「いま」が一番巧い

羽生君は自分でも「“修行僧”のよう」と自身を語る位に徹底して自身を磨き続けている。

自分の演技(プロ)を他スケーターに伝授して滑らせるって事をした方もいらっしゃいまして、それはそれで好い事なのではと思います。
それが出来るなら素晴らしい。
でもこと「羽生結弦のプログラム」となるとそうはいかない。
だって彼のプロは彼にしか熟せない。
今後どれだけ優れたスケーターが現れるかもしれなくても、羽生結弦選手と同レベルまでの人は、私は今後一千年は現れないと思っている。
運動神経が優れている、音感が優れている、柔軟性がある、素晴らしいジャンプを(その頃には4Aも)跳べる選手は出ると思う。
でも、羽生結弦と限りなく似た選手は現れない。これは断言する。
人間性が素晴らしい事も、誰よりも何よりも自分に厳しくて他者に優しい人。それでいながら途轍もなく厳しい人。
自分を「豆腐メンタル」「ナメクジ」というけれど、傷つきやすいのは本当だし、それは『GIFT』で全て語られたと思う。
でもそこから這い上がる、自分一人の世界に閉じこもらずに、瞬間的に狭まった扉も、気づけば広く開けて風通しを良くして自分をさらけ出し風に日の光にあてて湿気を全て飛ばしきってまた一歩ずつ前へと進む開拓者。
選手時代もそうだった。競技者からプロフェッショナルな道に進んで階をたぶん10段くらい登ったところに彼はいる。その高みに誰も行く事は出来ない。悪意ある者がどれだけ足を引っ張ろうと画策しても。

そしてファンをずっとずっと大切にしてくれる。
こんな素敵な人は世界中探したとしても、他に、どこにもいない。
私達ファンは幸せだ。