「新世界より」秋の夜長におすすめ
突然ですがSF小説と言われて何を思い浮かべますか?
近未来的なAIや核戦争、タイムトラベル物などがぱっと思いつく人が多いのではないのでしょうか。そしてちょっと手に取りづらいなんてイメージを持っている方もいるかもしれません。
そんなSFのイメージを木っ端みじんにしてくれるのが今回紹介する「新世界より」です。
新世界よりとは?
1000年後の日本が舞台となっており人間がサイコキネシスを使えることが大きな特徴です。
そんなサイコキネシスを学んでいる純粋無垢な子供たちが謎に包まれた歴史や甘酸っぱい青春を追い求めて未知の土地や奇怪な生き物との出会いを通じて物語は進行していきます。
ポイント
これまでのSFと比べて特質すべき所はいくつかあるのですが1番は圧倒的に緻密な世界観ながら入り込みやすい所だと思います。
その理由はサイコキネシスが使えるというTHE SF的な設定ながら絶妙に親近感を覚える子供たちの人間模様を絡んで描いているからです。
SF小説にありがちな設定に頭がなじむまでのある種忍耐を要求されるようなあの時間が全くといっていいほどないのです。
そして全編を通して人間は悲劇を繰り返す生き物という悲しい事実を突きつけてきます。起きた直後にはもうこんな事は起こらないと思っていても人間は時がたてば記憶が風化していく。そしてまた同じかさらにひどい過ちをくり前してしまう。という現実ともリンクできるような考えを読者に投げかけてきます。
1冊500ページほどが3冊と読み応えバッチリですが時間を忘れて…という言葉が1番似合う小説だと思いますので一度手に取ってみてはいかがでしょうか。