ですよ)、
「裸のランチ」が話題となり、実際にも数々の賞をとったようだが、期待したほどの出来とは思えなかった。私の好みとは合わなかった。
不条理な映画でオススメなら鈴木清順の「陽炎座」「ツィゴイネルワイゼン」、寺山修司の「田園に死す」「草迷宮」の方。
吾妻ひでおの「不条理日記」というのもあった。不条理で1番最初に連想したのはこれ、とにかく訳が分からなくて面白い。
こんなのばかり見ていたら、頭がおかしくなりそうだが、たまには見ると刺激されて脳が喜ぶような気がする。
私の文章には時々スキゾフレニアとか脳疾患の人の話が出てくる。
前にも書いたが(『ソクラテスに会いたい ㉑』)実は3年前亡くなった母が、晩年、「レビー小体型認知症」になってしまって、
これは幻視や妄想を見てしまうのが特長なのである。
それで認知症や統合失調症について自分なりに勉強してみたのだ。
認知症は長生きすれば誰でもかかる。医者に言わせれば、100パーセントだという(そこまで行かない前に死ねばかからないが、・・・肉親が認知症に罹ってしまって動揺しているであろうから、慰めの意味で100%と言ってくれたのかも知れぬ)。
そして、レビー小体型認知症は3番目に多い認知症だから、それ程レアな病気ではないとも言える。
脳の中にレビー小体というものが発生して幻視や妄想を見せるのだから、「裸のランチ」みたいな不条理な世界が見えていたのかも知れない。
母曰く、宙に魚が泳いでいる(これはレビー小体型認知症の典型的な幻視の1つ)。とか、入院している病院自体が悪の結社みたいな妄想も抱いていたようだ。
私も85歳くらい長生きしてしまうと、母と同じ病に罹る可能性はある、
あと、25年くらい先の話だが、そんなに長い先の未来ではない。