『空飛ぶカブにキャンディを2〜2人の特製マフィン〜』 30分(1:1:1兼役あり)3人劇 ハロモン企画参加作品
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『空飛ぶカブにキャンディを2〜2人の特製マフィン〜』 30分(1:1:1兼役あり)3人劇
https://editor.note.com/notes/nc29f8465b02c/edit/
作者…こねこねこ
Jルタ不問……
ソニア女性……
ケン 男性……
《登場人物紹介》
J・ルタ……ジャック・オー・ランタンの男の子設定ですが、演者様の性別不問です。カブ頭。少し捻くれ者なのは怪物と誤解されることがある為。3人でご使用の場合は、黒き者を兼役して下さい。
〜ご注意(ルタ及び黒き者について)〜
⚠️ 4人でご使用の場合、兼役の表示名が
J・ルタ:(兼役黒き者)となっていますので役の混同しない様ご注意下さい!
ソニア……ハローウィンの由来を何となく知っていて仮装を楽しんでいる女の子。ジャックの由来を知らずにカブの怪物と誤解して怒らせてしまう。ケンの隣家に住んでいる。ケンにはお姉さんの様な気持ちで接しています。
ケン……ジャック・オー・ランタンが大好きで色々詳しい男の子。ソニアの幼馴染。一人称が僕か俺が混ざってしまうのはわざとです。まだ少年でいたい時と青年振りたい時でケンの心が揺れています。
〜ご注意(ケン及びソニアについて)〜
⚠️ ケンとソニアは、声を揃えるセリフが1箇所だけあります。
宜しくお願いします🙇
以下本編です
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ソニア:『空飛ぶカブにキャンディを2 〜二人の特製マフィン〜』
J・ルタ:「あの日から、もうすぐ一年という週末……ケンとソニアは、話し合っていたんだ。何をだって?それはね……?僕にはナイショで、とっておきの「贈り物」についてさ。これから話す「あの日」は本当に僕にとって「特別」な一日になったんだ。え……?分からない?ゴメンゴメン!いじわるじゃないよ?ここは僕の記憶のお菓子箱の中でも、大切な、おばけマシュマロが乗ったマフィン、を包むモールの輪っか。」
J・ルタ:「可愛いだろう?食べるのがもったいない?そうだね。これはいくら君でもあげられない!なーんてね。大丈夫さ、僕のお菓子箱に一度でも入れたお菓子は、全部食べても、箱の中にまた現れるんだ。あぁ待って?食べるのは話を聞いてからにしておくれよ?その方がきっと、おいしく感じるはずだから。さぁさぁ、始めるよ!3人の特別な1日の話を。」
ケン:「じゃぁ、必要なものを買いに行って、ソニアの家で作戦開始だね!
ソニア:「買うものもメモしたし、早速行きましょ!」
J・ルタ:「ソニアは16歳になった。お菓子作りもお料理も、ずうっと上手になったってお母さんの太鼓判をもらって、お手伝いも沢山する様になったんだよ?」
J・ルタ:「ケンは15歳。彼は少し大人びて声も変わってきたかな。二人は今日、色々買った物を、ソニアの家に運び込んで、何かしているようだよ。」
ソニア:「できたわね!」
ケン:「いやまだだよ。肝心かなめのアレで仕上げないと!俺がやるよ!確認は二人でしよう。」
ソニア:「えぇ」
J・ルタ:「ふふふ……何だかワクワクするね。僕に内緒のアレって、一体なんなんだろう?」
J・ルタ:M「さてさて、そして今年もまた、この日がきたんだ。人がすっかり寝静まった午前0時。黄泉の扉が軋んで開く。さぁ追いかけっこの始まりか。と僕は腕まくりしたんだけど…。今年はちょっと様子が違う。悪魔どころか、黄泉の住人すら出てこなかったんだ。僕は首をかしげて、扉の向こうをそっと覗き込んで……ギョッとした。なぜかって?大きくって黒い……何かが蠢いていて、そいつの口に黄泉の住人の欠片がくっついていたからさ。」
