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波に心をさらわせて1人朗読用

1人読み朗読用作品です。
夕暮れの少し前から砂浜に一人佇む人のお話。

【台本情報掲示用】コピーしてご利用下さい↓

作品名 波に心をさらわせて
作・こねこねこ
作品掲載アドレスhttps://note.com/cute_kitty223/n/n55cb06d85416


以下本文です✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼✼••┈┈┈┈••✼

何かに躓いて振り返りたくなった時は
いつも1人
砂浜で打っては返す波に会いに来る

グシャグシャな私の心を、波に洗ってもらえる気がして

足が濡れても構わずに

潮騒の音に包まれながら

忘れられない人への気持ちも

誰かが足元の砂に書いた
ラブレターみたいに
波にさらわせれば

擦り減って
いつの間にか消えていって
くれるんじゃないだろうか

そうなって欲しい…

初めはほんの少しの誤解とすれ違い
それだけだったのに…

お互いが素直になれず、許せなくて
そのまま消えていった想い

少しでも分かって欲しかったのに、話せば話す程、違うレッテルが私に貼られていく様だった。


幻でいいから、今は側にいて欲しい。愛されなくても構わない。
全部を分かって欲しいなんて言わない。
ただ、その笑みをたたえた瞳で
見ていてくれるだけで

でも、私の近くに
貴方はいない

貴方の心の側にはもう
私の知らない誰かが
いるのかも知れない

膝を抱え声を殺して、泣いた
潮風が私をだきしめてくれている

震える手で
メモリから貴方を消した……

一歩、海に入る

足元から崩れていく心許ない砂地
支えを失った私の心に似ている。

貴方の隣りにいた時

五月蝿い位だった私の命の音は

波音にかき消されて生まれ変わる

夕暮れの海が
輝き出す星が

帰路に
岐路にと
私を促した

明日からは新しい私で
生きていける気がする


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