ナショナルミニマム ☆140
「ナショナルミニマム」というのは1897年にイギリスのウェッブ夫妻が初めて提唱したものだが、
簡単に説明すると、国家は国民の最低限度の生活を保障しなければならないという考え方である。
これは、つまり貧困者が増えるのは個人の責任ではなく社会の仕組みに問題があるという見方なのである。
いやいや、そりゃ甘い!!やっぱり個人の責任でしょう。などと考える人も居られるだろうが、
コロナとか、災害が起こったら個人が抗うのは難しいし、世の中が進歩して古い産業自体が振るわなくなった場合とか、世の中いろいろな事が起こるのである。
とにかく、いまの先進国はどこも「福祉国家」を目指しており(日本もそうだが)、その根幹には「ナショナルミニマム」があるのである。
私は数年前、実際に浮浪者になっておりまして、「ナショナルミニマム」によってこうして救われ、生活基盤も整えてnoteの記事を書いたり通信教育受けたり、働いているのだが、
現在の日本にはどのくらいのホームレスが居るかといえば、2023年夏のデータでは過去最低、3065人。東京都で645人だそうだ。
尤もこれはカウント出来た数に過ぎず、実際はもっと居るだろう。ネットカフェ難民の数は入って居ないし、隠れている人もいるだろうが、それでも思ったよりも少ないのである。
例えば、ホームレスではないが、日本のニート人口は2016年で推定57万人だが、日本の家庭では働かなくても親が生活の面倒を見てくれるのでホームレスにならずに済むのである。
でも、ナショナルミニマム発祥の地英国では2023年30万世帯がホームレスになった。英国では個人主義が強くニートの存在はあまり考えられない。
YouTubeの「生活防衛LABO」によると2023年の1月から3月に80000世帯がホームレスになったという。ものすごい数である(過去最高)。
同じくYouTubeの「テシちゃんねる」によると今英国では「住宅問題」が深刻で家が足りなくて、家賃が値上がりして住めなくなってしまうケースが珍しくない。
テシが28歳の男性にインタビューした話だと、彼がロンドンに来て最初の3ヶ月は家賃が800ポンド(約16万円)だったのに、ある日ドアに紙が差し込まれて急に1400ポンド(約28万円)に値上げされたという。
めちゃくちゃの高騰ぶりだが、これでは確かに私でもホームレスになりそうである。
どうしてこうなってしまったのか事情は良く知らないが、サッチャー時代に公営住宅を個人に払い下げて、その持ち主がどんどん値上げしているのだろうか?
住む場所を失くした人達の多くはシェルターに住むそうで、これは半年の期限があり、その間に家を探さなくてはならない。
私もホームレスが辛くて自立支援センターに居たが、ここも同じく半年の期限があった。そして私は独立し部屋を借りる時に、まず莫大な借金返済をしなくてはならないから安い部屋を探した。固定費を抑えたのである。目算は的中してこの春完済し切れたのだが、
それは日本だから可能だったのであって、もし英国でホームレスになっていたら、急に家賃が20万、30万になったら、私は破綻していたかも知れない。
今、日本にはホームレスが少なく、ややインフレと言ってもまだまだ食料品も家賃も安いと言って良い。
もしもこれを読んでいるホームレスの人がいるなら、貴方にこう言いたい。もしも自立するなら今のうちがチャンスかも知れません、と。