J・ルタ:「お前……何て事を!食ったな……吐き出せっ!みんなの家族を!祖先をっっ!」
J・ルタ:M「僕はこっちに出て来ようとするソイツに、そう叫びながら体当たりをしようとしたんだ。だけど…ちょうど大口を開けたソイツに、あっけなく飲み込まれてしまった。ああ、情けないよ。」
J・ルタ:「ケン……ソニア……ごめん。今年は会えないかもしれない。それどころか、街も守れないかも……皆ごめん!家から出ないで!逃げて!!うわああぁん!」
ソニア:「……?今何か聞こえた?気のせいかな……。」
ケン:「んぅ…ターニャ?おトイレかい?あれ?寝てる。じゃぁ何だったんだろう?」
J・ルタ:(兼役黒き者)「がおおおぉぉ」
ケン:「えっ?!なに?何の声、外?うわあ!なんだあれは?!」
ソニア:「あれ?ケンの声よね?何かあったのかしら?」
ソニア:「私は心配になって窓から、ケンの部屋の方を見たの。そしたら…」
ケン:「所々透き通ってるけど、どす黒くて学校の体育館位ある何かが、音もなく街を歩き回っていたんだ」
ソニア:「うそ…なにあれ?まさかハロウィンの悪魔?じゃあルタはどうしちゃったの?!」
ケン:「ルタになにかあったんだ!そう思った俺は、とにかく助けに行こうと着替えて、そうっと玄関から飛び出した。そしたら隣の家から、ソニアが同時に出てきてびっっくりしたよ」
ソニア:「ケン!ルタのところに行くんでしょう!?ちょっと待って!」
ケン:「ソニア、君は行っちゃダメだよ!」
ソニア:「なんで?」
ケン:「だって女の子だよ?こんな時間に(外へ行くなんて危ない)」
ソニア:「(被せて)あら!去年のハロウィンで、悪魔を*祓えた《はらえた》 のは、聖水と、私のクッキーの力だったんでしょう?私も力になれるはずよ!」
ケン:「で、でも女の子だ!それにもう聖水は……ソニア?何してるんだ?植え込みにしゃがみこんで」
ソニア:「ローズマリーを沢山、摘んで行きましょう!去年の話を聞いて、タネから育てていたのよ」
ケン:「うわぁ…(鼻をつまむ)」
ソニア:「ふふっ貴方が嫌いなのも知ってる。だから、ありったけ、私が持っていくわ!」
ケン:「でも、ソニア…」
ソニア:「お願い、ケン。ルタと貴方の事が心配で、戻っても絶対寝られないわ!」
ケン:「分かったよ。正直心強い。相手があんなデカいなんてさ…」
ソニア:「ふふふ。まずは、あの屋敷に行ってみましょう」
ケン:「そうだね!急ごう」
J・ルタ:(兼ね役黒き者)「ぐおおおぉ」
ソニア:「私達は急いでルタと出会ったあの屋敷に走った。」
ケン:「特に変わった所はなさそうだね」
ソニア:「そうね。いつも通りみたい」
ケン:「うーん」
ソニア:「何もなさ過ぎておかしいわ。ねぇケン、去年のこと、もう少し詳しく話してくれない?」
ケン:「去年の、こと…?」
ソニア:「私に悪魔が取り付いて、それであなたがローズマリークッキーを食べて」
ケン:「ソニアに聖水をかけて・・・悪よ出ろって念じたら君の体から出てったんだよ」
ソニア:「それだけ?」
ケン:「……うん」
ソニア:「こんなに大きな声で鳴いているのに、なぜみんな起きてこないのかしら?」
ケン:「聞こえてないのかもしれない」
ソニア:「どういう事?」
ケン:「俺たちが今寝てる他の人と違う所は、ルタを知っていること、去年悪魔に関わった事、そして昼間にルタの聖水入りのマフィンを食べたことだ」
