将棋倶楽部24 自戦記⑧
久々の自戦記の投稿。以前は15分60秒の将棋を自戦記として投稿していたが、中々対局してくれる人がいない&自分も中々時間取れない事が要因となって、渋々早2、早1の対局をする事とした。
書きたい記事は山ほどあるが、「古戦場自戦記から逃げるな」と誰かが言っている気がして、戻ってきたのが本音。謎の義務感に苛まれる日々を送っていた。
とはいえ、❤を付けてくれるのは本当にありがたいと思ってます。いつも自戦記を見て下さる方々、ありがとうございます。
先手:相手
後手:私
端歩のナゾ
▲7六歩 △3四歩 ▲9六歩 △9四歩 ▲1六歩 △1四歩
▲2二角成 △同 銀 ▲8八銀 △3三銀 【第1図】
久々の将棋俱楽部24。緊張感はそこまでなかったのだが、緊張感を持っている方が真剣に読んでいる傾向が多いと思っている。さほど調子よくないのだと自覚はしている。
マウスを持つ手が震え、汗ばみ、顔は紅潮し、息が荒れ、クリックミスを誘発してしまう。その謎の空間に放り込まれるのが将棋俱楽部24だったのに……どうして、どうしてその空間に私は潜り込めないのか。
3手目▲9六歩に対して①△9四歩だと、相振りになった際に王手飛車や端攻めの権利があり、②受けない場合、突き超したら相居飛車や、先手居飛車・後手振り飛車の対抗系の時に端歩の分だけ玉が広くなる意味を持つ。
そういう細かい部分は知っているが、後手番では振り飛車を指す事が多い私にとって、対抗系の端歩は命のような存在。ノータイムで受ける。
相手の▲1六歩はノータイム。準備してきた作戦なのだろう。流石にここら辺から手の意味がわからなくなってきている。相手が振り飛車党の場合、▲9六歩は一長一短の手と認識している。▲9七桂と跳ねる余地や、▲9七角と覗く手を残している点がメリットで、相手が右四間飛車の場合は△9三桂と跳ばれるデメリットも存在する。
結局、謎に包まれた端歩は受けておく事にした。
▲2二角成はさらに謎に包まれたが、明らかに後手の得となる手だと思う。先手と後手を入れ替えた計算になるので、こちらから攻勢を取るのが自然となりそうだ。
△3三銀は形を決めすぎたかもしれないが、こちらも振り飛車か居飛車かを保留してみたい気持ちがあり、この手を指した。
予想
▲7七銀 △6二銀 ▲4八銀 △7四歩 ▲7八金 △3二金
▲4六歩 △6四歩 ▲4七銀 △6三銀 【第2図】
自分の△3三銀や▲7七銀は銀の活用を図り、自然な手ではあるが、相手が振り飛車の時の銀冠への進展をなくしている手でもある。よって、互いに形を保留している状況下だと推察できる。
だが、先手後手が逆になった今、先んじて攻める権利は理論的に私にあるはずなので、攻勢を取りやすい居飛車にする△6二銀。
▲4八銀から相手も居飛車だとわかったが、まさか振り飛車にして最悪千日手模様にするとは思えない。予想はしていた。
△7四歩は広く対応している手と思っている。先手の早繰り銀に対して△6三銀~△5四銀~△4四歩とする手は、飛車先の歩を突いていないが故に間に合うし、相手が玉を早く囲う手にも早繰り銀ができる。さらに、▲4六歩~▲4七銀に対しては△7五歩▲同歩△6五角の馬作りがある。
△3二金に替えて△7三桂と跳ねてしまう手もあるとは思うが、相手の飛車先が突かれていないのが気になる。△8四歩~△8五歩~△6五桂の速攻は飛車先を突いてない先手は対応しやすいと踏んで△3二金。
▲4六歩は速攻に備えた手で自然だが、相手の保留癖や一手損、▲7八金と△7五歩の用心といい、右玉という予想が付いた。これは念能力…というよりは経験によるスキル……!通常の腰掛銀ならば、一手損はしないし、速攻が出来ないように私が誘導されているのだとしたら整合性は取れている。だが、右玉を真っ向から否定するための即効策は、飛車先はお互いに突いていないためやりにくい。よって△6四歩~△6三銀と指した。
