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ライバルって素敵と思わせる小説

読書が好き、図書館が好き、本屋が好き。
読んだ本から、面白いなと思った本を紹介します。


今日の一冊

タイトル 『蜜蜂と遠雷』
著者 恩田 陸

どんな小説?

ピアノコンクールを舞台に、登場人物の才能や運命、演奏への思いや考えが緻密に書かれた青春小説。
かつての天才少女 栄伝 亜夜、ピアノをもたず各地を転々として生活している風間 塵、素晴らしい演奏技術がある優勝候補のマサル、サラリーマンをしながらコンクールに出場の高島 明石がコンクルーでそれぞれの演奏を繰り広げる。

好きなところ

・審査員に審査員の師匠となる人から「ギフト」として出場した、風間 塵。審査員が塵の演奏を聴いた後の困惑や驚き、彼の演奏に魅了される様子。
・お互いの演奏を聴いて、感動したり自分ならこう弾くなと考えたりしているところ。お互いがお互いの演奏でいい方向に影響し合っているところ。
・マサルがピアノコンクルーで知り合った、亜夜と塵のことを考えたところ。ライバルではありながら、ライバル?友人というほうがしっくりくると。コンクールという厳しい状況を一緒に過ごしたからこそ、「真の友人」なのではという言葉。
・亜夜、塵、マサルが海で話すところを、亜夜のサポートをしている奏が客観的にみているところでの、天才が3人並んでいるすごさと同時に、これからの不明確な未来への儚さを思い浮かべているところ。
コンテスタントではない奏ならでわの視点がよりストーリーが面白くさせている。
・高島明石が亜夜に感謝の気持ちを伝えたとき。お互いに涙し合っているところ。
・高島明石が事務局からの電話で受賞を伝えられた時。感動。。。

感じたこと

初めてこの小説を手にしたとき本の厚さにドキッとしました。読み終えることができるか?と。読み始めたら止まりませんでした。一次予選の結果は?二次予選は?誰が残る?本選までいくのは誰?と展開が気になって気になって読み進めていました。
ピアノコンクールなので、演奏や曲のことをたくさんの言葉で表現してあります。知らない曲ばかりですが、言葉から情景を浮かべたり、こんな曲なのかなと勝手に想像していました。どのような曲か分からなくても夢中で読んでいまた。
塵の演奏は亜夜が演奏する上で重要な存在となっているところは影響の受け方に驚きでした。演奏同士が影響し合うんだと。
演奏が終わるたびにマサルが亜夜に感想を聞くところでは、亜夜の洞察力に驚くマサルがいて、尊敬と好きが混じったような感情が伝わってきました。
マサルの言葉にあるように、本当のライバルって「真の友人」になるんだと。この言葉は、この物語の亜夜、塵、マサルの関係性を表す言葉だなと思いました。ライバルなのにギスギスしていなくて、むしろ一緒にいて楽しそうでした。
ライバルとしてのベストな姿が描かれていると感じました。

全く知らないピアノコンクールの世界を知り、登場人物たち関係性が清々しく美しいと思いました。

読んでくださってありがとうございます。
参考になれば嬉しいです。



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