ソニア:「そのどれかもしくは全部が悪魔が見え、聞こえる要因ってこと?」
ケン:「そう、たぶん全部かな」
ソニア:「そうね、たぶん全部だわ」
ケン:「あとルタがどこにいるか。なんとなくだけど僕分かったよ」
ソニア:「なんとなく、ね。私も分かったかも。だってこんな事態、ルタが静観している訳がないもの!まず間違いなく」
ソニア・ケン二人同時に
「あいつの中(だね・だわ)」
ソニア:「追いかけましょう!」
ケン:「あぁ!北の方へ行ったみたいだ」
J・ルタ:「こらっ僕を外に出せっ!このこのこのっ!」
ソニア:「いたわ!あそこよ!」
ケン:「ホントだ!透き通っているところからルタが見えないかな?!」
ソニア:「もう少し近寄らないと無理かもしれないわ」
ケン:「よし、俺が行くよ!」
ソニア:「待ってケン!その前に、ローズマリークッキーを食べて行って。私も食べるわ!あなたが悪魔に食べられたら、私だけになっちゃうもの」
ケン:「う……分かったよ……」
ソニア:「あなたのヒーローのためよ。」
ケン:「うん……ぅ……」
ソニア:「飲み込んで!今お茶をあげるから」
※ケンはお茶でクッキーを流し込んだ。
ケン:「っぷはぁ…じゃあ、やつの中が見えたらルタと話せるか試してみるよ!」
ソニア:「えぇ!お願いね…!わぁ、ケン、走るの早くなったのね……もうあんな所にいる」
J・ルタ:(兼役黒き者)「グオオオ」
ケン:「ルタ!ケンだよ!!いるの?!聞こえたら返事をしてくれ!出来たら見えるところまで来て!」
J・ルタ:「ケン!?ケン!ここだよ!こいつの中だ!待ってて!」
J・ルタ:「僕はジタバタとうっすら透けている所まで移動してみた。ケンは去年より少し背が伸びて、顔も逞 しくなったみたいで。僕は嬉しくってニコニコしてしまった」
ケン:「笑ってるけど大丈夫なの?」
J・ルタ:「君たちに会えたのが嬉しくって。実はあんまり大丈夫じゃないよ。この街の皆の大切な家族が。祖先が。コイツに食われちゃったんだ!僕が体当たりして吐き出させようとしたら、大口を開けたんだ、それで…このとおりさ」
ケン:「何とかして出てこれない?」
J・ルタ:「中から蹴ったり叩いたり色々したんだけど、これだけじゃダメそうなんだ。あ、ソニアもいたんだね!二人とも、ありがとう。でも、僕はもう、このまま消えるんだ、きっと」
ソニア:「何を言ってるのよルタ!私達、あなたを助けたくて色々持ってきたのよ!諦 めちゃダメ!ほら、ローズマリーよ!」
J・ルタ:「こんなに沢山?!凄いや!じゃあソニア、まずこいつの足を止めよう!グルっとこいつの周りに振りまいてくれない?」
ソニア:「分かったわ!(ローズマリーをまきながら)クッキーも、持ってきたのよ!それに…プレゼントもあるの、これを貴方に、あげたくて……(撒き終わり悲しい顔をするソニア)」
ケン:「聖水入りだよ!」
J・ルタ:「聖水?前に僕があげたやつを?!まさかそのマフィンに入れたって事?」
ソニア:「そうよ!小瓶一本全部ね!」
ケン:「俺も手伝ったんだぜ!味見もしたんだ!旨いから出てきて受け取ってよルタ!」
J・ルタ:「プッ!あはははは!傑作だ!なんてこった!渡りに船だよ!君たちってば、最高だね!あははは!」
ケン:「ソニア、悪魔の腹の中ですごい笑ってる……ルタが」
ソニア:「そんなにおかしい事あったかしら?」
ケン:「さぁ……?」
J・ルタ:「アハハッ!こんな事ってあるんだね!ほんとに起死回生の一手を持ってきてくれた!そのマフィン、今すぐ食べたいからコイツの口から放り込んでくれない?」
ケン:「どういう事?」
ソニア:「出てきて食べない?」
J・ルタ:「うぅん、今がいいんだよ。コイツにも食わせてやりたいんだ。【聖水入りの甘ーいマフィン】を、さ」
