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(コンプラ的な話) 「これ笑って大丈夫なやつかな?」て思っちゃう話

先日のM-1グランプリを観ていて思ったことです。昨今のコンプラに厳しい世の中の風潮からか、私も笑う前に「これって笑って大丈夫なやつかな?」てのが以前よりも頭によぎってしまい、それによって笑えないことも増えてきたなあ、と思いました。

当たり前ですが下ネタや暴力的な表現、誰かを傷つけて成り立つネタ、コンプラ違反している(違反していなくても際どいものも)ネタなどは、好きな人には刺さるけども、聞き手によっては「そういうのは苦手、NG」だと捉えられてしまうジャンルです。もともとそういうリスクがあるうえに、昨今の風潮だと、NGではない人たちからしても「自分は笑えるんだけどこのネタ大丈夫かな?(=笑っても大丈夫かな?の意味と、ちゃんとウケるのかな?の両方の意味)」が先行しちゃうことで笑いにくく、全体のウケの量の減少につながることが多くなっているように感じます。

具体的に、私が今年のM-1決勝を観ていて「これウケるのかな、大丈夫かな?」の気持ちが強くてあまり笑えなかった例を2つ挙げると、マユリカの「ウンコサンドイッチ」というあだ名とヤーレンズの歌ネタです。
ニューヨークが2019年に披露したネタで、「学生時代、校庭の裏で犬のウンコ食ってました!」というフレーズがありました。その後の巨人師匠のブログでの寸評で(←カジサックとの対談だったかもしれない、、)「夕飯時の番組でなんでウンコっていうワードを使ったのか」という点を酷評していました。今回巨人師匠は審査員にいませんでしたが、師匠と同じような感覚の人には受け付けないネタじゃないかな、これ大丈夫かな?ちゃんとウケるかな?が先行しちゃってちょっと笑いきれませんでした。(ちなみにニューヨークのネタのこの部分は準決勝で披露した際は「校庭の裏で蝶々殺してました!」だったからこれでもマイルドにしたって言ってました、確か。)
歌ネタについて。M-1 2008の最終決戦でナイツがSMAPを題材にしたネタをやったんですけど、当時それについて松本人志さんがラジオで、「ああいうアイドルを使ったネタは笑いが減る。もし俺が事前にあのネタやることを聞いてたら、違うネタやったほうがいいって絶対アドバイスした」みたいなことを言ってました。私はそれを聴いていた当時(16年前か…)は何があかんのかいまいち分かりませんでしたが、今では見ていてモロにそういう心配をするようになってしまいました。ヤーレンズは嵐とKATUUNの歌のフレーズが絡むネタの箇所があったんですけど、ナイツの件と同じでジャニーズを取り扱っているし、まず歌ネタって聞き手の知識が必要で曲を知らない人だと笑いにくいし、あとブルーレイやサブスクで音声カットにならないかなってのまで気になって、諸々込みの「うーんジャニーズかあ…」と構えてしまって、そこまで入り込んで笑いきれませんでした。


それに比べて優勝した令和ロマンのネタは下ネタや暴力的な表現もないし、有名人の固有名詞も歌も扱わない、つまり人によって拒まれる種類の笑いが一切入っていません。大前提としてネタが面白いうえに、こういうところまで徹底しているのは「M-1グランプリという番組を研究し尽くしてきている」というだけあるし、本気で優勝するために必要なことを計算してやってるんだなってのが伺えます。誰もが笑える安心安全な面白いネタを提供しているのでチャンピオンに相応しいし、審査員も選びやすかったと思います。


これと真逆を敢えてやっていたのが真空ジェシカです。アンジェラ・アキさんをイジっているのは大丈夫なのかなどころではないし(実際大丈夫だったのかもわからない)、終盤の「ダレ手紙明美」ていうネタも分かる人しか分からないし、大筋も小ネタもコア向けすぎるので「優勝できるネタじゃないだろ!!」感がすごかったです。
しかしこれ本人たちもそんなことは分かった上でやっていて、世間の風潮すら振りにしてコンプラ無視でやってるから逆に面白いんですよね。このネタを最終決戦でやってること自体面白いし、ここまで飛び越えていると無責任に笑えるなって感じで、私は(優勝しないだろうなと確信はあったけど)最終決戦3組の中では一番好みでした。

こういった配慮に厳しい時代だからそれに背くことは徹底してやらないほうがベターだとは思います。ですが、だからこそ程度をわきまえて攻めたネタがウケる現象も確かにあります。真空ジェシカはやりすぎでしたが、2022年のウエストランドはまさにコンプラギリギリを攻めたネタがウケて優勝しているわけですし。

この辺の妙を考えていて、Xのポストとかnoteとかも同じだよなあって思いました。万人が共感できるように調整かけることもできるし、そうじゃなくて少しの人に刺さってくれればいいやってタイプのものもありますし。
私は結構ふざけたくなっちゃうから、ここまでで収めておけば多くの共感が得られるのにって分かっていながら、わざと最後に台無しにするような、一部の人しか笑えないような一文を添えたくなっちゃったりします。りんかりんの話をしているのに最後にじんかりんの話を入れたくなったりします。
(じんかりん=神火燐は麻雀BAR FIREBIRDのオーナー兼麻雀プロであり、ゲスト料未払いと酒代持って逃げたことで話題になっていたおっさんです。一応補足。)

これって年齢や歴も関係しているような気もしています。そもそも万人に共感してもらえることを投げるのすら難しかったらそれができただけでも嬉しいですし、それに慣れてきちゃうとちょっと物足りなくて、コアな部分に気付いてもらえるように分かりにくくしたくなっちゃう。なって自滅しちゃう。端的にいうとおっさんの傾向なんだろなって思いました。嗚呼悲しい。

こういうことをやらない人のほうが炎上しないしスベらないし、放銃率も低そうです。令和ロマンを選べる人のほうが放銃率が低そうです。知らんけど。でも人間なんだから、程度をわきまえればそんなムラがあってもいいですよね。

そんなことを思いながら、ポストとして吐き出すにはちょっと長いのでnoteを書きました。なんかこのnoteも結局じんかりんって書きたかっただけな気がするな…。

おわり


女流桜花、惜しくも準優勝となったりんかりん、おつかれさまでした。またこういった大舞台で活躍を見せてくれること、応援できることを楽しみにしています。



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