攻勢と保留
▲3六歩 △7三桂 ▲3七桂 △8四歩 ▲2六歩 △8一飛
▲4八金 △6二金 ▲2九飛 △5二玉 【第3図】
▲2六歩まで、先手は後手の鏡指しをしているという不思議な対局である。通常であれば後手が先手の鏡指しという表現を使うところ。
私が△8一飛とした手に対し、後手は▲4八金と鏡指しを崩した。これは単に▲2九飛と引くより、▲2五歩~▲3五歩△同歩▲4五桂△4四銀▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2九飛ならば仕掛ける手に乗じて▲2九飛の1手を指す事で手得しようという魂胆だろう。だが、居玉+△8五桂といつでも跳ねる権利がある以上、攻めてもらう方が得な可能性があり、じっと△6二金。
▲4八金の1手を活かすのならば、▲6八玉を入れてから▲3五歩~▲4五桂が普通だが、▲2九飛と待ちの姿勢。玉の位置を▲6八玉と決め打たないのを見て、右玉の予想はさらに濃くなった。よって、誰かのブログで見た△5二玉型地下鉄飛車という右玉対策で今回は挑む事にした。一応この1手で通常形の角換わりの形にも対応はできそうだ。
右玉
▲4九玉 △4四歩 ▲3八玉 △4二銀 ▲5六歩 △4三銀
▲6六銀 △3三桂 ▲7七桂 △1二香 【第4図】
先手は▲4九玉~▲3八玉と右玉に構える。私の予想は当たった。角換わりで△5二玉の形の保険をかけていたとはいえ嬉しい。
▲6八玉と指さなかった事でソフトの評価値は-100程度になったが、具体的な良さを問われると難しい。
第4図の後手陣はブログに書いてあった形で、右玉の弱点である端を攻めるためだけの形だが、▲2四歩型と▲2五歩型で明確な違いがあるのだろうか、私はこの形をそこまで研究していないため、自信をもって指しこなせる気はしていない。誰かこの形について教えてくれないだろうか……
おぼろげな記憶
▲1八香 △5四歩 ▲7五歩 △同 歩 ▲同 銀 △8五桂
▲同 桂 △同 歩 ▲7四歩 △9三角 【第5図】
▲1八香にソフトの推奨手は二つあり、一つ目は本譜の△5四歩、二つ目は△1一飛だった。△1一飛以下▲1九飛△5四歩と結局突く事になるのだが、▲7五歩は無視でいいし、▲5八金には△8五桂▲8六歩△7七桂成▲同銀△2四歩【変化図1】としてよい。
△1一飛▲1九飛と飛車を睨めっこさせたら△2六桂というのは知っていたが、△2四歩は自分の理外の発想だった。
よって、本譜の▲7五歩はそもそも取らないで△1一飛でよかったわけだが、どうしてか取ってしまう。それでもまだ後手の評価値が良いとソフトは言っていて、△7四歩とその場を収めて良いとの判断らしい。
結局、ソフトは▲7四歩と打たせてしまったから駄目と判断したようで、▲8五桂にも△7四歩と打つべきだという事だろう。結局、相手に1歩持たれるのが嫌だったのならさっさと△1一飛と回るべきだったのだろう。
だが、私のおぼろげな記憶の中には△9三角という切り返しがあり、それでやれると思い込んでいた。
勘違いの△9三角
△9三角と打った手は切り返しでも何でもなく、苦し紛れの手なのだろうと推察する。ただし、△9三角(▲1三角)と打つ手が最善手になる局面は存在する【参考図1】
参考図1から△3五歩(そもそもその手がおかしいが)▲同歩△同銀▲3四歩△3六歩▲1七角!がある。以下△4四角▲3五角△同角▲3六銀で角の逃場所がない&桂取りが残って先手良し
