発達障害治療薬の適性処方なるもの
先日精神科のWEB講演会があり、発達障害の治療について有益な情報を得ることができた。
ただ一つ気になることがあった。
それはある中学生の症例の報告で、治療に関してその中学生のお母さんが、「先生、朝薬を飲むと、日中学校ではいいが、夜の塾の時間に集中力が切れてしまいます。なんとかしてほしい」と言ってきたというのである。
演者の先生は、薬の調節でこれに応えたというが…。
僕は講演を見終わった後に考え込んでしまった。
これは果たして医療だろうか?中学生が苦しんでいるからやむを得ないではないか、と多くはこのお母さんを擁護するのであろうか?
しかし中学生が苦しんでいるのは塾に行かねばならない、そういった現状そのものではないのか?
これが進学塾だとしたら、本人は望んで行っているのか?行かされているのか?
中学生が薬を飲みます、と言った時そもそもそれって本当に本人の意思なのか?
発達障害の治療薬の中でも刺激性と言われているものは、処方にいろいろと厳しい制約がかけられている。難しい薬理学的話はここでは避けるが、それは脳神経にそれなりに負担をかけるからである。
中学生の脳はまだまだ成長発達の途上にある。慎重に慎重を重ねての処方が必要だ。
以前に、都市部の進学塾周辺にはカウンセリングルームや精神科クリニックの開業が目立つようになってきた、と聞いたことがある。このことの真偽は確かではないが、医学が受験産業に巻き込まれることのないようにと願うばかりである。
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