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掘り出し物

ラブ。BOOK・OFF。
ということで、
小説目当てに行ったBOOK・OFFで、
なんとなーく、
掴みどころのない漫画無いかなーと思ってたら見つけました。

模型の町/panpanya、白泉社

panpanyaさんという方の作品。漫画の短編集なのですが、これがとてもいい。
思わずこの「模型の町」を買ってすぐに、置いてあったほかの2冊も買う。

panpanyaさんの事は何も知らず、調べてもあんまり分からなかった。一体何者なの。
時が来れば知る機会が訪れるのだろうと思い、今はただ作品を味わう。

何ともありふれたように始まり、ありふれた顔して物語が進み、当たり前に物語が終わるのですが、その世界観たるや。

いきなり無人島にいるし、
寝ているベッドは街中を歩き出すし、
魚は喋るし、
普通に時間を移動するし、
なんだか不思議な顔の人もいるし。

不思議な顔の人。
先生だったり、職場の上司だったりする。

何が面白いって、物語の主軸が「好奇心」で
出来てること。
ある時はブロック塀の修理業者として何十年も前の壁穴を探す旅にでたりする。

こういうの。

そこで、こち亀のオタク回よろしく、
何故だか読者に事細かに壁穴の作り方を解説して、読者も何故だかちゃんと読んじゃったりして、いつ使うのかわからない壁穴の知識を得たりする。

またある時は、学校の生徒として、地域のゴミ拾いに参加し、昭和初期まで遡ってゴミを拾いに行ったりする。

昭和30年以前に用いられたゴミ収集車もとい、「大八車」

なんだか私の知らないことが当たり前に使われている。きっとこれは作者さんの好奇心から得られた知識なのだろうと、身に染みて感じる。
勉強に必要だからとか、教養として、とかじゃなく純粋な好奇心で知っていったんだろうと勝手に、思う。

そんで、そういうのを本当の教養って言うんじゃないか、なんて見当外れなことも、思う。

なんだか妄想が果てしなく豊かですごく楽しい。訳が分からなくて、訳が分からなくても今起こっていることだからと当たり前に受け入れる登場人物たちが、皆愛おしい。

訳が分からないのだけれど、登場人物が帰結する思いは、普段の私たちの生活に繋がるようなものばかりで。
異物を排除していく世の中とか、
時代に取り残され消えていくものとか、
都市化していく社会に残された自然とか、
なんかそういう当たり前にあって、それでいて見向きもされないものに、思いを向けるキッカケになる。

なんかそういう作品だな、と思いました。

あと普通に絵が好き。描き込みの強弱が凄まじくて癖になる。なんであんなに精巧に建物を描くのに人間が適当なの😂

名前も知らない登場人物すべてに、
豊かで平和な日常あれ!
と願わずにはいられない。

よい漫画に出会えました。幸。

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