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テト ☆163

毎日、まいにち、仕事が忙しくて、辛い。

noteの記事も更新出来ないくらい、私は大変な日々を過ごしている。

何故か?同僚のベトナム人が2人も旧正月(今年は2月10日が元旦)で帰国したからである。日本に働きに来てくれている彼女達の能力はたいへん高く、優秀な労働力を提供してくれていたのだが、それが抜けた穴はでかい。

オマケに、同じく優秀なフィリピン人も何年かぶりの帰国とかで一月くらい休みを取ってしまって、

巷ではインフルエンザも流行しているから、それで休む人も居て、その分もこちらにしわ寄が来ているのだ。


これは、冗談じゃない。

労働力不足を外国人頼りで補っている我が国では、今に毎年2月頃、労働力不足が深刻な問題となるのではあるまいか??


けれど、正月に帰国したいというベトナム人達の想いは熱い。

私はnote記事「百閒 ☆158」にも書いたが正月に対して祝う気持ちが年々薄れていく、子供の頃は何故だか正月といえば無性に「めでたいな」と浮かれていた記憶があるが、当時の私が持っていた何倍も
「正月愛」「郷土愛」が強いらしい。


何故なら、日本→ベトナムの航空代金は往復で5万円~10万円くらいだが、この時期は超ハイシーズンで20万円くらいするのに、金に糸目を付けずに彼らは平気で帰国するのである、

その上、正月だから実家に帰れば親戚の子達にもお年玉をやらねばならず、経済的損失を考えたらたぶん莫大になる筈なのに、

なのにアナタはハノイへ行くの?ハノイの街はそれほど良いの?

と問いたいくらい、ベトナムへ帰ってしまうのである、有り得ない。

でも、理屈じゃないのであろうな。

例えば、その1人Cはベトナムに一人娘が待っているのだという。もちろん、その娘さんはCの両親や親戚達に面倒をみてもらって、安全に暮らしているのだろうが、逢いたくて仕方ないのだろう。

吉幾三の「津軽平野」の世界だ。



津軽平野に 雪降るころはヨー

父親(おどう)一人で 出稼ぎ支度

春にゃ必ず 父親(おどう)は帰る

みやげいっぱい ぶら下げてヨー

淋しくなるけど なれたや父親(おどう)


詩 吉幾三

名曲だと思う、出稼ぎ労働者の気持ちは、やったものでなければ分かるまい、ましてや子がいては尚更、深かろう。


吉幾三 - 津軽平野



我が子を抱きしめられるなら、天秤につり合う重さのものなど、他に存在しないのかも知れない。20万円のチケット代が、何程のものがあろうか?

ならばもう少し続く、この大変な労働苦行も甘んじて受けるしかないか。



私はベトナムの正月(テト)は行った事がないが、香港の旧正月は何度も行った。連日レストランでご馳走を食べ、家庭にも呼ばれて料理を振る舞われ、狂ったように毎日食べていた、香港人の胃袋は恐ろしい(あの頃の香港は景気が絶好調だったが)。でも、香港でも今頃は日中20℃くらいで、夜になると寒くて正月らしく感じたものだが、

ベトナムでは30℃を軽くこえるようで、そんなに暑い正月はどんなだか、ちょっと体験してみたい気もする。

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