だが、これ以外の最善手としての▲1七角が見つからなかった。自分の対局で千日手を打開する為に▲1七角と打った対局は存在するも、▲1七角が最善になる手はなかった。(過去5年間に渡って残してあった自分の棋譜を調べました)これは当時のソフトの示す最善手と今現在使用しているソフト(水匠5)の最善手が一致しないからに他ならないと思う。
△9三角(▲1七角)は最善手ではない事が多いものの、次善手だったり、悪手になる事は少ないように感じる。言わば、横歩取り△4五角の▲3五飛のようなものか
勝負術
▲8四桂 △同 角 ▲同 銀 △同 飛 ▲6八金 △7四飛
▲8二角 △3五歩 ▲2五桂 △同 桂 【第6図】
▲8四桂と打ってくれて私としては助かった。△9三角は、結局どこかで△4八角成や△5七角成と駒損覚悟で切り飛ばさねばならない角だという記憶が薄っすらとあるし、今の自分の感覚でもそうなりそう。よって、▲8四桂△同角▲同銀△同飛と二枚替え出来たので得をしている。△9三角が知らず知らずのうちに勝負手となり、通った形になるのだろうか。
▲6八金もおそらく勝負手。次の▲7九飛の転換が嫌なので△7四飛の一手だが、▲8二角と打たれる。後手は香損から馬を活用されると差が縮まるので、攻めなければならないのだが、事前に準備し確実に通るであろう分厚い攻めではなく、鋭い攻めを確実に継続しなければならなくなった。
方針を強要する勝負術が巧みだからこそ相手はこのレート帯で勝ち残れたのだろうと推察できる。
△3五歩の他に△7六歩と垂らしておく手もあった。以下▲9一角成△7七歩成▲9三角(次に▲7五香)△7六飛▲5八金左【変化図2】と角を使わせてから△3五歩とする変化もあった。
ただし、この変化は△7六歩~△7七歩成で1歩使っているので、どれだけ攻めが繋がるのか……この図面を見ただけではわからない。
変化図2をソフトにかけた結果、△3五歩▲同歩△3六歩▲同銀△2四桂▲4七銀△1五歩から攻めが続く模様。なお、1筋を突き捨てたのは将来的に△3六桂~△8七と~△1七歩~△2八銀とするためで、決して香を捨てて叩くためではない……はず、ここら辺はもう少し詳しく調べないとわからない。
戻って本譜の△3五歩に対して▲2五桂と跳ねたのは桂頭を攻める手を甘くする腹積もりがあったのだろうが、私には用意の手があった。
三桂あって
▲同 歩 △2六桂 ▲同 飛 △3四桂 ▲2九飛 △2六桂打
▲2七玉 △1八桂成 ▲同 玉 △2六香 【第7図】
▲同歩と取った手に△2六桂と打った手が盤上この1手……だと思いたい。替えて△3四桂と控えて打つ手も考えたが、既に終盤に差し掛かっている&桂馬という1種類の駒を渡すだけだから受けとして機能しにくいと思い、本譜の順にした。
取らせて継ぎ桂、そして△2六香を打ったが、ソフトは△1五歩の方が先と言っている……まぁ、評価値もあまり変わらず、△1五歩▲2八玉△2六香と結局打つ事になるので、おそらくどちらでもよい。
余談だが『三桂あって詰まぬことなし』の格言は、実際は詰まない事が多いと私は思う。
早逃げ
▲2七桂 △1五歩 ▲2八玉 △1六歩 ▲3八銀 △3六歩
▲7七桂 △1七歩成 ▲3九玉 △1八と 【第8図】
▲2七桂から△3六歩まではほぼほぼソフト最善手だったし、必然の手順だと思う。例えば▲2七桂に替えて▲5九飛ならば△2七銀▲1七玉△1五歩が必死だし、▲3八銀に△3六歩と突かねば▲3七玉からの脱出が見える。
結局のところ、△2六香から玉頭戦を制した形になった。負け戦からは撤退するしかなく、▲2八玉から玉が逃げていくのは自然だったのだろう。
▲7七桂はソフト推奨手ではないが、△7九飛成が見えているので仕方ない気がする。ソフトの評価値も似たり寄ったりだと思った。
本譜は飛車の捕獲が出来た事によって形勢がハッキリとついた。
望み
▲4九玉 △2九と ▲6六桂 △8四飛 ▲7三角打 △8九飛