ソニア:「っ!そういう事ね!」
ケン:「え?どういう事??」
J・ルタ:「ケンは相変わらずだね、去年、悪魔が入ったソニアに聖水をかけたらどうなったんだっけ?」
ケン:「あ……なるほど!」
ソニア:「まず、口を開けさせないとだめね…どうしたらいいのかしら?」
J・ルタ:「それなら僕に案があるよ。コイツ、この少し上辺りをパンチした時、大口あけて叫ぶんだよ。」
ケン:「それだ!俺が正面で構えたら」
ソニア:「ルタが叫ばせてケンが放り込めばいいのね!」
ケン:「分かった!アッチで構えるから、ソニアがルタに合図してくれ!」
ソニア:M「そういってケンはすぐ遠くまで走っていって、野球のピッチャーの構えをしたから、私はルタにいつでもいいわよ!って声をかけた。そしたらルタが上の黒い方に移動して『せいっ』てパンチしたみたい」
J・ルタ:(兼役黒き者)「ぐおおおおおおおぉ〜〜〜〜〜!!」
ソニア:「きゃぁ!凄い声!ケン!口が開いたわ!今よ!」
ケン:「よし!とりゃあ!」
ソニア:M「ケンの投げたマフィンはきれいな弧を描いて悪魔の口にはいったの」
ケン:「イヨシ!やった!入ったぞ!」
J・ルタ:「うまいっ!ケン投球の才能あるんじゃない?!」
ソニア:「春からソフトボール部に入って頑張っているのよ!期待の新人なの!」
ケン:「(全力で走ってきて)はぁはぁ……やめてよ、ソニア!そんなんじゃ、ないってば!」
J・ルタ:(兼役黒き者)「ぐあああああ!」
ソニア:「効いてるわ!体の黒が薄くなった気がする!」
J・ルタ:「中がグネグネしてきた!いいぞ!」
ケン:「なんか……口からたくさん出てってるよ?!白っぽいのが」
ソニア:「魂だわ!人の形をしてるもの!」
J・ルタ:「やった!成功だ!」
ケン:「悪魔が・・・消えてく!」
ソニア:「ルタ!ルタ出てきて!早く……!」
J・ルタ:「大丈夫だよソニア。もうすぐ出られるから。さぁ皆、家族の元へお還り・・・」
ケン:「ソニア、大丈夫だよ」
ソニア:「ケン・・・私、私怖かったの!(ケンに抱きつく)ルタがこのまま一緒に消えてしまうんじゃないかって!(泣きそうに)」
ケン:「大丈夫、大丈夫(ルタにウィンクするケン)」
J・ルタ:「僕、出てきたよ〜って、アリャ。おーい。ケン〜?ソニア〜?!」
ソニア:「っ!ごめんなさい!(ケンから離れルタに走り寄る)ルタ、無事なの?!ケガは?良かったわ!あぁ……ルタ!(ルタを抱きしめるソニア)」
J・ルタ:「ヘヘへッ♬キミのおかげで無事だよ!そもそも僕は怪我なんかしないから、大丈夫さ(ケンに向けてニヤニヤ笑う)」
ケン:「ル、タ〜?僕もマフィン作ったし、今年もまたローズマリークッキー食べたんだよ?!」
J・ルタ:「あー、うん、ありがと?」
ケン:「何だよーその言い方ぁ!差別だぞ!全くぅ(怒)」
ソニア:「ルタ?」
J・ルタ:「ん?本当に助かったよ二人とも。あぁ…もうすぐ夜が明けてしまうね。二人は少しでも寝たほうが良い。今日は、学校があるだろう?色々と、さ〜?」
ケン:「ゲッ!そうだった!」
ソニア:「いい加減、ハロウィン、祝日になってくれないかしら〜?!」
J・ルタ:「アハハハ!そりゃぁ無理かもね……!」
ケン:「ソニア」
ソニア:「えぇ、分かってるわ」
J・ルタ:「?」
ソニア:「ルタ、改めてコレを貰って欲しいの」
J・ルタ:「何かな?・・・あぁ!マフィンだね?もちろんだよ。二人の初めての共同作業〜☆」
ケン:「ルタ〜?そういうのは良いから」
J・ルタ:「アハハッ♬コレ可愛いね!上の白いのは・・・マシュマロ?顔はチョコペンかい?よく出来てる……!」
