雑誌POPEYEのような生活と、履歴書
履歴書を書く時、人は自分の人生をザッーと振り返る。
高校出て、大学出て、上京してきたなー
働いたなー、顔死んでたな〜
いや、今も死んでるなーと。
中途半端な学歴と職歴をまるで高級品のいくらのように書き綴ることは得意で、一時的に口角を上げた爽やかな顔写真をのりでペタッと貼り付けたら、それは私の立派な履歴書である。
いつのことだった忘れたが、
わたしは大学時代、田舎の本屋で雑誌「ポパイ」を見た。
じっと見て、手に取り、中身を開くと、
そこには鮮やかでおしゃれな生活が描かれていた。
小さなアパートで植物を育てたり、小洒落た下町風の居酒屋で休日の夜は過ごしたりするらしい。
ほぅーすげーな都会は。
家賃が高く、物価も高く、人々が淡々と生きている都会の空気はあまりおいしいものとは思えなかったけど、その時は、雑誌の中の洒落た空気が何となく漂って来たように思った。
それで上京した。住んでみた。
そして、1年と3ヶ月が経過している。
私の胸を高鳴らせたポパイのような生活は消えた。いや消えたどころがまだどこにも現れてもいない。笑
ちなみに、この間の休日は小洒落た日本酒が飲める居酒屋へ夕飯を食べに行ったが、確かに味はおいしい。どれを頼んでも、ものすごく美味しい。
でも大事なのは、味が美味しいかではなく、
私と店がミスマッチ!
普段チェーン店にしか行っていないので、
あれなんだか旅行に来たみたい〜とふわふわした気持ちになった。
やはり、住む場所を間違えたのか。
杉並へ戻る時が来たのかもしれない。
ポパイ生活を実現するには、ポパイの聖地へ行かなければいけないのかも。
履歴書を持って家を出る。
現実か、幻想かよく分からない生活を手に入れる日はどうやら近そうだ。
登場したお店〜Sake Fun ぞっこん。
何を食べても美味しい、東京渋谷にある小洒落たお店。