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君は今#2 ㉔

昨日の記事には、デスラー総統の画像を使用させて頂いたが、これから私がするのはアニメやマンガの話ではない。楽しい話題は今回できません。

そのつもりで覗きに来て下さった方々がいたらガッカリさてしまうかも知れない。

話はここから急カーブしてしまう、

でも、これは本当にT君と私に起こってしまった大事件だったのである。昨日の記事の続きなのだが、時は今から45年くらいも前なのだ。

T君には確かに才能があった。クリエイターとしての才能だ。例えば、当時はSFブームで彼は『ムー』(SFや古代ミステリーの雑誌)の愛読者でもあったが、

そこに、想像で描いたUFO群のイラストを送ったら(募集もされてないのに)、なんと『ムー』は読者からの投稿として、大見開きで雑誌に掲載してくれたのである。

それはいわゆる上手い絵ではなかった。画力はまだ幼く、粗削りで、ラインも歪んでいた、が、人を惹きつける何とも言えない個性がほとばしっており、何よりUFOが大好きだと伝わる迫力が、確かにあったのだ。

彼のイマジネーションの豊さは本物だったと思う。豊すぎて、逸脱もあった。受験でストレスを抱えてしまったのか、

中学を卒業したら畑正憲に弟子入りしてムツゴロウ王国で働こうと突然思い立って家を飛び出したりした。(これは私にだけ打明けられた、未遂に終わったが)

そうして、彼は宗教にハマってしまった。それは、異端のキリスト教を教える団体だった。

この頃、日本経済は調子が良く景気が上向き、尚且つ世紀末も近かったせいだろう、やたら世に新興宗教が出現したのだ。

オウムのサリン事件が1995年に起こり、世間が新興宗教に厳しい目を向けるようになるまで、稼ぎ時とばかりにいろんな宗教が(或いはそれに類する怪しい団体が)若者をターゲットにして街で堂々と布教したり、1軒、1軒家を訪れて勧誘して回って来た。

爆笑問題の太田さんは、私と同じ歳だが、ラジオの「爆笑問題カウボーイ」で、大学生の時、統一教会の勧誘にあい、

その頃ヒマだった太田さんは、入信するつもりがないのに、逆に毎日勧誘場所に乗込んで行って、問答を吹っかけて信者達を当惑させたエピソードを語っていたが、

たぶん、脚色なしの逸話であろう。

サリン事件が起こるまで、宗教が怖いという認識は足りなかった。オウム真理教じたい、マスコミや知識人にもてはやされてTVにもよく出ていたくらいだから。

T君は、その宗教の話を私にしたが(面白おかしく)、私を勧誘することはなかった。

私は、焦った。

T君を親友と思っていたのでその団体の事も調べたし、この時キリスト教の事もだいぶ勉強してみた。(そうしなければT君の見ている世界が私には理解出来なかったから、追いつけなくなるから)

入信する気はなかったが、T君が心配だし、恐る恐る近づいて、その団体の行事や、信者の自宅にまで招待されて、鍋パーティもご一緒させてもらった。

鍋の中身は貧相で、彼らの暮らしも清貧だった、という印象を受けた。彼ら家族間の会話は、普通の家の家族の会話とそんなに変わりないようであった。

なるほど、彼らは多分善い人達に違いあるまい。善男善女だ。T.君が心を許したのも頷ける。

けれど私には彼らの教義が、ぜんぜん信じられなかった。

話せばとても頭の良い人達なのに、何故こんな馬鹿げた預言だか、予言を信じるのか、理解出来なかった。

実際にその預言だか予言は今のところ全てハズレている、そりゃそうだ、

それを信じない人々は全て滅んだり、地獄行きみたいな事が実際に起こってたまるか??

私の頭の良いT君は、自分の才能よりも、キリストを選んでしまった。

ディズニーも、『未来少年コナン』も、ムツゴロウも、キリストに比べたら、取るに足らないものだと彼は信じてしまった。

高校に進学するとともにその宗教に入信して布教活動するようになってしまったのである。

彼の入信した教団は、キリスト教でも異端の部類だと、世間では認識されているが、

本家本元の、正当なキリスト教でさえ、いま欧州で宗教ばなれが進んでいるのが現状だ。いや、仏教やイスラム教なら安心と言うつもりもない。

若い人達に言いたい、宗教には気をつけてください。入信は、よく考えて。


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