▲5八玉 △8二飛 ▲同角成 △4六桂 【第9図】
▲4九玉に、△4六桂▲4七銀△2九と▲4六銀△2七香成も一瞬浮かんだが、と金が遊ぶのと、桂が取られているので大した事がない。
飛車が取れる事が確約されているので、他の部分で手を作り、いいタイミングで飛車を取りたかったが、そう上手くはいかないのだろう。ソフトの最善も△2九とだった。頼りにならねぇわソフト
先手は▲6六桂の勝負手に最後の望みをかける。▲6六桂の意味は、おそらく
・△7六飛なら▲8五桂~▲7四歩
・△7五飛なら▲8四角~▲6二角成~▲7三金
・△7二飛なら▲9一角成~▲7四歩
・△8四飛なら本譜の順で飛車角交換
だと思われる。だが、本譜の順に進んだ時に相手の持ち駒がない。よって、飛車を下す。
飛車角交換は許容する。先手に飛車という最後の望みを与えてしまったが、使わせなければ無問題。
▲5八玉と逃げるしかないが、△4六桂が入って好調、勝ちを意識した。
精神勝利
▲5七玉 △3八桂成 ▲同 金 △4五銀 ▲5八桂 △5九飛成
【第10図】
まで96手で後手の勝ち
この記事を見ている方々ならお分かりの事を書いてしまうので、飛ばしていただくか、大目に見てやるという心をもってくれるとありがたい。
将棋には敗北条件というのがある。
①王手がかかっている状態かつ、その王手から逃げられない。いわゆる「詰み」と呼ばれる形になっている。
②二歩、連続王手の千日手、打てない場所に駒を打つ、駒の移動ミスなどの反則(専門用語で禁じ手)
③「まいりました」や「負けました」「ありません」などの、自らの負けを認める「投了」
これらが敗北条件としてある中で③は特別で、②の形や①の形になっているにも関わらず、投了の宣言をしたら覆るケースというのがアマチュア将棋界の常識だったりする。
第10図からは▲7四桂が気になっていた。△8四角と応対するつもりだったが、▲6六歩と突かれて意味がなさそう。よって▲7四桂には△同銀と取って▲6四馬△6三金▲7二飛……中々捕まらないのか?なんて思っている間に投了なされた。
私の終盤の技量の未熟さ故に即詰みで華麗に仕留めるのは出来なかった。相手の心が折れての投了ゆえに、精神的勝利と言えば聞き心地は良いが、ただただ相手を苦しませてしまっただけなのだろう。礼節だけを弁えても仕方ない。技量も伴っている事がベストなのだと思う。
先手:相手
後手:私
▲7六歩 △3四歩 ▲9六歩 △9四歩 ▲1六歩 △1四歩
▲2二角成 △同 銀 ▲8八銀 △3三銀 ▲7七銀 △6二銀
▲4八銀 △7四歩 ▲7八金 △3二金 ▲4六歩 △6四歩
▲4七銀 △6三銀 ▲3六歩 △7三桂 ▲3七桂 △8四歩
▲2六歩 △8一飛 ▲4八金 △6二金 ▲2九飛 △5二玉
▲4九玉 △4四歩 ▲3八玉 △4二銀 ▲5六歩 △4三銀
▲6六銀 △3三桂 ▲7七桂 △1二香 ▲1八香 △5四歩
▲7五歩 △同 歩 ▲同 銀 △8五桂 ▲同 桂 △同 歩
▲7四歩 △9三角 ▲8四桂 △同 角 ▲同 銀 △同 飛
▲6八金 △7四飛 ▲8二角 △3五歩 ▲2五桂 △同 桂
▲同 歩 △2六桂 ▲同 飛 △3四桂 ▲2九飛 △2六桂打
▲2七玉 △1八桂成 ▲同 玉 △2六香 ▲2七桂 △1五歩
▲2八玉 △1六歩 ▲3八銀 △3六歩 ▲7七桂 △1七歩成
▲3九玉 △1八と ▲4九玉 △2九と ▲6六桂 △8四飛
▲7三角打 △8九飛 ▲5八玉 △8二飛 ▲同角成 △4六桂
▲5七玉 △3八桂成 ▲同 金 △4五銀 ▲5八桂 △5九飛成
まで96手で後手の勝ち
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