ソニア:「顔はケンが書いたのよ!」
ケン:「そーだぜ!どーだ!分かるかい?オレの溢れる画力が」
J・ルタ:「アハハハ!点と線の顔に画力だって?!やめてよ!おかしくってお腹がよじれそうだよケン!!アハハハㇵ!」
ケン:「チェッ!何だよ〜」
ソニア:「私はとっても良いと思うわ。好き。」
ケン:「・・・ヘヘッ♬」
J・ルタ:「ふふふっ!二人とも相変わらずだね!ありがとう!マフィン大切にするよ」
ソニア:「ルタ、ちょっと食べてみない?聖水入りなら、もしかしたらって、ケンと話していたの」
J・ルタ:「うん、一度お菓子箱に入れてから食べるね、ヨイショ・・・クンクン…秋のいい匂いがするよ。」
ケン:「少しだけカボチャを入れたんだよ。裏ごしするの、大変だったんだぞ!」
J・ルタ:「うわぁ肩と腕大変だ!そんなに頑張ってくれたの!」
ケン:「やっと報われた気がする(笑)」
ソニア:「ふふっケンったら」
J・ルタ:「あむっ」
ソニア:「ぁ……!食べてる!」
ケン:「………!ルタどう?美味しい?!」
J・ルタ:「うん…うん!とっても美味しいよ!美味しいよぉ…グスッ」
ソニア:「ぇ」
ケン:「ぇ………ルタ、君泣(いてるのか)?」
J・ルタ:「(被せて)ありがとぉ〜!二人とも!僕も、ちょっと恐かったんだよ!ありがとう〜!」
ケン:「また会いに来るよ!俺何度でも助けるから!」
ソニア:「私もよ!ルタぁ!良かったあ!!」
J・ルタ:「っはい!今日はココまでだよ!その後、どうなったかって?ふふふっ……じゃあ、もう少しだけ。僕はね、日中は凄く透き通って見えなくなっちゃうんだ。だからまたねって、二人は学校に行ってね…」
ケン:「ソニア!放課後、ルタに会いに行くだろ?」
ソニア:「行くわ!母さんにも言ってきた」
ケン:「わぉ、それって帰りに寄るって事?」
ソニア:「だって、今日しか会えないのよ?少しでも一緒にって思うもの」
ケン:「うん俺も、今日は部活休んで、そのまま行くよ」
J・ルタ:「そして放課後、夕焼けの中を、二人は来てくれたんだ!眠いはずなのにさ!」
ソニア:「ルタ!どこ?!」
ケン:「おーい!ルター!」
J・ルタ:「君たち…また来てくれたのかい?!」
ソニア:「だって、今日しか会えないのよ?」
ケン:「そりゃ来るよ!」
J・ルタ:「ハハハッ!何して遊ぼうか。(辺りを見回し、何かを見つける)よし!(格好よく礼をしながら)今日のお礼に、お二人をご招待、致します」
ケン:「な、何だよ改まって」
ソニア:「ルタ…?」
J・ルタ:「ちょっと待ってて(ウインクをして一本の古いホウキを持ってくる)」
ソニア:「ホウキ…?何をするの?」
J・ルタ:「えっと…あとはコレだ。二人ともこの飴を口に入れて味わって」
ケン:「スースーする。ペパーミント?」
J・ルタ:「うん、噛まずにゆっくり味わって。その間だけ魔法が掛かるから」
ソニア:「魔法って?……あら?あらら?なんか周りが大きく…」
ケン:「え?ええ?!どうなってるんだ!?」
J・ルタ:「君たちが縮んでるんだよ。さあ、このホウキに安全な座席を付けたよ。僕の手に乗って」
ソニア:「うん」
ケン:「大きい手だなぁ」
J・ルタ:「ふふふっ♬さあ、どうぞご搭乗下さい、可愛いお客様。しっかり、掴まっててよ?」
ケン:「え…まさか…」
ソニア:「キャッ!登ってるわ!宙に浮いてる!」
ケン:「飛んでる!飛んでるよ!」
J・ルタ:「ようこそ空の旅へ。お日様を追いかけて西へ行こう!」
ケン:「西へ?!」
ソニア:「高い…んっ雲に入ったわ!雲ってやっぱり綿菓子じゃないのね」
J・ルタ:「アハハッ!ソニア、普通の綿菓子は空に浮かんだりしないよ」
ケン:「ソニアってロマンチストなんだな」
ソニア:「い、いいじゃない!こんな不思議な事が起こるんだもの。少し位、夢見ても」
J・ルタ:「そうだよケン、君はちょっとソニアを見習ってロマンをだね」
ケン:「あ!渡り鳥だよ!きっと南に行くんだ!」
J・ルタ:「あちゃー!聞いてないねソニア。」
ソニア:「ケンらしいけどね、ふふふ…」
ケン:「体の中にコンパスがあるって、スゲえよな!何にも頼らずに自分の直感を信じて?こっちだ!って感じるんだろうな!良いなぁ!」
J・ルタ:「おや、意外とロマンチストな面もあるね」
ソニア:「くすくす…そうね」
ケン:「夕焼けを追いかけて、追いかけて。不思議な事に空が昼間みたいに水色になっていったんだぜ」
ソニア:「私達、見ちゃいけないものを見てない?時間が戻ってるみたい」
J・ルタ:「いや、これは普通の事だよ。ただ、僕達が太陽に追いついただけさ」
ケン:「ソニア!下を見て!」
ソニア:「どこの国なのかしら…地図で見たことない形の大陸だわ」
J・ルタ:「サンフランシスコ辺りだね、世界一美しいと言われる街だよ。君たちが大人になったら、旅行に来るといいよ!2人でね」
ソニア:「え?2人で?そうね!」
ケン:「ソニア?本当に分かって頷いてる?」
ソニア:「え?どういう事?」
J・ルタ:「くすくす…さぁ、そろそろ帰らないと、家族が心配しちゃうね?帰ったら夕ご飯の時間だ」
ソニア:「そんなに飛んでたの?時間が分からなくなっちゃった」
ケン:「ソニア、時差ボケしちゃった?あはは」
J・ルタ:「無理もないよ、1時間半飛んで時差で3時間位前に戻ったから」
ソニア:「そんなに?!」
J・ルタ:「さぁ、そろそろ2個目のペパーミントキャンディを舐めておくれ。大丈夫。小さくしてあるだけだから、溶けるのは同じ速度さ」
ケン:「あーぁ、帰ってきちゃったな。舐め終わったから元に戻っちゃったし」
ソニア:「そうね、でも、とっても楽しかったわ!」
J・ルタ:「ふふふっ、良かった。(気取って)ご搭乗ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
ケン:「アハハハ!ルタ、本当の機長みたい!」
J・ルタ:「さて、そろそろ本当に心配させちゃうから・・・」
ソニア:「(シュンとして)お別れ、なのね」
J・ルタ:「ああ〜ソニア!また来年、だよ!」
ケン:「そうだよソニア!」
ソニア:「えぇ」
J・ルタ:「帰ったら今夜は早めに寝るんだよ?」
ケン:「あぁ、分かってる」
ソニア:「えぇ」
J・ルタ:「すぐだよ?1年なんてさ」
ケン:「そうだ!ソニア、来年は何作ろうか!」
ソニア:「!そうね、考えなきゃ!」
J・ルタ:「こりゃ、楽しみだ!今からワクワクしちゃうよ」
ケン:「あはは!気が早いなぁルタは!」
ソニア:「ふふふっ!またね!ルタ!」
J・ルタ:「ああ!君たちも!」
ケン:「また、会おうな」
J・ルタ:「気を付けてねー!!」
ソニア:「ええ!」
J・ルタ:「・・・行っちゃった、か。来年、楽しみだなあ」
J・ルタ:「でも皆さん、まだまだお菓子は沢山詰まっているんだよ!それはまた、別の機会に、ね」
ケン:「なぁソニア……ルタ、マフィン食べた時、泣いてたな」
ソニア:「どうかしら?見間違いかもよ?」
J・ルタ:「そうだよケン!そーゆーのは忘れるのが、大人ってもんだよ!・・・って言っても、今は聞こえないんだけどね?とにかく、この二人は僕のヒーローだし、とっても素敵な人だって事は僕が保証する。彼らが作ってくれた、このマフィンも!最ッ高に美味しいんだ!食べたい?じゃあ、口を開けて?あーん・・・!お味は、いかが…?」
〜了〜